きょうだい喧嘩によくある原因
ママパパが対応に困ることもあるきょうだい喧嘩…。「どうしてこんなに喧嘩するのだろう?」と不思議に思われるかもしれませんが、次のようなちゃんとした理由があって喧嘩をしているのですよ。
いたずら・からかい
子どものきょうだい喧嘩にありがちなのが、いたずらやからかいが喧嘩に発展するケース。
たとえばお兄ちゃん・お姉ちゃんやママパパにかまってもらえなくて寂しいと感じると、ちょっかいを出して気を引こうとする子は少なくありません。怒られているのにニコニコしているケースが「かまってほしかった」のサインですね。
ちょっとしたいたずらやからかいで済めば良いのですが、たまたまちょっかいを出された子どもの機嫌が悪い場合は喧嘩へと発展してしまうのです。
- 厚生労働省「ペアレント・トレーニング支援者用マニュアル」(https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000799080.pdf,2022年6月8日最終閲覧)
物の取り合い
物の取り合いも小さな子どもによくあるきょうだい喧嘩の理由です。たとえば兄弟でなくても、「そのおもちゃ貸して」「いやだ」というやり取りから喧嘩に発展してしまう…とのシーンは想像がつきますよね?
きょうだいの場合は同じ家の中で過ごしていますから、おもちゃだけでなくテレビのリモコン争いや座る場所の取り合い、そしてママの取り合いなど、取り合うものがたくさんです。
つまり自分の欲しいものが思い通りに手に入らないことで、取り合いからきょうだい喧嘩に発展するのですね。
無断利用
物の取り合いと似た理由ですが、物の無断利用がきょうだい喧嘩の理由となることも多いもの。たとえば自分のおもちゃを勝手に使われた、自分のお菓子を勝手に食べられた…などの例ですね。
無断利用で喧嘩をするのは、物の取り合いと根本的には同じ「独占欲」が芽生えるからでしょう。実際に双子を持つママたちは、子どもたちの間での「ママに対する独占欲による喧嘩」に悩むケースが多いそうですよ。
あまりに独占欲が強い場合は少し問題があるのかもしれませんが、多くの子どもは欲求の感情を抱えています。そのため「自分の物を勝手に使われた」という無断利用に対して怒って喧嘩になってしまうことがあるのですね。
- 厚生労働省「多胎育児過程の虐待リスクと過程報恩方支援の効果等に関する調査研究」(https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000520465.pdf,2022年6月8日最終閲覧)
- 心理科学「子どもの独占欲―自尊意識の育ち、その教育―(後半)」(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jraps/39/1/39_87/_pdf,2022年6月8日最終閲覧)
きょうだい喧嘩は悪いことなのか?
さまざまな理由で勃発するきょうだい喧嘩。それではきょうだい喧嘩をすることは悪いことなのでしょうか?
対応するママパパは「喧嘩しないの」と注意するかもしれません。しかしきょうだい喧嘩は決して悪いことではなく、子どもの人間関係の中で自然に発生するものなのです。
たとえば全く会話のない人同士で喧嘩をすることはありませんよね?きょうだいで喧嘩をするということは、きょうだい同士でしっかりと関わっていたり、会話をしていたりするということ。つまり「仲が良いほど喧嘩するは的を得ているということなのですね。
子どもたちはきょうだい喧嘩をすることで、競争意識や葛藤を学びながら、お互いが満足するにはどうすればいいかを考えるようになります。
そしてその葛藤を乗り越えた先で、相手に譲ったり、相手とやり取りしたりすることを学ぶのです。そのためきょうだい喧嘩は決して悪いことではなく、子どもの成長過程において自然に起こるもので、学習の機会だと言えるでしょう。
- 厚生労働省「保育所保育指針解説」(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/hoiku04/pdf/hoiku04b_0002.pdf,2022年6月8日最終閲覧)
きょうだい喧嘩(げんか)で手が出る場合の親の対応方法
きょうだい喧嘩で手が出る場合の対応は、まず喧嘩を止めることが最優先です。早く止めなければケガをする可能性も出てきます。
ただし、大声で叱ったりきょうだいのうち片方だけをかばったりするのはよくありません。パパママは次のような手順で止めに入ってあげてくださいね。
- 手を出されていたほうの子どもを違う部屋に連れて行く
- 手を出したほうの子どもに喧嘩の理由を尋ねる
- 否定せずに最後まで話を聞く
- 子どもの気持ちを受け止め共感してあげる
- きょうだい喧嘩で手が出るのは良くないと諭す
このように諭してあげた後は、手を出されていたほうの子どもがいる部屋に行き、同じ対応で話を聞き、きょうだい喧嘩をするのは良くないことだと注意をします。
きょうだいを平等に扱うことを意識して
きょうだい喧嘩で手が出ると、つい攻撃を受けている子どもをかばってあげたくなりますが、あくまでも2人を平等に扱う対応をすることが大切です。どちらの子どもも「自分が正しい」と思うからきょうだい喧嘩になるはずです。
そこで、片方がかばわれて片方が注意されれば、注意された子どもは不満を抱えたままになってしまいますよね。喧嘩の内容にもよりますが、きょうだい喧嘩に適切に対応するには「喧嘩両成敗」の意識で平等にすることを心がけてください。
無理に謝らせようとしない
ひどいきょうだい喧嘩になってどちらか片方が悪いと判断できたとき、「ごめんなさいって言いなさい」と無理に謝らせようとしてしまいがち。しかし、謝罪を強要すると子どもが意固地になってしまったり、納得がいかないまま謝らされていたりする結果となることも…。
「自分は悪くない」と思っているのに謝りなさいと言われたら、パパママも納得できない気持ちになりますよね?喧嘩をしていた子どもも、冷静になれば自分の言動を反省することはできます。
謝罪を強要するのではなく、まずは子どもの気持ちを落ち着かせて自分の行動を振り返らせ、自分から謝ろうという気持ちになるよう諭してあげましょう。
- 公益社団法人 母子衛生研究会「性格・親のかかわり・育て方」(https://www.mcfh.or.jp/netsoudan/article.php?id=897,2022年6月9日最終閲覧)
- 西宮市「第29回 「兄弟姉妹へのかかわり方」」(https://www.nishi.or.jp/kosodate/kodomomiraicenter/column/back/ootasensei_29.html,2022年6月9日最終閲覧)
きょうだい喧嘩にはルールも必要
子どもにとって多くのことを学べるきょうだい喧嘩。しかし、内容によってはきょうだい喧嘩にルールを設けることも必要です。
たとえば、物を投げたり相手をたたいたり、ひっかいたり、蹴ったりと手が出るきょうだい喧嘩をするならパパママがルールを設定しましょう。
2人で1人の子どもをたたくことや、相手が抵抗しないのにたたき続けることも禁止事項に入れておくと良いですね。
ケガをしてしまうようなひどいきょうだい喧嘩へと発展させないために、「これだけはしてはいけない」という禁止事項を作って、ルールを破ったらしっかりと叱り、いけないことをしたのだということを子どもに理解させるようにしてください。
手が出るきょうだい喧嘩に関する先輩ママの体験談
年齢の近いきょうだいの間で勃発しがちな手が出るきょうだい喧嘩。ママリに寄せられた投稿にも、ひどいきょうだい喧嘩を体験したというコメントが多く残されていました。
ここからは先輩ママたちの体験談を通して、手が出るきょうだい喧嘩についてもう少し学んでいきましょう。
いずれも先輩ママの子どもの話ではありませんが、ひどいきょうだい喧嘩になると、ハサミを持ち出したりケガをしてしまったりする可能性もあるようです。
ルールを設定しても禁止事項以上の行動に出ることも考えられるので、このようなきょうだい喧嘩があることも知っておいてください。
小さな子どものきょうだい喧嘩で多く見られるのが「噛みつき」です。ただ、きょうだい喧嘩の内容を観察していると、徐々に噛みついたり手が出るタイミングがわかるようになりませんか?
手が出ると思われるタイミングでパパママがさっときょうだい喧嘩を止めに入る…という対応をされている方もいるようです。
軽いたたきあいなら放っておくという先輩ママも、顔をたたいたり物を投げたりすることが注意するべきタイミングだと考えていらっしゃいました。
きょうだい喧嘩への対応は「冷静」と「平等」を意識して
手が出るようなきょうだい喧嘩になると、パパママも焦ってつい感情的になって対応してしまうことでしょう。
しかし、ひどいきょうだい喧嘩が勃発したときも、パパママに求められるのは冷静さです。そして、きょうだいみんなを平等に注意することを心がけてください。
内容に関わらず、子どもはきょうだい喧嘩で多くのことを学びます。感情コントロールが難しい子どもにとって多少手が出るのは仕方がないことかもしれませんが、ケガなどの惨事に発展しないよう、「きょうだい喧嘩をするときのルール」を設定して厳しく対応することも必要です。