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子供の食育調査結果から考える、野菜嫌いを克服するコツや考え方とは?

生活者の意識・実態に関する調査を行うトレンド総研が、子供の食育に関する調査を行いました。その結果、子供の野菜嫌いが顕著であること、それに対して親がどう対処してよいか悩んでいる実態が浮き彫りに。子供たちに野菜嫌いを克服してもらうため、最近では「ベジトレ」というキーワードが注目されています。ベジトレとは一体どのようなもので、克服するポイントはどこなのでしょうか?アンケート結果の詳細とともに、専門家のコメントを紹介します。

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子供の食育に関する意識や実態調査から見えるものとは?

「子供にはなるべく好き嫌いをせずに何でも食べてほしい」と思うのが親心。しかし、その気持ちもむなしく子供が野菜嫌いでなかなか食べてくれない…と悩んでいるママもいるのではないでしょうか。健やかな成長のためにも、小さなうちから野菜を食べられるようにしておきたいですよね。

先日、生活者の意識・実態に関する調査を行うトレンド総研が子供の食育に関する調査を行いました。結果を見てみると、多くのママが子供の野菜嫌いに四苦八苦している実態が見えてきました。

そんな調査結果とともに、専門家おすすめの野菜嫌い克服方法や、野菜を食べさせる際のポイントを紹介します。子供の野菜嫌いに困ってしまっているママ、必見です!

調査概要

  • 調査対象:20~40代女性 300名  ※小学校入学前(3~5歳)の子どもがいる人
  • 調査期間:2018年4月20日~4月23日
  • 調査方法:インターネット調査

子供が野菜嫌いになっている割合や家庭での取り組みの現状

野菜 PIXTA

最近、食育の中でも「べジトレ」というキーワードが注目を集めています。

べジトレとは、子供を野菜好きにするためのトレーニングのことを言います。ベジトレは、小学校入学前後の年齢を迎えた子供の食事傾向や、成長過程における人格形成にも大きな影響をおよぼすという見解もあるんです。

子供たちの多くが野菜に対する苦手意識を持つなかで、ママたちは克服させるためどのような取り組みをしているかを調査結果から見ていきます。

小学校入学までに野菜嫌いを克服してほしいと思うママが9割、取り組みは?

野菜 amana images

最初に「現在、お子様には嫌いな野菜がありますか?」とアンケートで聞いたところ、回答者全員が「ある」と回答。「小学校にあがる前までには、お子様に嫌いな野菜を克服してほしいと思いますか?」という質問では92%のママが「そう思う」と答えました。

野菜嫌い克服のため、具体的にどのようなことを行っているかを聞いたところ「細かく刻んだり、ミキサーにかけたりする」「苦手なものを食べたらごほうびのおやつをあげる」 「かわいい型でくり抜いて楽しく食べられるようにする」などの回答が寄せられました。

調理方法や下ごしらえの段階でなるべく子供が抵抗を持ちにくいような工夫をしたり、楽しく野菜を食べられるようモチベーションを上げるようにアイデアを考えたりと、ママたちはさまざまな手を駆使していることが分かります。

野菜嫌い克服のため、何をしたら良いかわからないママが8割超え

トレンド総研調べ

一方で、「小学校にあがる前に、子供が嫌いな野菜を克服できそうだと思う」と答えたママは半数未満の48%、逆に「思わない」と回答した割合が52%とわずかな差ではあるものの多数派となりました。

また注目すべきは「子供の野菜嫌い克服のために、何をしたら良いかわからないと感じることはありますか?」という問いに対し、「ある」と回答したママが8割以上もいた点。

子供の野菜嫌いを克服させたいという気持ちがあり、そのためには家庭での食育が大切であることは理解しつつも、行動ベースで何をしたらよいのか悩んでしまっている人がかなりの割合でいる、ということがわかります。

わが家の娘も比較的好き嫌いは少ない方ですが、ナスが苦手です。最初のうちは好物であるお肉と一緒に焼いて出す、カレーなどの中に溶け込ませるなどの策をとっていましたが、それでもナスだけを上手に除けて食べる姿を見ると次第に「またか」という思いが強くなり、結局「食べさせたいのにどうしたらよいのか…」と半ばお手上げ状態。

程度の差はあれど、他のママたちも同じような境遇で悩んでいるのだろうなと感じました。

専門家に聞いた!家庭での「ベジトレ」ポイント

浜田陽子先生 トレンド総研

子供の野菜嫌いに対して行動を起こせず困っているママたちが多い背景をふまえ、今回トレンド総研は子供の食事事情に詳しい栄養士・料理研究家・食コンサルタントの浜田陽子先生に、家庭での「ベジトレ」のポイントについて話を伺いました。

大きくポイントは「チャレンジのきっかけをつくること」と「苦手意識箇所の見極めとフォロー」の2つだそうです。具体的にはどういうことなのでしょうか。

パパ・ママ世代は「食育崩壊世代」

最近の親は子供の好き嫌いにひるんでしまい、 偏食を許容しすぎている傾向にある、と浜田先生は警鐘を鳴らします。

現代のパパ・ママ世代は共働き率が高く、時間的・精神的に余裕がないことが多いので、子供が言うことを聞かないと「注意するのが面倒」「平和に過ごしたい」という気持ちがつい先行してしまうことも。

さらに現代のパパ・ママ世代は「食育崩壊世代」だとも先生はおっしゃいます。

日本では食の欧米化が進み、食べれば食べるほどよいという風潮に。最もエネルギーを摂取していた高度成長期~バブル期で、ちょうど生活習慣病が社会問題にもなっていました。その世代を親に持つ、あるいは自身が親になった今のパパママ世代は、子供たちに大事さを伝える以前に自分たちが食育に対して知識が不十分、またはあまり重要に思ってないことが少なくありません。

ですが、子供たちを豊かに育てたいというシンプルで純粋な願いをかなえるためにも、子供の好き嫌いに振り回されることなく「子供たちが健康で幸せになるために、我々大人はどういう食事をどういうスタンスで提供すべきか」という視点を持って向き合うことが大切なのです。

1日3回の食事で、野菜を食べるチャレンジのきっかけをつくることが大切

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次に浜田先生が指摘するのが、食べてもいないものを嫌がる子供が多いという点。見た目が気持ち悪い、色が嫌いといった理由で、食べることにチャレンジすらしないという子供が近年多いといいます。なかには「ピーマンが食べられないから他の緑色の野菜も無理」という子供もいるそうです。

ここでポイントとなるのが、チャレンジのきっかけをつくること。子供はちょっとした助言で、嫌いだったものが食べられるようになることも。また「昨日は食べられなかったけれど、今日は大丈夫だった」というケースもあります。

子供はチャレンジと成功体験を繰り返し、積み重ねながらさまざまなことができるようになります。まずはチャレンジしてみるというスタンスは食だけにとどまらず、その後の子供の人格や考え方でも大切なステップになるのではないでしょうか。

1日のうちに3回も機会がある食事は、他のことと比較しても「できた!」と子供が実感できるチャンスが多くあります。野菜嫌いの克服という目先のことだけでなく、ベジトレを通し、子供が健やかで幸せな生涯を送れるようにするというのが食育のあるべき姿だと先生はおっしゃっています。

野菜のどの部分に苦手意識を持っているのか見極めてフォローする

また、野菜嫌い克服にはどこに子供が「おいしくない」と感じたポイントがあるのかを探すことも重要です。匂いや食感、味など野菜のどの部分に苦手意識を持っているのかを見極め、要因となっているところを親がフォローしてあげることが大切だと浜田先生はおっしゃっています。

もし生野菜でうまくいかない場合には、野菜ジュースを使うのもおすすめだそうです。実は、野菜ジュースは野菜を食べられるようにするための有能アイテム。そのまま飲むだけでなく煮詰めてソース風にする、カレーやシチューの水分代わりに使用、ゆで野菜とミキシングしてポタージュにするなど幅広い使い方もできます。

野菜ジュースを使った料理を出す際のポイントは、子供に「この料理に野菜ジュースが入っていたんだよ」と伝えること。「料理の中に野菜ジュースが入っていて自分の口に入った、自分は野菜を食べられた」と子供自身が理解することが成功体験につながり、野菜嫌い克服への次のステップにつながります。

小さなうちは克服できる可能性が十分にある!家族でベジトレに取り組もう

野菜 PIXTA

アンケート結果や専門家のアドバイスから参考になる部分は見つかったでしょうか。

浜田先生のコメントにもありましたが、子供はひょんなことから今までできなかったことができるようになる、ということも。

大人からのほんの少しのサポートや、背中を押す一言はとても大切。できなかった鉄棒の前回りができるようになる、補助輪なしの自転車になれるようになるのと同じで、嫌いな野菜もきっかけや応援があれば子供自身で克服できるかもしれません。

子供の内に秘めている可能性は無限大。寄り添う親自身があきらめてしまったりあきらめさせてしまったりするのではなく、子供の健康と幸せを願い、子供の可能性を引き出せる声かけや行動ができるようになりたいですね。

家族で楽しくおいしくベジトレに取り組んでみませんか?

今回、お話を伺った先生

今回話の調査と共に掲載された専門家の方は、浜田陽子(はまだようこ)先生。

株式会社Studio coody(スタジオコーディー)代表取締役で、専門分野は「食育」「乳幼児栄養」「妊産婦栄養」「ダイエット」 「生活習慣病」など。『心と体においしいレシピ』を提案。

雑誌・新聞・WEBへのレシピ提供、連載コーナーなど幅広く展開しており、テレビやラジオでは出演のみならず番組制作にも関わっている。更にはプランナー活動、大学での栄養学講師なども務め精力的な活動をされ、著書も多数出版。

プライベートでは2人の子供の母親。

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本記事は必ずしも各読者の状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて、医師その他の専門家に相談するなどご自身の責任と判断により適切に対応くださいますようお願いいたします。なお、記事内の写真・動画は編集部にて撮影したもの、または掲載許可をいただいたものです。

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