お店に入った途端の「買って買って!」は大人の衝動買いと同じ
人はパッと目に入った情報に気を取られるもの。これは、大人も子供も同じです。
気に入って買ったのに使っていないものはありませんか。もっとよく考えてから買えばよかった…と後悔したこと、誰しも一度はあるはず。これがいわゆる「衝動買い」です。
ふと目に入った情報を「これはどう使おうか、本当に必要か」としっかり考えずに行動してしまうのは、大人にもあることなのです。
「買って買って!」と言う子供の脳の中でも、これと同じようなことが起きています。お店に来て目に入ったものに気を取られたり、友だちが持っているものを見つけたりすると、それが本当に好きなわけではないのに「欲しい!」と錯覚してしまうのです。
では、どうしたら、この「欲しい!」と思うスイッチを切り替えることができるのでしょうか。
大切なのは「動機づけ」
衝動買いをしないためには、よく考えることが大事。同じように、子供にも考えさせることが必要です。
親から「ダメ!」と言われるだけでは、余計に欲しくなり逆効果。自分の意志で「こうしたい!」という気持ちになれるよう良い方向に行動できる「動機づけ」がカギなのです。
「欲しい!」スイッチが入っているとき、子供の脳は視界に飛び込んできたおもちゃやお菓子の情報でいっぱいになり、その情報によって欲しい気にさせられている状況。本当に欲しいわけではないので、せっかく買ってもらってもそのおもちゃで遊ばない…ということに。
「勉強したらこれを買ってあげる」というのも同じこと。脳は物でその気にさせられているだけなので、分からないことにぶつかると簡単にあきらめてしまいます。
つまり、「買って買って!」を解決するのに「買う」は役立たないということです。
やる気のスイッチボタンは脳にある
親にとってはやっかいな「買って買って!」ですが、この「欲しい」という気持ちと何かを「がんばろう」という気持ちは、脳の内側前頭前野という部位が関係しています。
欲しいときとやる気があるときは、どちらも脳がやる気になっているということ。このやる気を良い方向に向けてくれるのが「動機づけ」です。
正しい動機づけがあると、自分の意思で決めたことは失敗したり周りから評価されなかったりしても最後まで頑張る力になります。
自分で情報を集め、考え、納得して行動するというパターンが身につくと、結果的に聞きわけなく「買って買って!」と言うこともなくなるでしょう。
やめさせたいときはこう言いましょう!
育児書などでよく見かける「いったん受け止める」という考え方がありますが、それは子供の脳が冷静になって考えるきっかけになるからです。
「買って買って!」が始まったなら、すぐに「ダメ!」と言いたくなるのを抑えましょう。「ふーん、それが欲しいの?」とか、「おもしろそうだね」など、子供が興味をひかれた気持ちを共有します。すると、今まで見ているおもちゃやお菓子でいっぱいだった子供の脳は、ママと会話するためスペースを空けるようになります。
これは、ほかのものに気を引くこととはちょっと違います。そうすると脳をいっぱいにしているものをすり替えただけになってしまいますが、会話をすることで興味の対象をものから人へと変化させることが、子供自身が考えるきっかけになるのです。
注意が分散され、「欲しい!」という気持ちに執着せずにすむというわけです。
上手にシェアトークして
子供の気持ちを上手に聞き出すシェアトーク。これは子供が成長しても使えるテクニックで、大人にも効果的です。
「ゲームをやめなさい!」と言うのは簡単ですが、なかなか一度では言うことを聞かないものですよね。でも、「面白そうだね」「どうやってやるの?」など興味を共有し、子供と同じ目線になってみると、無理やりやめさせられたという不満を感じることを減らせます。
親子での会話も増えるので、まずは「ふーん、そうなの?」と、子供の気持ちを聞く一言を身につけておきましょう。
子育ては生理学でうまくいく
親は子供のためにできるだけのことをしてあげたいと思い、毎日頑張っています。でも、なんだか空回りに思えたり、これで良いのか不安になったりすることはありませんか。
『無理なく着実に才能を伸ばす! 脳に任せるかしこい子育て』では、人の体の造りから考える生理学という観点から、子育てを考えています。
普段なじみのない生理学ですが、子供のしていることの理由がわかるので、イライラする子育てから抜け出すきっかけにできるかもしれません。
「脳に任せるかしこい子育て 無理なく着実に才能を伸ばす!」
子供の脳を知ると、魔の2歳児も上手に乗り切れる
子供の「買って買って!」はママの悩みの種。買い物は毎日のことなので、本当にストレスを感じますよね。
しかし、子供の脳で起きていることを知ると、子供の「買って買って!」にもちょっと冷静に向き合える気がしませんか。
筆者には今小学4年生の息子がいます。生理学の知識はありませんでしたが、小さいときから気に入ったおもちゃがあるとき、気が済むまで一緒に遊んで「これ、楽しいねぇ~また遊びに来ようか」と言って帰り、その中から本当に使いそうなものだけを買い与えることにしていました。
いつも心が満たされるせいか、おもちゃをねだられて困るということは今まで一度も記憶がありません。小学生の今は、毎日決めているゲームの時間が終わると自分で片づけています。「ゲームをやめなさい!」と叱る必要はありません。
始めはちょっと手間がかかると感じることもあるかもしれませんが、やがて自分で考え、自身でやる気スイッチを押せる意志の強い子供に成長してくれれば、親としては頑張りがいがありますよね。
子供のイヤイヤ期にうんざりしたときは、ちょっと先を見て、子供の脳で起きていることを想像しながら大変な時期を乗り越えましょう。