1歳6ヶ月健診の目的
1歳6ヶ月健診(1歳6か月児健康診査)とは、母子保健法によって行うことが義務づけられている定期健診です。国立成育医療研究センターでは、1歳6ヶ月健診を以下のように位置付けています。
1歳6か月は大脳支配が優位になり、運動面・知的面・行動面において人間としての基本的な能力を獲得し、外界に対して探索を広げるようになる時期である。身体的には呼吸機能・循環器機能・消化管機能・免疫機能が向上し、脆弱な乳児から幼児へと身体的安定が進む時期である。1歳6か月児健康診査では、身体的発育、運動発達・精神発達、身体所見の異常の有無をチェックする。 ※1
上記の目的のために、健診では事前の問診結果に照らし合わせながら、子供の成長の様子を観察、診察します。
1歳6ヶ月健診の項目
1歳6ヶ月健診で行う内容を紹介します。自治体によって実施する項目が異なるため、目安として参考にしてください。内容や混雑状況によりますが、すべての健診が終わるまで2~3時間程度かかるようです。
発育状況の確認
- 身長
- 体重
- 頭囲
- 栄養状態
身長、体重、頭囲が順調に増えているかを成長曲線をもとに確認します。子供ごとの個人差は考慮されるため、成長曲線の正常範囲であれば指摘はないでしょう。なお、食事の内容などを改善することが望ましい場合や、受診が勧められる場合は医師からアドバイスがあります。
問診結果の確認、子供本人の観察
- 運動発達
- 精神発達
- 生活習慣
- 予防接種歴
- 子育て状況
- 心配ごと
事前に記入した問診表をもとに発達状況を確認しながら、当日の子供の様子を観察します。
運動発達は主に歩けるかどうかを見ます。精神発達では絵カードを使った指差し、単語の発語、言葉への理解を確かめます。どれかできないことがあっても、そのほかの発達が正常であれば、受診の勧めなどはなく、様子を見る場合があるようです。
そのほか、生活習慣、予防接種歴、子育ての状況について問診表の内容にそって話しつつ、ママが心配に思っていることがあれば相談することも可能です。
診察
- 触診(胸部・頭部・頚部・腹部)
- 外性器の視診
- 視覚・聴覚健診
- 口腔内健診
体に異常がないか、医師が診察をします。触診では、生まれたときには開いていた大泉門が閉まっているかもチェックします。
聴覚健診では難聴の所見がないか、視覚健診では見え方のほか、斜視や眼瞼(がんけん)下垂(まぶたが垂れ下がる)などの異常がないかを見ます。口腔内健診では、虫歯をはじめとした口の中の状態を診察し、必要であれば歯科の受診を勧められるでしょう。
- 厚生労働省「母子保健関連施策」(https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000096263.pdf,2019年5月20日最終閲覧)
- 新潟市「乳幼児健康診査の手引き」(https://www.hapiny.niigata.jp/download/h27_kennsinn_syuusei5.pdf,2019年12月16日最終閲覧)
- 愛知県「第5節 1歳6か月児の健康診査」(https://www.achmc.pref.aichi.jp/sector/hoken/information/file/screening_manual/manual10.pdf,2019年12月16日最終閲覧)
- 国立成育医療研究センター「乳幼児健康診査 身体診察マニュアル」(https://www.ncchd.go.jp/center/activity/kokoro_jigyo/manual.pdf,2019年12月17日最終閲覧)
1歳6ヶ月健診を受けるときのポイントは?先輩ママの声
ここからは、1歳6ヶ月健診に行く際のポイントについて、先輩ママの声を紹介します。当日までの過ごし方や、受診時の持ち物などについて参考にしてくださいね。
検査内容に対して練習は不要
当時、息子は指差しもしなければ積み木を積むことはできませんでした。
でも、保健師さんと詳しく子どもについて話していく中で問題なしでした!
なのでそんなに練習したり必死に覚えさせなくても大丈夫だと思います😊
それよりも家での様子や普段の親子のやりとりを聞かれますよ✨
問診表に「積み木を積めますか」「絵を見て名前を答えられますか」などの言葉が入っていると、当日に実際にやるときのために練習すべきか悩みますよね。
しかし、健診はありのままの子供の状態を見せる場のため、練習は不要です。もし当日にできなくても、家庭での様子や普段の関わり方について話せば参考にして判断されます。気張らずにいつもの子供を見てもらいましょう。
お昼寝を済ませてから行くと◎
健診の時間がお昼ごろの場合、食事は済ませてから行った方がよいとの声です。混雑状況によっては長時間かかり、子供がおなかをすかせてぐずりだしてしまうことも。
健診中の食事はできず、水分補給のみ可能としている会場もあります。できれば家で食べさせ、空腹ではない状態で参加できるとよいでしょう。
できるだけ軽装で受診を
健診中は下着姿で身長と体重をはかったり、また服を着て待ったりと頻繁に脱ぎ着をします。また、検査項目ごとに列に並びなおすなど、移動が多いことも。
荷物はできるだけ少なく、子供の服装はサッと脱ぎ着できるものにしておくと楽でしょう。靴も脱ぎ履きしやすいものがおすすめです。
暇つぶしグッズが必要かも
長い時間、静かにじっとしているのは子供にとって簡単ではありません。並んだり待ったりするうちに嫌になってぐずぐずしてしまうかも。
そんな状況を防ぐためには、お気に入りの絵本やおもちゃなどの暇つぶしグッズがあるとよいでしょう。音が出るものは周囲の迷惑になる可能性があるため、できるだけ音が出ないものを選びましょう。
心配なことは相談してみて
(中略)
私は心配なことを、健診でいろいろと聞いて、安心したこともありました。
1歳6ヶ月健診の問診表を記入するうちに「わが子はまだこれができない」と気づくことがあるでしょう。ときにはできないことへの不安がふくらんで「健診に連れて行くのが怖い」と思うこともあるかもしれませんね。
しかし、健診は子供の異常を見つけるだけではなく、子育てについて専門家からのアドバイスが得られる場でもあります。できない部分を見せることを怖がらず「心配している」という旨を相談してみるとよいでしょう。この投稿をしたママのように「大丈夫」と言ってもらえれば気持ちが軽くなりますよね。あるいは、子供のために何をすればよいか具体的な案をもらえるかもしれません。
1歳6ヶ月健診の機会を子育てに役立てて
1歳6ヶ月健診は、子供の成長の状況について確認し、その後の子育てについてアドバイスを得られる貴重な機会です。できないこと、周囲と比べて遅れていると感じることなど不安はあるかもしれませんが、健診という機会を前向きに捉えて、子育てにいかしましょう。
心配なことは健診時に相談して、安心した気持ちで健診の会場を後にできるとよいですね。