家族や自分が感染していることを知らずに生活している場合がある
肝炎ウイルスに感染しているというと、何らかの症状が出ていると想像するかもしれません。しかし、実際には家族や自分が肝炎ウイルスに感染している事実を知らずに生活をしているパターンもあります。
まずは慢性化しているケースです。急性肝炎の場合は比較的初期に症状が出ますが、慢性化していると症状が出たときには病が進行しているケースも少なくないでしょう。進行するまで自覚症状のないパターンがほとんどであり、受診をして初めて、自身が肝炎ウイルスに感染していたと知る方もいます。
そして、持続感染しているケースです。持続感染とは、出産時の感染や、乳幼児期に感染した場合に、免疫機能が未熟なためウイルスを排除することができない状態を指し、その人は「キャリア」または「無症候性キャリア」とよばれます。
キャリアの方は小さな頃には自覚症状はなく、思春期以降、大人になってから免疫機能が発達することにより、肝炎ウイルスを排除しようと身体が動きます。すると、肝炎ウイルスだけでなく肝臓の細胞にもダメージを与え、結果として肝炎を引き起こします。ただし、一生涯、キャリアのまま終わるケースも多々あります。
家族や自分が肝炎やウイルスキャリアな場合の過ごし方と注意点
家族や自分が肝炎ウイルスに感染してしまった場合、血液が体内に入ったり接触したりすると周りの人へも感染する可能性があります。
しかし、日常生活において基本的なことに留意することで、感染する可能性は低くなります。どのようなことに気をつければよいのか確認しておきましょう。
感染しているウイルス型によって対応が異なる
肝炎には、主にA型・B型・C型があります。それぞれウイルスが異なるものの、感染している型によって大きく対応を変える必要はないでしょう。ただし、それぞれかかりやすい経路というのはあります。
それぞれのウイルスを見ていくと、まずA型肝炎ウイルスの感染経路は、汚染された水や食料です。そのため、自分がA型肝炎ウイルスを保持していても、便などの扱いに気を付けていれば家族にうつることはないでしょう。また、A型肝炎ウイルスは体外に排出されれば慢性化することはほとんどないといわれています。
B型肝炎ウイルスの感染経路は、「母子感染」「医療行為」が以前は多く報告されていましたが、それぞれの対策が講じられた結果として、現在では「性的接触」「家庭内や児童間」が問題となっています。
C型肝炎ウイルスは、「医療行為」が最も高く、「母子感染」「性的接触」「家庭内や児童間」はまれです。B型、C型ともに感染源は血液・体液や経皮となっています。
感染しているウイルスによって対応は異なりますが、家庭内での肝炎ウイルス感染について悩む場合のほとんどがB型やC型です。そのため、B型やC型の場合、血液・経皮・体液の扱いに気を付けて生活をしていく必要があります。