親の離婚によって影響を受ける子供の名字
もしも離婚となった時に子供にかかる負担はどのくらいあるのでしょうか。夫婦別姓ではない現在は、婚姻時に女性側が名字を変更することが多く、また離婚時には女性側が旧姓へ戻すことにより親権者が母親の場合、子供の名字も母親に伴い変更されることが多いのが現状です。
周囲の反応が及ぼす負担
名字が変わった場合、個人差はありますが4~5歳以上の子供の場合、保育園・幼稚園や学校で、「どうして名前が変わったの?」と、子供同士で話題に上ることもあります。そして子供はその都度、親の離婚を周囲に説明しなくてはならない事態が発生し、ストレスがかかります。
また、親から状況の説明をされずに「今日からお名前変わったよ」といったようにある日突然名字が変わってしまった場合、子供自身が周囲へ説明もできず、心の中のモヤモヤ(不安・不満)が募り、親や社会への不信感につながることもあります。
子供の名字変更で生まれる父子断絶感
親が離婚をしても子供にとっては変わらずパパはパパ、ママはママです。しかしながら親の離婚によって自分とパパの名字が別になり、ただでさえ離婚によってパパの存在が遠く感じられる中、追い打ちをかけられるように父子の断絶感を覚える子供もいます。
ママ自身がパパに対してどんなに負の感情を抱いていても、そこに子供を巻き込み、子供とパパのきずなを勝手に断ち切って良いという理論は成り立ちません。
もしも子供の名字が変わることとなる場合、「名前が変わってパパとは違う名字になっても、パパと子供のつながりは変わらない」ということをママがしっかりフォローすることが大切です。
離婚後の名字選択も複数の観点から
離婚によって母親と共に子供も母方の姓へ変更することも一つの方法です。他方で、婚姻中の姓をそのまま継続して使用する方法も検討の一つにされるとよいかと思います。
ママ側のご実家のお気持ちもあることですので、安易な推奨はできませんが、子供にとって親の離婚後も名前が変わらないことで得られるメリットはたくさんあります。大人であれば心機一転何もかも変えてすっきりと新しいスタートを切りたいところではありますが、離婚したら旧姓に戻すという安直なフローではなく、子供の立場に立ち、ご実家の親御さまとも相談し、できればパパとも相談した上で結論を出すようにしましょう。
さいごに
今回は、名字の変更に伴う子供の心のケア方法についてご紹介しました。
離婚はしないに越したことはありません。しかし、時には離婚の二文字が頭をよぎることもあるでしょう。そんな時、自分の負の感情は一度脇へ置き、子どもにかかる負担について、少し立ち止まって考えてみませんか。全か無かではなく、複数の選択肢がきっとあるはずです。
- 諸富祥彦「ひとり親の子育て」全ページ(WAVE出版,2015)
- ヒューマン・ギルド「勇気づけ勉強会ELM講座テキスト」全ページ(ヒューマン・ギルド開発・非売品,2008)
いわもと くみこ(離婚カウンセラー/勇気づけ子育てコーチ)
NPO法人日本家族問題相談連盟認定 夫婦問題・離婚カウンセラー資格取得。その後、子育てコーチングを学び、親の離婚が子に与える影響に焦点を置き、現在「一般社団法人りむすび 共同養育アシスタント」としても活動中。また、ヒューマン・ギルド認定 ELM勇気づけリーダーとしてママ向け体験学習講座も行っている。