オンライン診療って何?どういう場合に受けられる?
オンライン診療は、スマートフォンやPCなどで診察を受け、必要に応じて薬の処方をしてもらうことができるシステムです。病院などに足を運んで医師から診察を受ける一般的な受診方法と違って、お家にいながら医師の診察を受けることができるのがメリットです。
便利な反面、医師から直接診察してもらうことができないため、これまでは生活習慣病などで定期的に通院している人だけが対象で、病気の種類も限定されていました。
しかし、新型コロナウイルス感染症が急速に拡大する中で、これまでと同じように病院を受診することが難しくなっている状況を踏まえ、非常時の対応としてオンラインや電話による診療を受けられる人が増えました。
初診でもオンライン診療を受けられる
大きな変更点として、初診でもオンライン診療が使えるようになったことがあげられます。例えば、風邪のような症状や皮膚トラブルなどで初めての病院を受診したいという場合、また引っ越しなどでもともとかかっていた病院以外を受診したいという場合でもオンライン診療を受けることができるということです。
自分の体調が悪いとき、子どもを連れて病院に行くのはとても大変です。荷物も多くなる上、病院までどうやって行くか、待ち時間に騒いでしまわないかなどと考えるだけで疲れてしまいますよね…。そんなときに、お家のリビングなどで、赤ちゃんを抱っこしながら診察を受けることができるのです。
草川先生からコメント
クリニックの内科医として対面診療と同様にオンライン診療を行っております。私自身も、障害がある病気の子を育てるママです。
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い初診の患者様もオンライン診療を受診できるようになって、子育て中のママにこそオンライン診療を活用していただきたいと感じるようになりました。
実際、来院されるママの中に、パパがお休みの土曜しか再診に来られない方がいらっしゃいました。体調不良でつらいのに検査結果とそれによる処方を1週間後まで待たなければいけない。そこで、オンライン診療をおすすめしたところ、結果が出た日にお家のソファで赤ちゃんと共に受診していただくことができました。
初診の患者さんがオンライン診療を受療できるのは新型コロナウイルス感染症流行による特例ですが、依然感染は収束しておらず、まだしばらくは継続されると思います。これから風邪やインフルエンザも流行します。
できる方はもちろん来院していただきたいのですが、来院を控えてしまっている方がいましたら、ぜひこの機会に、オンライン診療を活用されてみてはいかがでしょうか。
薬局に行かず、お家で薬を受け取れる
オンライン診療を受けた場合でも、薬を受け取りに薬局に行く必要はありません。 診察を受けた病院などから薬局に処方箋を送ってもらい、薬局からお家に薬を配送してもらいます。通常は、薬を受け取るときには薬剤師から説明を受けますが、電話などで薬剤についての説明を受けることになります。
子ども連れで薬局に行く際の待ち時間はとても長く感じますよね。思いの外長い時間がかかったり、子どもが早く帰りたがったり、おなかがすいて泣き出してしまったり…。お家で薬が受け取れるので、そんなストレスもありません。
草川先生からコメント
新型コロナウイルス感染拡大に伴う特例下では、初診の患者については、最長7日分の処方ができます。紹介状やお薬手帳があり継続して内服されていることが証明できるお薬についてはさらに長期に処方ができます。ただし、睡眠薬や抗不安薬など一部のお薬は悪用等の観点からオンライン診療では処方できないので、詳しくはご希望のクリニックまでお問合せください。
処方箋については、医療機関から薬局へFAXをお送りし、薬局から郵送もしくは直接取りに行っていただきます。郵送を選択すれば全てご自宅内で完結しますので、感染リスクも低く有効な手段だと思います。
- 厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(https://www.mhlw.go.jp/content/000534254.pdf,2020年8月17日最終閲覧)
- 厚生労働省医政局医事課「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」(https://www.mhlw.go.jp/content/R20410tuuchi.pdf,2020年8月17日最終閲覧)
料金ややり方、支払いなどオンライン診療についての疑問
オンライン診療が非常に便利なことは理解できても、画面越しの診察への不安や、何か準備すべきことはあるのか、費用をどのように支払うのかなどの疑問がありますよね。オンライン診療についての疑問についてまとめました。
オンライン診療のやり方は?
オンライン診療を受けるための手順は、このようなイメージです。
- 受診したい病院がオンライン診療に対応しているか確認
- 予約をとる
- 診察を受ける
- 薬を処方された場合は、薬を受け取る
電話で診察を受ける場合には必要ありませんが、オンライン診療にアプリを導入している病院もあります。手順1で、必要なアプリなどがあるのかも併せて確認しておきましょう。オンライン診療に対応している病院は、以下のリンクから確認できますよ。
草川先生からコメント
当院ではオンライン診療用のスマートフォンアプリを導入していますので、一例として当院でのオンライン診療の流れを説明します。
HPからアプリをダウンロード、必要事項を登録していただきます。こちらで確認後、問診票の記載や保険証・お薬手帳・身分証明書などをスマートフォンのカメラで撮影し、アップロードしていただきます。確認後、診療日時を決定し、アプリを通じてTV電話で診察を行います。
直接触診や聴診ができないので診断には限りがありますが、私の経験上、光がうまく当たれば扁桃腺が腫れているかどうかの観察程度はできる場合があります。もちろん、緊急性があると判断した場合や検査が必要な場合は対面診療をお願いしています。
診察の結果、お薬の処方がある場合は、こちらから薬局へ処方箋をFAXと郵送します。アプリの場合、登録したクレジットカードから後日決済されます。
オンライン診療の支払い方法は?
オンライン診療を受けた際の費用は、銀行振り込みやクレジットカード決済等の方法で支払います。実際に診療を受ける病院などによって対応が違うので、予約をとるときに確認しておくとよいでしょう。
また、薬局から薬を発送してもらう場合も同様で、薬を受け取る際に代金引換を利用するほか、銀行振込やカード決済などの方法で支払うことになります。
オンライン診療は医療費以外に料金がかかる?
ママリのアプリに、オンライン診療について以下のような投稿がありました。金額面が明記されていないと不安になってしまいますね。
前もって電話して料金が心配な旨を伝えて、保険が適応されるかなどを聞いたのですが、詳しい料金は聞けないまま診療となりました。
終わってからカードで決済しようとすると、子供の風邪薬をもらっただけで1600円!
(中略)
アプリやネットの情報には料金がわかりやすく載っておらず、きちんと調べなかった私が悪いのですが…普通こんなものなのでしょうか??
草川先生からのコメント
オンライン診療では、通常かかる診察料以外に情報機器の運用に要する費用として500-1,000円程度加算する医療機関が多いです(対面診療とオンライン診療とでは国で定められた保険による診察料も異なるため、単純にその分が高くなるわけではありません)。
自己負担3割の方が当院のオンライン診療を受診された場合、初診料+処方箋料+運用に要する費用+アプリ利用料で概ね上記の料金に近い金額になります。ただし小児医療証など公費負担となるものがあればそちらは適応されますので、受診する医療機関にお問い合わせください。
- 厚生労働省医政局医事課「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」(https://www.mhlw.go.jp/content/R20410tuuchi.pdf,2020年8月17日最終閲覧)
- 厚生労働省「オンライン診療に関するホームページ」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/rinsyo/index_00010.html,2020年8月21日最終閲覧)
子どもを連れての受診が不安なとき、オンライン診療を利用してみましょう
風邪でオンライン診療を受診できるのは、新型コロナウイルス感染症が拡大している今だからこその特例です。せっかく利用できる制度ですので、感染への不安や子育てに追われ自分の受診をためらっているママがいたら、ぜひオンライン診療を活用してください。 厚生労働省は自宅や職場近くの医療機関での受診を推奨していますので、ご自分にあった医療機関を探して、ぜひ受診してみてくださいね。
なお、身近な人が新型コロナウイルスに感染したなど、ご自身に感染の疑いがある場合には相談窓口などを利用して指示を仰ぐようにしてください。
※電話相談窓口、新型コロナウイルス感染症についての最新情報は、以下のリンクよりご確認ください。