「はしか(麻しん)」患者が増加中。大型連休前に警戒を
もうすぐ楽しみな大型連休がやってきますが、お出かけの際に気を付けたいことの一つ「感染症」です。
2018年3月23日、沖縄県内を旅行中の台湾からの旅行客が「はしか(麻しん)」と診断されたと国立感染症研究所感染症疫学センターから報告がありました。
海外や他県から訪れた人が感染源となって、はしか(麻しん)にかかる人が沖縄を中心に急増。その後、この患者と接触歴のあった人を中心に、沖縄県内では麻しん患者の発生が続いているのです。
国立感染症研究所によると、2018年4月18日時点で報告された麻しん報告数は67例。その中でも沖縄県が46例と突出しており、特に沖縄県へ旅行へいく予定の方や空港を利用する予定がある方は注意が必要です。
感染性のある期間中に広く沖縄県内を移動していたためか、二次感染例が沖縄県の広い地域から報告されています。人の移動の多い大型連休を控えていることもあり、沖縄県内だけでなく都内なども含む県外での感染拡大が懸念されている状況。
発生状況
麻しんは毎年春から初夏にかけて流行。過去には平成19年と20年に10~20代を中心に大きな流行がみられました。
その後、平成20年より5年間は中学1年相当、高校3年相当の年代に1回ではなく、2回麻しんワクチン接種を受ける機会を設けたことなどで、平成21年以降は10~20代の患者数は激減したのです。
したがって平成30年現在は、ワクチン接種を1回しか受けていない可能性の高い20~30代を中心に感染するおそれがあり、予防接種の検討を厚生労働省が呼びかけています。
- 国立感染症研究所「PDF印刷 measles banner2measles banner<続報>沖縄県に関連する麻疹患者の発生状況について(平成30年4月19日現在)」(https://www.niid.go.jp/niid/ja/id/655-disease-based/ma/measles/idsc/7990-measles20180419.html,2018年4月25日最終閲覧)
- 厚生労働省「麻しんについて」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/measles/index.html,2018年4月25日最終閲覧)
- 国立感染症研究所「発生動向調査 速報グラフ2018年第15週」(https://www.niid.go.jp/niid//images/idsc/disease/measles/2018pdf/meas18-15.pdf,2018年4月25日最終閲覧)
予防接種が一番の対策。しかし妊娠中はNG
麻しんは感染力がとても強く、空気感染もするので残念ながら手洗い、マスクのみでの予防はできません。麻しんの予防接種が最も有効な予防法といえます。
また、麻しんの患者さんに接触した場合、72時間以内に麻しんワクチンの接種をすることも効果的だと言われておりますが、詳しくは、かかりつけの医師に相談してみましょう。
また、定期接種の子供だけではなく、医療・教育関係者や連休などに海外渡航を計画している大人も、麻しんの罹患歴や予防接種歴が明らかでない場合は予防接種をおすすめします。
麻しんのワクチンを接種することによって、95%以上の人が麻しんウイルスに対する免疫を獲得することができると言われています。
また、2回の接種を受けることで1回の接種では免疫が付かなかった方の多くに免疫をつけることができることがわかり、今では2回接種が推進されているのです。
妊娠中は麻しんワクチンは打てません
では妊婦さんは予防接種を受けられるのか気になるところですが、残念なことに予防接種を受けることができません。
理由は、妊娠中に麻しんにかかると流産や早産を起こす可能性があります。ワクチンには麻しんウイルスを含んでいるため、影響がでることがあるのです。
妊娠前であれば未接種・未罹患の場合、ワクチン接種を受けることを積極的に検討するべきですが、すでに妊娠している場合、ワクチン接種を受けることができません。
今回のように、麻しん流行時には外出を避け、人混みに近づかないようにするなどの注意が必要です。
妊娠中は一緒に暮らしている家族の対策が重要
すでに妊娠していて予防接種が打てない方は、一番身近にいる家族が感染しないよう予防してもらうことが大切です。
パパや同居者、麻しんにかかる可能性の高い人(例えば麻しんワクチンの2回接種を完了していない者で、医療従事者や教育関係者など麻しんウイルスに曝される可能性が高い者など)がいる場合はワクチン接種などの対応をしてもらいましょう。
感染力の非常に高い病気なので、周りの人たちの予防や認識を持ってもらうことも重要です。
沖縄県在住の赤ちゃんのママは自治体に問い合わせを
なお、沖縄県では、感染が拡大し、県内に流行の兆しが見られる状態(麻しん患者発生状況のレベル3)に達したと2018年4月4日に発表されています。
県内では、緊急措置として、生後6ヶ月~12ヶ月未満児への麻しんの予防接種勧奨・公費負担を検討することになっていますので、対象月齢の赤ちゃんを持つ沖縄県在住のママは、費用負担なく予防接種を受けることができるかどうか、地域の自治体に問い合わせてみてください。
- 厚生労働省「麻しんについて」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/measles/index.html,2018年4月25日最終閲覧)
- 沖縄県「本県の麻しん患者発生状況がレベル3になりました」(http://www.pref.okinawa.jp/site/hoken/eiken/kikaku/kansenjouhou/documents/h300403mashin_dai4hou.pdf,2018年4月27日最終閲覧)
- つだ小児科クリニック「MRワクチン」(http://www.tsudashonika.com/vaccination/mr/,2018年4月27日最終閲覧)
- ごとう小児科アレルギー科「麻疹・風疹(MR)」(http://www.drgoto.jp/medical/medical03.html,2018年4月27日最終閲覧)
しっかり予防をして連休を楽しみましょう
麻しんだけでなく、この時期は季節の変わり目ということもあり、体調を崩しやすいため、しっかり体調管理をすることが大切です。
とくに妊婦さんは麻しんの予防接種を受けられないため、周りの対策を十分にしたいもの。妊娠を考えている女性は、将来のおなかの赤ちゃんを守るため予防接種の確認、検討をしましょう。
筆者も麻しんが流行時に妊娠を考えていたため、かかりつけ医に相談し、妊娠前に予防接種を受けました。予防接種を受けた後は、妊娠してはいけない期間があるためそのことについても確認してください。
しっかり予防、対策をして連休をたのしみましょう。