「母親はこうあるべき」に縛られていませんか?
人にはさまざまな事情や人生設計があります。けれど子供を持つと、そういったいろいろな背景に関わらずひとくくりに「お母さん」として扱われ、ある一定の期待や責任・義務がついてくる傾向はないでしょうか。
保育園・幼稚園に通うと、そこには暗黙のルールがあり、はみ出すと母親失格のらく印が押されてしまうような感覚を持つことも。たとえば参観日になかなか出席できなかったり、手作りのお弁当を持たせられなかったりするようなことがあれば、子供に関心がない、子育てに対する責任感が薄いと見なされることもあるかもしれません。
そのコミュニティにおける大多数の常識に反してしまい、陰口を言われるようなことになると、生きづらさを感じてしまうものです。
世間に合わせていればいいというわけではありません
©野原広子
「母はこうあるべき」といった基準は、時代、地域によってもさまざま。親子のきずなを大切にするアジア的文化に対し、欧米文化では子供の自立が重視されます。アジアの人から見ればそんなに早くから自立させるのかと驚く面もありますが、自立した親子関係に愛がないわけではありません。
関わるコミュニティ全員の「普通」に合わせるのは無理があります。かといって、こちらの主張を押し通しても摩擦は大きくなるばかり。そこに一定の距離を置き、うまく付き合っていくためのスキルが必要になります。
「怒らない子育て」の極意5つ紹介
母親としての罪悪感や自己嫌悪にさいなまれ、子供との関わりすべてに自信をなくして悩んでいる方もいるのではないでしょうか。罪悪感を強く持ってしまうお母さんは、反省していたはずなのに、子供が次にまた同じことをしたときにいっそう強く怒ってしまう傾向が。なぜなら、そこにはまた自分が苦しくなるという意識が働くからなのです。
嫌なのは、自分で「意味づけているもの」であって、自分でも子育てでもありません。自分のことも子育ても、つらいと否定する必要はないのです。
1.自分にOKを出す
©野原広子
つい、できていないことや子供に与えてあげられないことばかりに目が向いてしまうかもしれませんが、実はできていることもたくさんあるはず。
例えば虫歯がない、風邪をひかせていないといった健康面。わがままな反面自分の気持ちに素直だったり、行儀は悪いけれど食欲旺盛だったり。思い返してみると自分や、子供の成長に満足できることもたくさんあると改めて気がつくことでしょう。
ささいなことでも子供の良いところや自分の頑張りを積極的に認めてみれば、その自信によって結果的に良いサイクルが始まることもあります。よく頑張っている自分を確認して、自信につなげることも大切です。
2.周りの人もほめる
良いところに目が向くようになれば、他の人の良いところにも気がつくようになってきます。周りの人の良いところを見つけてほめるようにしてみると、相手は好意的に思い、ほめ返してくれることが多いもの。
まずは自分から歩み寄ることで、良好な関係を作るように心がけてみましょう。周囲の人と助け合えるような良い関係が作れると、自分への自信が取り戻せます。
3.大事にしたいことに優先順位をつける
子育てに自信が持てない理由の一つに、「どうしても人と比べてしまう」「自分にないものを願ってしまう」といったものがあるかもしれません。しかし人は、たとえ100%満足したとしてもまた次の新たな不満を探してしまうものです。
そこで、まずは自分が大事にしたいことに優先順位をつけてみましょう。一番大事にしたいことを明確にしてみると、必然的にそれ以外のことがあまり気にならなくなり、おのずとストレスの原因が少なくなってくるものです。自分にとって優先されることを大切に、目の前の子供との信頼関係を築けていれば、自信を失ったり、他人の評価に振り回されたりというようなこともなくなるでしょう。
4.子供の感情をあるがまま受け止める
感情は目に見えません。そのためそれを伝えるには、その感情が言葉と結びついている必要があります。
これは子供にとって最初は難しいこと。子供が喜んでいるときや泣いているときに、大人が「うれしいね」「悲しいの?」などと声をかけることによって、子供は自分の感じている感覚が「うれしい」や「悲しい」という言葉で表現されるのだと覚え、自分の感情と言葉をつなげることができるようになります。
感情は言葉と結びつくことによって人に伝えることかできるものになり、人と共有することができるようになります。感情が人に伝えられるものになることを「感情の社会化」と言います。
子供も大人と同じ。怒ることも嫌がることも泣きわめくこともありますが、成長過程においてはすべての感情が大切です。けれどそこで子供のネガティブな感情を否定してしまうと、その感情は社会化しないことになってしまうのです。
5.まずは「そうね」と受け入れてみる
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人の気持ちがわからないことで、コミュニケーション能力の問題が起こることも。幼少期に見落としたものが顕在化するのは、ほとんどが思春期以降となってきます。
感情表現の力を育てるためには、子供の感情がきちんと言葉とリンクする機会を増やすことと、子供がどんな感情を抱いたとしても、それを否定されない経験が大切。例えば「これほしい」と言ったとき、すぐにダメと言ったのでは、子供がほしいと思った自分の気持ちを否定されたと感じてしまいます。
一方で、「良いね。それかわいいね」「でも必要かどうかもう一度考えてみましょう」と言われれば、「良いな。欲しいな」と思った子供の気持ちは肯定されます。気持ちを共感してあげることで、子供の自己肯定感は守られるのです。
子供が優しい子に育つには、自分自身が優しく扱われることが必要なのではないでしょうか。お母さんも自分の気持ちを大切にしつつ、子供の気持ちも否定しない。そんなコミュニケーションを心がけたいものですね。
子育てのイライラ・怒りにもう振り回されないために
子育て中にイライラや怒りを感じるお母さんは少なくありません。その解決策を探したいと思っている人や子供の関係を見直したい、勉強したいと思っている人には書籍の中からヒントを見つけるという方法もおすすめです。
『子育てのイライラ・怒りにもう振り回されない本』
アンガーマネジメントの観点から、子育てのイライラ・怒りについて解説されています。
「うちの子も同じ」「私だけじゃないんだ」と共感できるような具体例がたくさん紹介されており、悩みを持つお母さんやお父さんの気持ちに寄り添ってくれるような優しい言葉の育児指南書。
子育て中の感情のコントロールに悩む人におすすめしたい一冊です。
本の中では子育て中のいら立ちや怒りの感情を切り抜ける方法について、具体例などを用いて優しく解説してされており、レビューでは共感しながら読めたという声もあがっています。
とにかく子供にイライラ、どうしてこうイライラするの?という人が手に取るには良い本かなと思います。具体例や、うんうん、わかる!という実例がたくさん載っていて、共感しながら読めました。ただ、私はアンガーマネジメントについて具体的に知りたかったし、もう少しまとまっていた方がよかったので、期待していたものとは少し違いました。1冊ですべて完結したい!という人には不向きかも。とはいえ、この本を読んで、少し怒りをコントロールできて子どもとの関係もよくなったと思うし、これから他の本も読んで勉強したいなと思います。 ※1
毎日の育児や家事に追われている中でつのるイライラや怒りをどうすればいいのか。1人では解決しにくい悩みの出口が見つかるかもしれませんよ。
少し肩の力を抜いて、怒らずに済む子育てを
©野原広子
誰しも理想の母親像というものがあると思います。けれど、現実にはなかなか理想通りにはいかないもの。そのギャップがお母さんの心にストレスを与え、ときには怒りの悪循環になる場合も。もしかすると子育て真面目に向き合える人ほど、余計に悩みは深いかもしれません。
今回ご紹介した本は、そんなお母さんの心に寄り添いながら、怒りをコントロールするコツを教えてくれる一冊。優しい言葉でつづられた文章は、心を軽くする助けになってくれるかもしれません。
筆者には小学生と中学生の子供がいますが、子育てが大変な時期を過ぎてようやく、何をあんなに怒ることがあったんだろうと振り返ることができるようになりました。怒っては後悔ばかりの毎日には、心が休まる暇がなかったように思えます。
悩めるお母さんだからこそリラックスが必要なことも。少し肩の力を抜いて、怒らずに済む子育てを目指してみませんか。