イヤイヤ期で子どもが着替えをしてくれない…
イヤイヤ期を迎えたとたんに、洋服を着たり着替えたりするのを嫌がるようになった…。このようなお悩みはありませんか?
泣きながら服を着るのを嫌がると、ママパパとしてはかわいそうになることも。ただ服を着ないわけには行きませんし、保育園に行く前にイヤイヤされると、ママもイライラしたり苦痛に感じたりしてしまうものですよね。
イヤイヤ期によくある、子どもの「洋服を着るのを嫌がる」「着替えを嫌がる」のはなぜなのでしょうか?
もしかして触覚のせいかも?
イヤイヤ期の子どもは気分が乗らないとさまざまなことを嫌がる傾向があり、洋服を着るのを嫌がる理由もさまざまです。なんでも自分でしたがるようになるころなので、洋服を着せてもらうことが嫌だと感じている可能性もあるでしょう。
しかしイヤイヤ期に子どもが洋服を着たり、着替えたりするのを嫌がるのは、もしかすると「触覚」が関わっているのかもしれません。実は触覚は、イヤイヤ期のしつけやかしこい子育てに役立つものなのです。
- 国立障害者リハビリテーションセンター「イヤイヤ☆2歳児」(http://www.rehab.go.jp/application/files/1515/8226/5892/22_.pdf,2023年2月28日最終閲覧)
触覚はなくせない感覚であり、肌は心に直結している
- 何かに触ったことを感じる「触覚」
- 圧迫されているかどうかを感じる「圧覚」
- 痛みを感じる「痛覚」
- 熱さや冷たさを感じる「温度覚」
- 物の形状を感じ細かく判定できる「二点識別覚」
人間にはさまざまな感覚が備わっていますが、これらは全て「体性感覚」と呼ばれています。この触覚の最大の特徴は、なくすことができないということです。
なぜ触覚はなくすことができないのか
見たり聞いたりする「視覚」や「聴覚」は、目を閉じたり耳をふさいだりすることで一時的になくすことができます。しかし、触覚は肌に何か触れている限り常に脳へ情報を送り続けます。仮に何も触れていないように見えていても、空気には触れているので、空気の流れや気圧、温度や振動を感じています。
寝ているときも休む間もなく脳に情報を与えているのが触覚なのです。
触覚は心とも関係している
例えば、満員の電車内でじっとりした誰かの肌が触れて不快な気持ちになったり、恋人やパートナーと手をつなぐと幸せな気持ちになったりしたことはありませんか?これらは「触覚」が感情に働きかけ、さまざまな気持ちに変化しているからです。
触覚の持つこのような特徴を利用することで、子供の健やかなメンタルを作ることもできます。メンタルコントロールは難しそうに感じてしまいますが、触覚に対する意識を変えることなら、実は意外と簡単にできます。
なぜ新しい服を着ようとしないのか?
風邪を引くから、せっかく買ったんだから、サイズが合わなくなるから…理屈で説明しても子供が新しい服を着ようとしない、という経験をしたことがあるママはとても多いと思います。
大人からすれば「お金をかけて買ったものだから」「寒いから」と合理的に考えることで「服を着ない理由がない」という結論に至りますが、子供がそれを拒否すれば「困った子供だ」と思ってしまうでしょう。
こんなとき、子供はどのように考えているのでしょうか。生理学的な面から考えていくと、子供が服を着ない理由がわかりやすいと思います。
触れられることと、自分から触ること
脳は「わからない」ことに対してストレスを感じます。新しい服という未知のものが触れるということは、自分の体に何が起きているのかがわからないため、拒絶反応を起こしてしまいやすいのです。
親が買ってきた新しい服を子供がなかなか着ようとしないときには、未知のものに触れられることを本能的に避けているせいなのかも、と考えることができますね。
子どもが服を着てくれるようになる方法
それではイヤイヤ期の子どもに服を着てもらうにはどうすれば良いのでしょうか?触覚に関わる対処法を、先輩ママたちの体験談を交えながら紹介しますね。
購入段階で自分で選んでもらう
未知のものを本能的に避けるのならば、購入段階でできるだけ子供自身に触らせ、その感触を脳に伝えるようにしてみてください。自分で触れた服の感触が脳に伝われば、脳はその服を着たときの状態を予測できるので受け入れやすく、自発的に新しい服を着てくれるようになるかもしれません。
子供の脳に分かりやすい情報を届ける、ということを中心に考えてみれば、無理やり服を着させる苦労からも解放されるようになります。
お店屋さんごっこで遊びながら
お店屋さんごっこしてみたらどうですか? 私息子の時にこれやったら効果ありました^_^
すでに家にある洋服をイヤイヤ期の子どもに着てもらう方法として、先輩ママが試した方法が「洋服屋さんごっこ」でした。子どもが自ら触って選んだ洋服なら、新しい洋服でなくても受け入れやすくなるはずです。
洋服屋さんごっこは子どもが楽しく、遊びの中で自分の好きな感触の洋服を選べるステキな対処法ですね。
服自体を褒める
「きっとすごく似合うよ」「この洋服すごくかっこいいよね」と、着る前にたくさん洋服を褒めるとすんなりと着てくれることがありますよ。ママパパのポジティブな言葉から、子どもの脳が「良い触覚」を予測するからかもしれませんね。
イヤイヤ期の子どもでも褒める言葉は素直に聞いてくれやすいので、かしこい子育てのしつけ法として応用できるでしょう。
- 国立障害者リハビリテーションセンター「イヤイヤ☆2歳児」(http://www.rehab.go.jp/application/files/1515/8226/5892/22_.pdf,2023年2月28日最終閲覧)
好きなキャラクターの服を用意する
3歳近くなるごとにアンパンマン柄なら納得して着るようになって上から下までアンパンマン総柄女になり。
子どもの大好きなキャラクターがついた洋服を準備するのもおすすめの方法です。大好きなキャラクターが肌に触れている触覚で、子どもが幸せを感じることもあるのではないでしょうか。
好きなキャラクターの洋服は子どもの視覚と触覚の両方に働きかけて、イヤイヤ期の洋服問題を解決してくれるはずですよ。
「触覚体験」をたくさん積み重ねよう
イヤイヤ期の子どもに洋服を着てもらうためには、触覚から選ばせることや良い触覚を想像させることが大切でした。触覚体験を応用すれば、イヤイヤ期のしつけでもかしこい子育てができるようになりますよ。
応用して「触覚」を育ててみよう
子供たちに豊かな触覚刺激を与えるには、まずは子供の脳をTVなどの視覚情報から開放してみましょう。電子機器は簡単に情報が得られ、一度始めるとやめられないことも多いですが、それをまず、やめてみるのです。
そしてリモコンやゲーム、スマートフォンなど、視覚情報が得られて動かせる機器の置き場を決め、必ずそこに置くようにしましょう。
しばらく行うことで、定位置に物を置けば行動がコントロールでき、置かなければコントロールできなくなるということを実感できるはず。子供の意思や性格ではなく、脳の仕組みによるものだということが理解できるかと思います。
家事手伝いは触覚体験の宝庫!
次に、さまざまなものに触れる機会を作りましょう。日常生活の中でも豊かな触覚体験ができるチャンスはたくさんあります。その一つが、家事の手伝いです。
例えば料理は、野菜や肉、魚などさまざまなものに触れることができます。質感、重さ、温度などを感じ取ることで脳がその情報を受け取り、嫌いな食べ物を食べるストレスが少なくなります。
洗濯物を干せば、ぬれたタオルやパジャマなど、普段とは違う服の感覚を味わえます。洗濯物を取り込むときには、日の光をたっぷり浴びたよい香りや手触りを感じ取ることができるはずです。
触覚を育てながら、親が世話をやかなくても自分で動ける子供へと育っていくよい機会になります。休みの日や時間に余裕のあるときだけでもよいので、子供と一緒に身の回りのことから始めてみるとよいでしょう。
子育ては生理学でうまくいく
生理学の視点から考えてみると、子供の謎な行動や理解できなかったかんしゃくも解明できることがあるかもしれませんね。
作業療法士の著者が、心理学ではなく生理学の視点から考えてみた脳の仕組みを知り、子供にそれを教えていくことで親子で問題解決に取り組むことができますよ。
生理学で考える子供の思考『脳に任せるかしこい子育て 無理なく着実に才能を伸ばす!』
行動を変えることで子供の考え方も変わる
©中野サトミ
なんでも「いや、いや」と反抗的になるイヤイヤ期のしつけは大変だと思われがちですが、実は「触覚」を活用すればかしこい子育てができるようになります。
イヤイヤ期に洋服や着替えを嫌がる子どもにも、子どもの触覚に訴えかけるように行動をしてみてください。驚くほどすんなりと洋服を着てくれるようになるでしょう。
ママパパが感情的に叱ってしまうと、さらに逆効果になることもあります。子どもの心をうまくコントロールするように行動を変えれば、イヤイヤ期のしつけもしやすくなり、かしこい子育てへと近づけますよ。