PTAとは?
子どもが小学校に入学すると、頻繁に耳にするようになる「PTA」という言葉。PTAとは「Parents Teacher Association」の略語で、直訳すると「保護者と先生の協会」となりますが、保護者と先生のみならず、地域の住民も含めて協力して活動をする組織のことを指します。
PTAの活動内容はさまざまですが、次のような活動が代表的です。
- 運動会・展覧会・バザーなど学校行事の運営・サポート
- 地域の防犯性・安全性を高めるための活動
- 広報活動
PTAとは、各小学校に通う子どもたちの安全性を守ったり、学校行事のお手伝いをしたりして、子どもの成長を支えるための集まりなのです。
- 奈良市PTA連合会「PTA運営の手引き」(http://web1.kcn.jp/nara_city_pta_hp/pdf/unneitebiki.pdf,2021年7月29日最終閲覧)
- 日本PTA全国協議会「はじめましてPTA」(http://www.nippon-pta.or.jp/common/amcpoa00000008mt-att/hellopta210413.pdf,2021年7月29日最終閲覧)
PTAの役員の種類と仕事内容
PTAでは保護者を役員に任命して、それぞれの役員にあった仕事を任せます。小学校のPTA役員にはどのような種類があり、どのような仕事を任されるのでしょうか?
小学校のPTA役員は「運営委員」、「本部役員」、そして「常設委員」と大きく三つに分けらます。それぞれの種類ごとにどのような役職や名称、役割があるかはそのPTA組織によって異なります。
今回は神奈川県の案内しているPTAの内容と茨城県阿見町立本郷小学校のPTAをもとに一般的な役職をご紹介します。
運営委員
PTA全体の運営事案を進める執行機関です。本部役員と各常設委員の委員長などから構成される場合がおおいですね。このため、運営委員に関しては、本部役員や専門員の委員長との兼任というかたちになります。
具体的な役割としてはPTA総会に提出する議案の作成があります。また運営委員で決定した内容について各専門委員に連絡する役割もあります。
本部役員
ここからはPTAの中心となる本部役員である五つの役職を見ていきましょう。
PTA会長
会長はPTAのトップであり、保護者の代表である役職です。学校行事での挨拶をしたり、PTA協議会に参加したり、子ども会の行事に参加したり…と、最も表に出る機会が多いです。
行事のお手伝いや作業をする仕事よりも、PTAの代表としてさまざまなところに出席することが主な仕事です。
PTA副会長
PTA副会長は会長のサポートが主な仕事ですが、他の委員との調整や連絡をする役割も担っており、実質的にPTAを統括する立場と言えるでしょう。
書記
書記はPTA役員会の議事録を作成したり、PTAからの配布物を作成したりする役職です。文章に関する仕事が多く、企業で例えれば事務や庶務のような立場と言えそうです。
会計
会計はPTA内での金銭管理を担う役職です。保護者からの会費を計算したり、他の委員に分配したりと収入と支出を管理し決算を行います。PTAの金銭をすべて管理するため責任重大です。
会計監査
会計監査とは、会計が出した決算に対して監査を行い、監査した結果を総会で報告する役職。金銭を扱うため責任は重いものの業務が決算期に集中するので、仕事で忙しいパパママでも参加しやすいでしょう。
- 神奈川県「第2章 PTAの活動って何だろう?」(https://www.pref.kanagawa.jp/documents/16411/2.pdf,2021年7月29日最終閲覧)
- 阿見町立 本郷小学校「本郷小 PTA役員について」(http://www.town.ami.lg.jp/cmsfiles/contents/0000005/5015/hongo.pdf,2021年7月29日最終閲覧)
常設委員
ここから紹介していくのは、小学校のPTAにおいて専門的な役割を担う常設委員です。「専門委員」という呼び方をする場合もあります。
最近は児童数の減少にともなう保護者数の減少で小学校によっては設置されていない委員もあるでしょうが、一般的に設置されていることの多い役職について紹介します。
学年・学級委員
学級委員やクラス委員と呼ばれる役職は、子どもたちが学校で快適に勉強できるような環境を整えることが仕事。各クラスで1人ずつ設定されることが多く、親睦会の企画作成や懇談会の司会なども学級委員の役割です。
児童数が少ない単学級などでは学年委員と呼ばれることもあります。
広報委員
広報委員はPTAの広報誌を作成したり、ブログを更新したりと広報活動を一挙に担います。広報誌のテーマを決めて、内容を考え、写真を撮影し、編集する…という一連の作業を、1年に2~3回しなければならないので大変ですが、やりがいのある役職と言われています。
文化委員(成人教育委員)
PTA向け講演会や研修会の企画・開催の指揮を取り、PTA同士の親睦をはかるための行事を運営するのが文化委員の役割です。学校によっては文化委員が設定されていないこともあります。
地区委員・校外委員
地区委員・校外委員とは、子どもの校外での活動を支援するための役職です。登校班に参加する子どもの保護者と連絡を取り合ったり、集団下校訓練に参加したりと登下校に関する業務がメインとなります。
他には横断歩道で旗を持って安全に道路を渡らせる、お祭りやイベントの際にパトロールをして子どもたちの安全を確保するなどの業務があります。PTAによっては「安全委員」や「パトロール委員」と呼ばれることもあります。
ベルマーク委員
ベルマーク委員は、ベルマークを回収して学校に必要な備品を購入することが業務。学校中から集まったベルマークを集計するのが主な業務なので、細かい作業が得意な方におすすめの役職です。
- 神奈川県「第2章 PTAの活動って何だろう? 」(https://www.pref.kanagawa.jp/documents/16411/2.pdf,2021年7月29日最終閲覧)
- 阿見町立 本郷小学校「本郷小 PTA役員について」(https://www.pref.kanagawa.jp/documents/16411/2.pdf,2021年7月29日最終閲覧)
一般的なPTA役員の決め方は?
小学校のPTA役員にはさまざまな役職がありますが、決め方は立候補者を募る方法、くじ引きで決める方法、投票で決める方法などが一般的。
ママリに寄せられた投稿を見てみると、やはり立候補・くじ・投票で決めるという方法がほとんどでした。
(中略)
一旦みなさんに候補を出してもらって、候補者多数のところはLINEのあみだくじで決めるというのを最初に説明してから候補を決めてもらいました。
コロナの影響は小学校PTA活動にも影響しているようで、オンラインで役員を決めるという方も…。また、立候補がいなければくじで決めるというやり方で選んでいる学校もあるようですね。
このように、役員をどのように決めるかは小学校によるので、同じ学区の先輩ママからPTAの決め方について情報収集をしておくことをおすすめします。
PTAの役員や委員は断れる?
現在はおおくの小学校で設置されているPTAですが、仕事が忙しくて活動に参加できないなど、断りたいと思っている方も少なくないでしょう。PTAの役員や委員を断ることはできますが、やむ終えない事情がない限りは難しいです。
たとえば、妊娠中の方、乳幼児がいる方、病気で入院・通院が必要な方、ご両親の介護をしなければならない方などは、小学校のPTA役員を断ることは可能。ただし、仕事で忙しいからという理由では断れないケースが多くなります。
先輩ママたちからの意見を見てみると、仕事が理由で小学校のPTA役員をやらないことはできないけれど、特別な事情があれば認められることもあるという意見がありました。
妊娠中でつわりがひどい方や、シングルマザーで夫婦の協力体制が築けない方などは、事情を考慮してもらえる場合もあるようです。
PTAのメリット・デメリット
小学校のPTAに入らないことを希望する方も少なくありませんが、PTAに入ることにはデメリットとともに多くのメリットもあります。
PTAのメリット
- 知り合いの保護者が増えて情報を共有できる
- 先生たちと話す機会が増える
- 他のママたちから学びを得られる
他のママたちと仲良くなれて情報共有ができたり、学びを得られたり、先生と話す機会が増えたりと、人とのつながりが増えることがPTAに参加する最大のメリットです。
先輩ママからのコメントでも、実際にこのメリットを実感されている方がいらっしゃいましたよ。
PTAのデメリット
- 活動のために時間が割かれる
- 人間関係でストレスを感じることもある
PTAのデメリットは、やはり活動のために時間が割かれることです。また、人とのつながりが増えるというメリットがある反面、苦手な人がいると人間関係でストレスを感じることもあります。
先輩ママたちも、PTA活動と仕事の両立をデメリットだと感じているようです。
PTAを廃止する小学校もある?
最近ではPTA廃止の小学校もあることをご存じでしょうか?社会的に少子高齢化と共働き化が進んでいる現在、参加人数が減少したPTAで活動するには、1人1人の負担が大きくなることもあり廃止する小学校は増えてきています。
小学校のPTAが廃止されれば、半強制的なPTAへの参加がなくなり、活動費を支払う必要もなくなります。しかしその反面、学校行事の運営や保護者と学校との連絡が滞りがちになる可能性も。交通当番がなくなれば、子どもの登下校時の危険性も増します。
小学校でのPTAが廃止されると、パパママの時間的制約がなくなるメリットともに、今までのPTA活動がなくなることで、子どもの安全性や学校行事に支障が出てくる可能性があるデメリットもあるのですね。
ただ、役員の決め方、会費の用途の透明化、何よりPTAは任意団体なので入会することへの強制性がなくなることはPTAという組織を健全にするためにとても大切なことです。
このため各自治体の教育委員会などはPTAを健全に運営するための指針を示す場合も出てきています。
- 明石市「PTA の取組状況について」(https://www.city.akashi.lg.jp/seisaku/seisaku_shitsu/shise/kyoiku/documents/r1-1siryou4.pdf,2021年6月21日最終閲覧)
PTA主催のイベントで何をしよう?
小学校のPTAではイベントを主催しなければならないことがあります。もし主催イベントのアイデアに困ったら、次のようなイベントはいかがでしょうか?
- 育児に関する講演会
- 家庭教育について話し合いながらの茶話会
- 子育て相談会
- グループによるフリートーク
これらはいずれも静岡県のPTA主催で行われたイベントです。子どもの育て方・教育などに関して悩んでいることを話し合って解決策を考えたり、地元大学の教授に公園を依頼したり、学級ごとに家庭教育について話し合いながらお茶をいただいたり…。
いずれも同じ「小学校に通う子どもの子育て」をしている保護者が参加すれば、意義のあるPTA主催イベントになるのではないでしょうか。
イベントを企画する際のポイント
小学校でPTA主催イベントを企画する際には、イベントを通して得られる成果について考えることがポイントです。最初にイベントの目標を決めて、どのようなイベントであれば成果をあげられるか検討するとイベントのアイデアが浮かびやすくなります。
目標がさだまれば、それを達成するためにその他のイベントも考えつきやすくなるはずです。イベントを通して課題が見つかれば、さらにイベントの幅を広げていけるでしょう。
小学校のPTAには人とのつながりを深めるメリットも
小学校のPTA役員には本部役員・常設委員ともにさまざまな種類があります。そのため小学校のPTA役員は種類により仕事内容が変わりますが、仕事が忙しくて参加できないという方もいるはず。下の子との年齢差や免除期間を考えて、負担の少なくなりそうな時期に行うのがベストです。
しかし小学校でPTA役員をすると、イベントなどを通して人とのつながりが深められるというメリットもあります。最近ではPTAを廃止している小学校もありますが、先生や保護者とのつながりが深まるのれば有意義な期間になりそうですね。