監修:齋木啓子 先生

子供に適した「かかりつけ医」はどうやって探す?医師が語る十の極意

ママたちはどのように子供のかかりつけ医を探し、どのように病院を選んでいるのでしょうか。東京都港区で行われた家庭医療専門医の齋木啓子(さいきけいこ)先生の講座を取材してきました。齋木先生が紹介したアンケート結果によると、首都圏に住む20〜39歳の既婚女性の約8割が子供のかかりつけ医を持っているそう。普段からさまざまなママと関わりを持つ齋木先生が語る、かかりつけ医の選び方についてご紹介します。

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「かかりつけ医」の役割

「かかりつけ医」とは、簡単に言うと家族や地域を含めた患者さんの背景をよく知ってくれていて、何でも気軽に相談できる身近なお医者さんのことを指します。

東京都医師会は、かかりつけ医を下記のように定義しています。

病気のたびに別々のお医者さんに通っていると、通院のたびに同じ検査を繰り返したりと、具合の悪いときにあなた自身の負担も大きくなるでしょう。 いつもとちょっと様子が違うなと、気づきを与えてくれ、適切な診断と、適切な医療機関の紹介ができる。 自分と相性の合うパートナーとしての「かかりつけ医」がいることは、健やかな毎日を過ごすために非常に心強い存在となるはずです。 ※1

「ちょっと子供の体調がおかしいな…」と思った時に気軽に相談でき、より専門的な医師に相談すべき状態であれば適切な医療機関を紹介してくれる。しかも、それまでの子供の病歴や健康状態を把握してくれているため、1人いると心強い存在です。

では、ママたちはどのようにかかりつけ医を選ぶべきなのでしょうか。まず、かかりつけ医をもつママたちが、どのように医師を選んできたのかを見てみましょう。

ママたちの「かかりつけ医」の選び方

編集部にて撮影

齋木先生がアンケート結果をもとに提示した、かかりつけ医を選ぶ上で多くのママたちが考慮するポイントは下記の2点です。

  • 薬をたくさん出してくれるか否か
  • すぐに抗生剤をくれるか否か

なかなか受診するタイミングがとれないなどで、一度に多くの薬をもらいたいと考えるママも多いそう。また、抗生剤は「子供の症状を早く抑えることができる」という印象を持っているママも多く、早く治すために抗生剤がほしいと希望するママがいると齋木先生は言います。

しかし、これらの選び方は適切なのでしょうか。ママたちの見解を医師はどのように考えているのでしょうか。

薬の量で「かかりつけ医」を判断すべきではない

薬 PIXTA

齋木先生は、一度にたくさんの薬を求めるママの意図は理解していると話します。たしかに、頻回に子供を病院やクリニックに連れていくのは難しいものです。

その一方で、医師はママに対して下記の2つの不安を抱くと言います。

  • 状態が変化しても薬があると受診しなさそう
  • 途中でよくなったら残った薬をとっておきそう

子供の症状に変化がなくても、その症状を引き起こす原因が変化している場合があります。たとえば、咳が続いていても、咳を引き起こす原因が同じだとは限りません。

たくさんの薬を一度に処方してしまうと、医師が原因の変化を確認する機会を損なってしまうため、子供にとっては適切なタイミングで医師に確認してもらうことが大切です。

また、薬には消費期限があるためママの自己判断で使用しないことが大切だと齋木先生は説明します。シロップ、粉薬、座薬と種類がありますが、消費期限はそれぞれ下記の通り大きく異なります。

  • シロップ:長くても2週間
  • 粉薬:約1ヶ月
  • 座薬:約1年

医師に処方された薬だと安心し、残った薬をとっておくことは危険です。多くの薬を処方してくれる、という理由のみでかかりつけ医を選択することは適切ではありません。

抗生剤の処方には注意が必要…風邪には無効?

多くのママが抗生剤を求めるのは、つらそうな子供の症状を早く和らげてあげたいという気持ちからくるものです。

その一方で、齋木先生は子供が体調を崩す大きな理由のひとつである風邪に抗生剤は必要ないと話します。風邪の原因の8〜9割はウイルスが原因であり、それらに対して抗生剤は効果がないのです。

もちろん、マイコプラズマ、クラミジア、溶連菌、百日咳などの細菌が原因で抗生剤が効果的な場合もありますが、それらは限定的だと話します。

風邪の原因のうち8〜9割は抗生剤が効かない上に、抗生剤には常在菌を殺したり(もともともっている免疫力を下げる)、耐性菌を強めたり(細菌が抗生剤に対する抵抗力を上げる)といった悪い作用があると言います。

風邪の症状をもつ子供に対し、抗生剤の処方は無効なだけでなく、中長期的に悪影響を及ぼす可能性すらあるのです。

これらを考慮すると、簡単に抗生剤を処方する医師には疑問を持ったほうがよさそうです。

遅れている日本と海外の先進事例

外国 PIXTA

アメリカでは2歳未満、イギリス・フランス・カナダでは6歳未満に風邪薬を服用させないよう政府が警告していると齋木先生は話します。これらの国では、服用を促すことが子供の健康に悪影響だという判断を政府がしているのです。

日本では、2010年に厚労省が製薬会社に対し2歳未満の子供に市販の風邪薬を飲ませるより医師の診療を優先させるよう促す注意喚起に留まっています。日本以外の先進国では既に警告されていることが、日本ではまだ当たり前のように行われているのです。

かかりつけ医を選ぶ上で、一度に処方される薬の量や抗生剤の処方の有無が必ずしも適切な判断軸ではないことがわかりました。

それでもかかりつけ医はママの助けになる存在です。どのように選ぶべきなのでしょうか。

出典元:

「かかりつけ医」を選ぶための十の極意

©ママリ

齋木先生が語るかかりつけ医を選ぶための十の極意は下記の通りです。10の条件をクリアし、ママやパパが安心して話せる医師を見つけることができたら、子供の体調に不安があるときに役立つはずです。

  1. 薬の量が必要最低限に留められている
  2. 再診の目安や薬の止め時を説明してくれる
  3. 抗生剤を出す時には「どんな菌に感染しているか」を説明してくれる
  4. 薬以外のホームケアを説明してくれる
  5. 予約ができる
  6. 当日受診に対応している
  7. 隔離システムがある(時間または場所)
  8. アクセスがよい(家からの距離、駐車場の有無)
  9. インフォームド・コンセントを徹底している
  10. スタッフ教育が行き届いている

インフォームド・コンセントは、医療行為を受ける際に、医師からきちんと説明を受け、患者さんが十分に理解、納得した上で治療方針に合意をするという意味です。

医師から言われたことを理解しないまま治療を受けるのではなく、どのような治療を行うのか理解し、自分で選択するというのが大切だということですね。

出典元:

注意すべきは薬の量と抗生剤、気軽に相談できる医師を探そう

小児科 amana images

かかりつけ医は心強い存在ではありますが、どのように探せばよいか悩むもの。

齋木先生のお話によると、多くのママは処方される薬の量と抗生剤の処方の有無を判断軸にしているようですが、もう一歩踏み込んで考えたほうがよさそうだということが明らかになりました。

齋木先生が提案する十の極意を参考に、子供だけでなく家族にとって最適な医師を探してみてください。

記事の監修

ふれあいファミリークリニック 院長

齋木啓子 先生

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