体に良い油・悪い油
子供の成長に欠かせない「油 = 脂質」は、健康な体を維持するために大切な栄養素のひとつ。特に乳幼児期に摂取する油は、脳の神経細胞の発達に影響すると言われており、油の選び方には注意したいものです。
子供の健康面や安全面を考慮した場合のよい油・悪い油とはどのようなものなのでしょうか。選び方のポイントは「低温圧搾」と「トランス脂肪酸フリー」という2つの表記なのです。
「低温圧搾」を選ぼう
「低温圧搾」の油とは、簡単にいうと栄養価が高く風味のある「質の高い」油のことです。原材料である果実や種子に化学処理をほどこさず、そのまま押しつぶすことで油を絞ります。「低温圧搾」と記載のない油は、高温や石油系の溶媒で抽出された油である場合が多く、原材料の栄養素や風味が抜き取られてしまっています。
特に「サラダ油」と呼ばれるキャノーラ油。なたね油、大豆油、コーン油などは、高温で化学処理されることが多いようなので、購入するときにラベルを確認してみるとよいでしょう。
「トランス脂肪酸フリー」を選ぼう
「トランス脂肪酸」は、油を高温で加熱したときに作られる質の悪い油のこと。過剰摂取は心疾患、がん、糖尿病、うつ病のリスクを高めるとともに、免疫機能の低下、悪玉コレステロールの増加などの影響を体に与えてしまいます。アメリカでは2018年よりトランス脂肪酸を食品に添加することを全面禁止することが決まっており、「トランス脂肪酸」の健康への影響が懸念されています。
「トランス脂肪酸フリー」という表記がある油を選ぶことが大切なのですが、特に注意したいのがマーガリンです。植物の油から作られているため、ヘルシーな印象をもつママも多いようですが、マーガリンを固形化するために水素を添加する過程でトランス脂肪酸が作られるのです。まったく食べてはダメというわけではないのですが、トーストに塗るのであればマーガリンよりバターのほうが健康的であるようです。
また、トランス脂肪酸はスナック菓子やファーストフード、スーパーのお惣菜などにも含まれていることが多く、とくにコロッケや唐揚げなどは注意が必要です。
子供によい油を使って作りたい離乳食・幼児食レシピ
忙しいママの毎日に料理はつきもの。カミカミ期の離乳食から幼児食まで、ママが手軽においしく、よい油を使って作りたいと思えるレシピを5種類ピックアップしました。
作り置きができたり食材の使い回しができたりと、ママの強い味方になるはず!子供の成長に合わせてレシピを選んでみてください。
万能肉みそ(離乳食:カミカミ期)
肉みそは日持ちもしますし、お魚や野菜を混ぜるだけで料理が完成するとても便利な1品。加熱する前に調味料と水、ひき肉を合わせることで、しっとりとしたそぼろが仕上がるようです。油を使わなくてもできるヘルシーさがポイント。
材料(作りやすい分量)
- 豚ひき肉:120g
- みそ:小さじ1〜2
- みりん:小さじ1〜2
- 水:小さじ4
作り方
- フライパンに調味料と水、豚ひき肉を入れ、マッシャーやスプーンなどでよく混ぜ合わせる。
- 弱火にかけて炒め、そぼろ状にする。そぼろ状になったらぱちぱちと音がするまで加熱して、みりんのアルコールを飛ばす。
- 油が多ければ油を切って、密封容器や瓶で冷蔵保存。
鶏ささみのコーンフレーク揚げ(離乳食:パクパク期)
大人に近い食事ができるようになるパクパク期は、子供が自分で食べるようになる時期でもあります。
子供が大好きなフライを安心して食べることができるよう、アレルギーの心配がある小麦、牛乳、卵を使っていないレシピを紹介。鶏ささみは鶏むね肉、鶏もも肉、カジキ、鮭に変えてもおいしいですよ。
材料(2食分)
- 鶏ささみ:60g
- 【漬け汁】こんぶ水:大2
- 【漬け汁】塩:少々
- 【漬け汁】カレー粉:少々
- 【衣】コーンフレーク(プレーンタイプ):20g
- 【衣】こんぶ水:大2
- 【衣】揚げ油:適量
作り方
- 鶏ささみは筋をフォークなどで取り除き、スティック状に切る。
- ボウルやバットに漬け汁の材料を入れて、1を10〜20分ほど漬け込む。
- 別のボウルやバットで衣を作る。コーンフレークを手で細かくくだき、こんぶ水を入れて混ぜておく。
- 2で漬けた鶏ささみの水分を、キッチンペーパーでぬぐい、衣をつける。手で鶏ささみと衣を一緒に握り合わせるようにつけるとよい。
- フライパンで多めの油を熱し、4を揚げ焼きする。コーンフレークがカリッとしてきたらひっくり返し、全体にこんがりと焼き色がつくまで両面を焼く。
ライスコロッケ(離乳食:手づかみ期)
手づかみ食べを始めた子供にぴったりなのが手軽に「つかむ」ことができるライスコロッケ。鶏ひき肉とケチャップで味付けし、好みで青のりを入れたら子供好みの味が完成。
揚げずにトースターで仕上げるため、ベタつかないというのもうれしいですね。
材料(1食分)
- 軟飯:70〜80g(またはご飯:80〜90g)
- 鶏ひき肉:20g
- ケチャップ:小1
- 水:小1/2
- 青のり:適宜
- パン粉:適量
- 油:適量
作り方
- パン粉はフライパンで乾煎りする。
- 耐熱容器に鶏挽き肉とケチャップ、水を入れて、よくもみ込む。ラップをかけて電子レンジで1分ほど加熱する(最初に30秒加熱し、ようすを見て調整する)。
- ボウルに軟飯と2、お好みで青のりを入れて、一口大にまとめる。
- 乾煎りしたパン粉をまぶし、油を刷毛で全面に塗る。
- トースターで2〜3分焼く。
高菜とじゃこのチャーハン(幼児食)
母乳やミルク以外から十分な栄養がとれるようになったら、いよいよ幼児食の開始です。食べられるメニューも豊富になり、ごま油が食欲をそそるチャーハンに満足してくれるでしょう。
高菜以外のお漬物でもアレンジできますが、漬け物は塩分が高いので少し注意が必要です。
材料(3食分)
- ご飯:300g
- 卵:2個
- 高菜漬け:40〜50g
- ニンジン:20g
- じゃこ:20g
- ごま油:小1
- 醤油:小1
作り方
- 高菜漬けは1cm幅位に刻み、ニンジンはみじん切りにする。
- ご飯と溶き卵を混ぜ合わせる。
- 熱したフライパンににんじんを入れ、弱火で1〜2分炒める。
- 2を加え、中火で炒める。すぐにはあおらずご飯の両面を焼くようにし、両面が焼けたらおたまや木べらでご飯を上から押し付けながら炒める。
- ご飯がパラパラになったら、きざんだ高菜漬けとじゃこを加えさっと炒める。
- 火を強めて鍋肌からしょうゆとごま油をまわしかけ混ぜ合わせ、味をととのえる。
リンゴパイ(幼児食)
餃子の皮を使った手軽なデザートレシピ。りんごパイという子供にも人気の定番デザートをフライパンだけで作ることができるのは嬉しいですね。りんごの変わりに、バナナ、みなん、人参のすりおろしなどで作ってもおいしくできますよ。
材料(2食分)
- リンゴ:100g
- ハチミツ(またはメープルシロップ、砂糖):小1〜2
- レモン汁:少々
- 餃子の皮:8枚
- 油:適量
作り方
- リンゴは皮と芯を取り除き、角切りにしておく。
- 小鍋に1とハチミツを入れて10分ほどおき、リンゴの水分を出す。
- 水分が出たらレモン汁を加えて蓋をし、リンゴやわらかくなるまで煮る。
- 冷めたら半分に切った餃子の皮で包む。ふちをフォークの背で押し付けて、波状の型をつける。
- 熱したフライパンに油をしき、こんがりと焼き色がつくまで焼く。
離乳食・幼児食だからこそこだわりたい!
油は日常的に使うものだからこそ注意したい反面、油にこだわることで大幅な食費の増加は避けたいところ。「低温圧搾」、「トランス脂肪酸フリー」である油にどのような種類があるのかを把握した上で、値段と相談しながら負担なくよい油を使いたいですね。
なお、山口真弓さんの書籍『子供のからだとこころが育つ!6歳までの食事のホント』には、油だけでなく化学調味料、食品添加物、白砂糖などが子供の体に与える影響についてもコンパクトにまとまっています。また、管理栄養士という資格を持ちながらも、毎日の子供の食事には頭を悩ませたという山口さんのこだわりとレシピは、ママの心強い味方となってくれそうです。
子供の食事の基本を学びたいママも、離乳食・幼児食レシピが気になるママも、食品選びに悩むママも、一度手にとってみてください。