子供が集団行動ができず心配…そんな経験ありませんか?
幼稚園や保育園へ通い始める年齢になると、皆で同じ行動を行う「集団行動」をする機会がそれまでより格段に増えますよね。
お友だちと一緒に楽しく遊ぶ姿や、笑顔でおしゃべりする姿を見るとつい顔がほころんでしまいますが、よくよく見ていると「うちの子供って周りの子と同じことができないのかな…?」という場面に遭遇してしまうことも。
ママリにも、子供の参観日の日に不安を感じたママからの声が投稿されていました。
いつもやんちゃで結構手がかかるんですが、
今日幼稚園の生活ぶりを見て
この子大丈夫なのかな?と不安だけが残りました。
みんなに溶け込めてないというか
集団行動ができておらず、
お歌も歌ってないし、手遊びもしないし、
自分のやりたいことだけをやりたいようにやるって
感じで先生の言うことも聞いてるのか聞いてないのか、、
お友達のコップを床に投げつけたり、
それも悪いことをしたと認識してない感じです。
先生が横にずっとついてる状態でした。
しつけが悪いのか、障がいなのか、ただのやんちゃなのか。
人にケガさせないか不安です。
自分の子供が他の子と同じ動きをしていないことを知りました…と書き込んでくれたママ。確かに他の子たちが同じことをしている(できている)のに、自分の子供だけできていない状況を目の当たりにしてしまうと、ママは心配になってしまいますよね。
1人だけ歌わない・踊らないならまだしも、友だちの行動を邪魔してしまっていると、これは個性なのかそれとも自分のしつけが悪いのか、何か障がいが原因なのか…と更に不安が増してしまいます。
子供が他の子と同じ動きができないのはどうしてなのでしょうか。
大切なのは「同じである」という意識づけ
皆と一緒に行動できない、共同作業ができないことの原因には、同じ行動から生まれる共感が得られにくいことが関係している、と菅原洋平さんは著書でおっしゃっています。
また、エクササイズを通して脳神経の働きを鍛えればできなかった集団行動ができるようになる、とも述べています。一体どのような原因・理由があるのかを一部紹介します。
他人と同じ動作をつかさどるミラーニューロン
人間の脳には、相手の動きを見ただけで脳内世界であたかも自分自身が動いたかのように再現する、という働きがあります。それらの働きを担当する神経群は「ミラーニューロン」と呼ばれています。
ミラーニューロンは、相手の動きを脳内世界で自分に置き換え再現することでその相手を感覚的に理解し、「相手に共感する」というコミュニケーションにおいて、とても重要な役割を担っていると考えられています。
いわゆる「空気を読む働き」は、相手の動作が脳内で再現され、それに反して自分自身も同じ動きをしたという脳のミラーニューロンによる現象といえます。
ミラーニューロンの働きは鍛えることが可能
前述したミラーニューロンの働きから、相手に共感することとは正反対に「相手が自分とは全然違う動きをしていると、その相手に共感しにくい」という反応も示します。
周りがきちんとした姿勢を保っているときに体が傾く、皆が少し動いただけでも怖がってしまうような子供は、集団の中では「違う動きをしている人」として認識されてしまいます。そうすると、ミラーニューロンの働きによって共感されにくくなるのです。これが共同作業ができない原因になってしまっている場合もあります。
ですが、複数人で同じ動きをするエクササイズや遊びを通し、子供のミラーニューロンの働きを鍛えることが可能です。親子でエクササイズに取り組み、周りに共感されやすくかつ自分も相手に共感しやすい脳を育てましょう。
親子で同じ動きをしてみる機会を作ろう
周りと同じ動きや共同作業が得意になるためにはミラーニューロンを鍛えることが大事ですが、実はちょっとしたゲームを通して複数人で同じ動きをすることでもよい刺激になります。
菅原洋平さんが著書内で紹介している簡単エクササイズの一つ「シーツでスマートボール」を紹介します。
「シーツでスマートボール」ゲーム紹介
ゲームの詳細は以下の通りになっています。
- 不要なシーツや大きめの段ボールに穴をいくつか開け、その部分に点数を書く。開けた穴のサイズに合うボールを用意する。
- シーツ・段ボールの四隅または両端を2人ないしは4人で持つ。
- シーツ・段ボールの上にボールを落とし、参加メンバーで協力し体を傾けながら穴にボールを入れていく。(手は動かさない)
- 一定時間内に何点取れるかを競い合う。
このゲームでは、定めた目標の穴にボールを落とすため、他人と動きを合わせ意図的に体を傾けるという共同作業をすることで、脳内で再現するミラーニューロンを鍛えることができます。
また、一緒に布団をたたむ、洗濯物を干すなど通常の家事の時間を使って親子で共同作業することでも応用ができます。最初は親が子供の横に並ぶことで親の映像を反転しなくてもよくなるので、より行動を再現しやすくなります。子供がだんだん慣れてきたら対面して行うと良いでしょう。
子供へ意図的に声かけをし一緒に共同作業をする機会を増やせば、ミラーニューロンの働きが鍛えられ親密な雰囲気が生まれやすくなり、次第に友だちとの共同作業もスムーズにできるようになります。
子育ては生理学でうまくいく
作業療法士というリハビリテーションの専門職である立場から、著者の菅原さんは「子育てを心理学的ではなく生理学で考えること」を提案しています。
日常の何気ない場面を生理学的にひもとき、行われている習慣を見直すだけで子供の能力を伸ばせるチャンスが多く見つかります。また子供たちに脳をうまくいかす力を身につけさせるためにも、親自身が自分の脳のことを知り、仕組みを子供にも伝えることが重要になります。
生理学を使った子育てを行えば、自分の子供の様子が人体のどんな仕組みから起こっているかが分かるようになり、接し方が変化します。すると次第に子供自身も自ら行動し、成長するように。そして親も子供も成長していくことが楽しくなっていくのです。
『無理なく着実に才能を伸ばす! 脳に任せるかしこい子育て』
考え方1つで子育ては楽になれる
近頃は核家族化や夫婦共働きが進むなど、ちょっとした育児・しつけの心配ごとも簡単には相談しにくい時代になりつつあります。家事や仕事で忙しいママが、育児に対して視野が狭くなったり考えが偏りがちになったりするのは、仕方が無いのかもしれません。
ですが、本当にささいな行動や考え方一つで、自分自身の行動や子供のやる気が急激に良い方向へ変化することがあります。
わが家の4歳の娘を例に挙げると、それまでひらがなに対して一覧表や書き方帳を渡してもあまり興味を示してこなかったのが、幼稚園の友だちから素敵な内容のお手紙をもらったことがきっかけで、自ら「この字はどう書くの?」と聞くようになりました。本人いわく、「大好きな友だちから手紙をもらったのだから、自分も自筆で返事をしたい」とのこと。そういうきっかけが本人のやる気・行動力につながるのだな…と内心驚いたのが今でも忘れられません。
考え方一つ変えるだけで、きっと子供も自分自身も変われるし成長だってできます。子供と自分のポテンシャルを信じて育児やしつけに取り組めるとよいですね。