子供はなぜ、思うように育たないのか?
子供は成長し自我が芽生えてくると、ママやパパの言うことをなかなかきかなくなってきます。本当はとても愛しているのに、子育てがうまくいっていないのは自分だけではないかと不安に感じることはありませんか。毎日イライラしているママや、つい怒鳴ってしまって後悔しているママもいるでしょう。
子育ては、思うようにいかないことがあるものです。ママリでもこのような投稿がありました。
つい感情的になってしまうことは誰だってあります。子供を叱りつけて後悔したり、自分が嫌になったり。子育てのコツのようなものや、子供と向き合うときのポイントがあれば、ぜひチャレンジしてみたいですよね。
そういうママにおすすめしたいのが、子供をどうにかするというよりも、まずはママ自身の気持ちを変えるということ。同じことを言うにも、言い方を変えるだけで子供への伝わり方が変わることがあります。
子供の良さを活かす言葉のかけ方、ちょっと考えてみませんか。ママのストレスや不安も軽くできるもしれません。
わが子を活かす言葉・潰す言葉
私たちは、毎日たくさんの言葉を発しています。ほかの人と話すときは言葉に気をつけるのに、家族の中ではつい強い口調になってしまうということはありませんか。大切なのは、「何を言うか」ではなく「どのように言うか」ということです。
今回は鈴木博さん著『わが子が幸せになるお母さんの一言 「心の法則」で育む親子の絆』という本の中から、つい言ってしまいがちな言葉にどんな力があるのか、そしてその言葉をポジティブな言葉に置き換えるために、どのような考え方ができるのかを紹介します。
普段何気なく使っている言葉を、子供が幸せな気持ちになる素敵な言葉に変えるポイントがわかります。イラッとしたり、強い言葉を投げたくなったりしたとき、ちょっと立ち止まって考えるヒントが見つかるかもしれません。ぜひ参考にしてみてください。
NG「何やっているの、はやくしなさい」
朝の忙しい時間、「早く起きなさい!」「忘れ物ない?」と、機関銃のように子供がするべきことを次々に言っていませんか。学校へ遅れないように通わせ、自身も出勤するまでに家事を済ませなければ…という思いから、それをそのまま子供に投げつけてしまう…。
忙しいから仕方ない、と言い訳したくなりますが、当たり前のように聞こえるこれらの言葉も、実は子供が自分で考えて行動する意欲をそぐことにつながっているかもしれません。
子供は「何でも親が言ってくれるから、言うことだけやっていればいいんだ」と考えるようになってしまいます。では、どうすれば子供自身が自分で考え、親に言われなくても自ら行動するようにうながすことができるのでしょうか。
OK「どうしたらよいか知っていると思うから、任せるね」
子供は自分で考えて納得したことは、親から何度もうながされなくても進んで行おうとします。何でも指示を出していては、自分で考える隙がありません。子供が自分で考えて行動できるようサポートしましょう。親が子育てにおいて目指すのは、そういう姿勢ではないでしょうか。
朝が忙しいのは毎日のこと。遅刻しないためには、何時に起き都度何をしなければならないか、子供は理解しているはずです。「どうしたらよいか知っていると思うから、任せるね」と、自発性に任せる勇気を持ちましょう。
子供のタイプや生活スタイルによって家族のルールは異なりますが、起きる時間やしなければならないことを話し合って決めたなら、子供が自分で行動するよう見守るようにします。もしルールを守れず遅刻したり困ったりしても、その経験を通して、決めたルールをきちんと守ることの意味を理解できるようになります。
野放しにするのではありません。教えたことをきちんと守れる子供の可能性と、それをしっかり教えた親の頑張りを信じる勇気です。
NG「ちゃんとやりなさい」「しっかりやりなさい」
やる気になって欲しく、「ちゃんと○○しなさい」と言うことはないでしょうか。親はしっかりとした大人になって欲しいという気持ちから厳しく言い聞かせているつもりが、それを言われている子供には違った意味に聞こえていることがあります。
「ちゃんとしなさい」ということは「失敗してはいけません!」という圧力になっている可能性も。「頑張ろう」と思うどころか、「失敗して怒られたくないから、言われたことだけしていよう」と悟ることになります。これでは親の願いと言葉が矛盾していることになってしまいますね。
子供の努力を否定することなく、やる気を良い方向に導くにはどんな言葉をかけると良いのでしょうか。
OK「あなたらしくやってみれば」「どうしようと思っているの?」
親が思う正解が子供のためになるとは限りません。「子供のことは親が一番よくわかっている」という思い込みは捨てましょう。
親が思う「ちゃんとしている」にこだわると、子供自身が持つ「やってみよう」という気持ちを否定してしまうことがあります。子供がどう考え、どうしたいと思っているのか時間を取ってよく聞き、自信をもってチャレンジしてみるように励ましましょう。たとえ親の予想と違っていたとしても、子供を信じて応援します。
始めは「ちゃんとできていない」と心配になるかもしれませんが、子供自身は自分で考え行動できることに満足感や達成感を得て、やる気をキープできるようになるでしょう。こういう失敗は無駄にならないものですよ。
NG「お姉さんなんだから、我慢しなさい」
きょうだいげんかの仲裁はなかなか難しいものです。どちらかの味方ばかりをすることもできないし、いつも放っておくと家の中は大変なことになってしまいます。そんなとき、年上のお兄ちゃんやお姉ちゃんに我慢させ解決しようということになることがあるのではないでしょうか。
でも、それで本当によいのでしょうか。年上の子はけんかのたびに、ただ先に生まれてきたというだけの理由で我慢させられるばかりです。自分より年下の弟や妹に、優しい思いやりを示したいという気持ちを育むことにはつながらないのではないでしょうか。
OK「親が裁判官にならない」
親がいつも弟や妹の味方をしていると感じると、嫌な存在だと認識してしまうかもしれません。それだけでなく、親がけんかの仲裁役になると「どうしたら自分の味方になってくれるか」と考えるようになるのです。その状態では、いつまでたっても子供同士で解決できるようにはなりません。
子供がおもちゃを取り合っているとします。どちらかに譲るよう求めるのではなく、「2人ともそのおもちゃがほしいんだね」「お姉ちゃんはどうしても貸したくないんだね」など、肯定的な観察を述べてみましょう。どちらかの味方になるのではなく、どちらかを責めるのでもありません。
自分で納得し進んで自分のおもちゃを貸せるよう、また年下の子は自分で貸してもらえるように働きかけるのです。親が介入するのではなく、子供の気持ちを受け止めて見守るように心がけましょう。
NG「しょうがないわね、今日だけよ」
子供に「今日だけ」「これが最後」という理屈は通用しません。ぐずる子供に手を焼いてしまう親が、自分に言い聞かせるための言い訳に過ぎないのです。
おもちゃやお菓子を「買って!」とせがむ子供は、本当にそれが欲しいわけではないことが少なくありません。泣き叫ぶことで、親が自分の思い通りになるか試している、ということも。そのため、「これが最後」だと言って何かを買い与えても、子供にとっては最後にはなりません。むしろ、泣けば言うことを聞いてくれるということを学びます。そして、次回は思い通りになるまでさらに激しく泣き叫ぶことになるでしょう。
親は、何としても妥協しない心の強さが必要です。そうしなければ、これから先ずっと「今日だけ」「これが最後」を繰り返すことになります。大人になっても、誰かが何とかしてくれるという甘えた考え方から抜け出せなくなってしまうかもしれません。
OK「今日は買わない」という約束を守る
子供が大きな声で泣き叫んでいると、周りの目が気になるものですよね。でも、ここで根負けするともっと苦労することになります。子供の将来のためにも、ここは心を鬼にしてきぜんと対処しましょう。
「今日は買わない」と約束したなら、それを繰り返し言って聞かせましょう。妥協の余地はありません。買ってしまう方が楽に思えることもありますが、目先の問題を手っ取り早く解決しようとすると行き詰まってしまうのが子育てです。
約束したことや決めたことは、面倒だと感じるときも親が率先して守るお手本を見せましょう。子供は自分に都合が悪いときでもきちんと約束を守る親を信頼し、自分もそうしようと努力するようになります。この努力は一生続く価値のあるものです。負けないで!
言い方一つで、子供の行動が変わります
天使のようにかわいく感じていたわが子が成長と共に扱いにくくなったり、子育てのストレスに爆発しそうな気持ちになったりすることは誰にでもあります。自分をダメな親だと決めつけてしまわないようにしましょう。
言葉を発する前に、一瞬立ち止まって考えてみませんか。言葉は口から出すと巻き戻すことができません。とても愛しているはずの我が子を傷つけてしまうこともあります。言う前に何をどう考えたら良いか、ヒントが詰まった1冊を紹介します。
「わが子が幸せになるお母さんの一言 」
著者の経験と交流分析の理論に基づいて親子のコミュニケーションを分析し、親子の会話の具体例をあげながら子供のやる気を育てる会話術を解説しています。
第1章では、親としてつい言ってしまう言葉とそれが子供にあたえる影響について取り上げられています。さらに、子供のやる気を潰す一言を言ってしまったときに、心のバランスの取りやすくなる考え方のヒントも扱われており、親としての姿勢や言葉を見直すきっかけになる1冊です。
言葉で変わる!子供を幸せにする言葉を選ぼう
親は毎日、子供にたくさんの言葉をかけています。朝露のように優しい言葉もあれば、ゲリラ豪雨のように強すぎる言葉もあるでしょう。せっかく話すのなら、子供が幸せな気持ちになり、子供のやる気をアップさせられるような言葉を選べるようになりたいですよね。
いつもうまくいくわけではないかもしれません。でも考え方や親としても視点を変えてみると、言葉を上手に選び、子供の良い反応を引き出せるようになります。子供は親の変化に誰よりも敏感で、素直に応えようとします。
子供のやる気は勉強だけでなく、生活の中のさまざまな行動にあらわれます。自分で考え納得して行動するよう励ましましょう。決めたルールや約束を強い心でしっかり守り、親も子供も一緒に成長していけると良いですね。