不妊とは?
日本産科婦人科学会によると、「不妊」とは、妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しない状態をいいます。
同学会ではこの「一定期間」について「1年」が一般的だと定義しています。
- 日本産科婦人科学会「不妊症」(http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=15#:~:text=「不妊」とは、妊娠,と定義しています。,2020年8月31日最終閲覧)
不妊に漢方薬が処方される理由
不妊にはなぜ漢方薬が処方されているのでしょうか。
不妊の代表的な原因としては「うまく排卵が起こらない」、「卵管がふさがってしまった」などが挙げられます。このように原因を特定できる場合もあるのですが、不妊の原因が明確に分からないことも少なくありません。
そんな時によく用いられるのが漢方薬で、妊娠しづらい体質を改善する効果が期待できます。例えば女性の不妊は、ストレスや冷えも原因の1つとされています。こうした問題を改善する目的で漢方薬を用いて、妊娠しやすい状態へ体を整えていきます。
- 嶋田豊(監)「漢方薬辞典 改訂版」p105、p137、184(主婦と生活社,2016)
漢方を飲む前に、まずは自分の体質を知ろう
不妊に対して万能な漢方薬というのはなく、個々人の体質によって処方される漢方は異なります。
本記事では不妊に代表される体質を一部ご紹介します。
自分の体質に当てはまらないか確認してみてください。
①肝気鬱結(かんきうっけつ)タイプ
こんな症状はありませんか?
- イライラする・怒りっぽい
- くよくよ落ち込む
- おなかの張りを感じる
- 生理痛・生理不順がある
漢方では、ストレスなどが原因で「気」(心身を健康に保つエネルギーのこと)の巡りが悪くなっている状態のことを肝気鬱結(かんきうっけつ)と呼びます。肝気鬱結の状態になると、イライラや気分の落ち込み、おなかの張り、生理痛などを感じやすくなります。
「気」の巡りが悪い状態が続くと妊娠しにくくなることがあるため、イライラや気分の落ち込み、おなかの張りなどを感じるようであれば、早めに専門家に相談しましょう。
②血瘀(けつお)タイプ
こんな症状はありませんか?
- 肩こりや頭痛がひどい
- 顔色が悪い
- おなかが張る
- 寝つきが悪い
漢方では、全身の血の流れが悪くなっている状態を血瘀(けつお)と呼びます。血の巡りが悪くなる原因としては、ストレスや冷え、栄養不足などが挙げられます。
血の巡りが悪くなると、骨盤内の血液循環が悪くなることで妊娠しづらい体質になってしまうのです。
- 田中良子(監)「薬効別服薬指導マニュアル 第8版」p966〜967(じほう,2015)
- 嶋田豊(監)「漢方薬辞典 改訂版」p126〜135(主婦と生活社,2016)
漢方薬を購入するには
漢方薬は漢方薬局を始め、オンラインやドラッグストアで購入できます。最初は自分の症状がどのタイプに当てはまるかわからないかもしれません。そんな時はぜひ専門家のアドバイスを参考に、自分の症状に最適な漢方を選びましょう。
監修:薬剤師 加藤智之
北里大学薬学部を卒業後、大手ドラッグストアに就職。市販薬や健康食品・サプリメントの相談販売、処方薬の調剤業務に従事。その後、不妊専門クリニックの門前薬局にて、多くの不妊患者へ服薬指導を行った。現在はオンライン薬局YOJOにて、一人ひとりの体質に合わせた漢方薬の提案やサービス開発に従事している。
症状に合わせて医師に相談しましょう
記事内ではイライラや気分の落ち込み、おなかの張りなどのさまざまな症状を紹介しましたが、それらの症状だけで不妊かどうかを見極めることは困難でしょう。記事内で紹介した症状に心当たりがある場合は自己判断せず専門家に相談しましょう。
また、ご紹介した症状がある場合には下記も合わせてご確認ください。