世の中にはさまざまな感染症がありますが、中には特徴的な熱の出方(熱型と言います)をし、そこから原因が推測できることもあります。
代表的な熱型には、次の三つがあります。
- 稽留熱(けいりゅうねつ):1日の中で体温の変化が1℃以内で高熱が続くパターン
- 弛張熱(しちょうねつ):1日の中で体温の変化が1℃以上あるが、平熱にはならないパターン
- 間欠熱(かんけつねつ):発熱が数時間持続するが、その他は平熱になるパターン
前述した四つの感染症(マイコプラズマ肺炎・RSウイルス感染症・アデノウイルス感染症・インフルエンザ)を見てみると、マイコプラズマ肺炎は稽留熱~弛張熱、RSウイルス感染症は弛張熱、アデノウイルス感染症は稽留熱~弛張熱、インフルエンザは稽留熱~弛張熱のパターンを取りやすいと言われています。
マイコプラズマ肺炎では、投稿されたケースのように熱が上下することもあれば、高熱が続くこともあります。
四つの感染症と出現しやすい熱のパターン
- マイコプラズマ肺炎:稽留熱~弛張熱→熱が上下する場合も高熱が続く場合もあり
- RSウイルス感染症:弛張熱→1日の中で1℃以上の体温変化はあっても平熱にはならない
- アデノウイルス感染症:稽留熱~弛張熱→熱が上下する場合も高熱が続く場合もあり
- インフルエンザ:稽留熱~弛張熱→熱が上下する場合も高熱が続く場合もあり
- 厚生労働省「RSウイルス感染症」(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-15.html,2021年11月24日最終閲覧)
- 厚生労働省「咽頭結膜熱」(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou17/01.html,2021年11月24日最終閲覧)
- 久留米大学医学部医学科「感染症の診断と治療」(http://www.med.kurume-u.ac.jp/med/imed1/students/syllabus/kansen01.pdf,2021年11月24日最終閲覧)
質問⑤家族が肺炎に…うつりますか?
娘も義母の風邪を貰って5日の夜~10日の夜まで咳・鼻水・発熱が続きました。
(中略)
そんな中義母が肺炎にまで悪化。
現在娘は咳・鼻水・今日の夕方から発熱(微熱)があります。
入院する前日まで義母とは会っていたし、マスクなしで抱っこもしてました。
(中略)
明日も熱があるようなら小児科を受診予定でいますが、その際に義母の肺炎は伝えた方がいいんですか?
どんな感染症でも同様ですが、家族が感染症になった場合、同じような症状が他の家族に出てくると「うつったかな」と心配になりますね。
こちらのママも義母の肺炎が子どもにうつったかもしれないと心配なようです。マイコプラズマ肺炎の場合、どのような感染経路でうつってしまうのでしょうか。また予防はどうすれば良いのでしょうか。
齋木先生の回答:マイコプラズマ肺炎は家族間でうつることがあります
マイコプラズマ肺炎は、感染者のせきの飛まつを吸い込む飛まつ感染や感染者と身近で濃厚接触する接触感染で感染すると言われていて、家族のほか、学校などでも感染の伝播(でんぱ)がみられます。 ※感染の伝播=うつること
投稿されたケースでは、マスクを着用せずに抱っこもされていたということから、飛まつ感染・接触感染の可能性があります。
感染経路は通常の風邪やインフルエンザと同様なので、家族がマイコプラズマ肺炎に感染した場合には、こまめに手洗いをすることが大切です。また、患者のせきから感染するので、せきの症状がある場合には、マスクを着用するなどせきエチケットを守り、患者との濃厚な接触を避けるようにしてください。
なお、受診する際には、家族や学校での流行状況を伝えると、診断の重要なヒントになりますので、必ず伝えるようにしてください。
- 中外医学社「感染経路,感染予防策」(http://www.chugaiigaku.jp/upfile/browse/browse1842.pdf,2021年11月29日最終閲覧)
マイコプラズマ肺炎の感染経路と予防
- マイコプラズマ肺炎は、飛まつ感染・接触感染でうつる
- 家族間・学校などでも感染の可能性がある
- 家族がマイコプラズマ肺炎になった場合はこまめな手洗いやマスクの着用を
- 病院を受診する際は家族や学校での流行状況を必ず伝える
- 厚生労働省「マイコプラズマ肺炎に関するQ&A 平成23年12月作成、平成24年10月改訂」(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou30/index.html,2021年11月24日最終閲覧)
- AskDoctors「マイコプラズマ肺炎の原因」(https://www.askdoctors.jp/articles/200129,2021年11月24日最終閲覧)






