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ママの料理負担は約9割?男性学の視点で考える『公平な家事バランス』の目指し方

男性の家事・育児への参加は増えてはいるけれど、料理に関しては女性に負担が偏っているのが現状。どうすればパパが食を担えるか、大正大学心理社会学部准教授で「男性学」の第一人者である田中俊之さんに聞いた。

PIXTA

諍い(いさかい)を避けずにぶつかり合い “見える化”して家事の再分配を

外出自粛やテレワークで在宅時間が増えた昨今。それに伴い男性の家事・育児への参加度合いが高まっている。しかし、料理に関しては女性に負担が偏り続けている(図1、2参照)のは一体どうしてなのか。

図1:コロナ禍における男性の育児・家事に対する 参加度合いの変化のアンケート

ⓒFQ JAPAN

※リンナイ調べ(n=500)

「積極的に家事・育児に参加するようになった」という回答が60%以上を占める。都市部では通勤に往復2時間はかかることを考えると、これを機に参加する男性が増えたのはある意味自然な結果ともいえる。

図2:コロナ禍によって増加した育児・家事についてのアンケート

ⓒFQ JAPAN

リンナイ調べ(複数回答・n=439)

料理の負担増加を多くの女性が感じているが、男性は54%に留まっている。ということは、料理の分担を見直すことで、フェアな家事バランスを目指せるだろう。「料理」周りにはまだ男性の家事参加の隙があるのだ。

「1つには賃金格差の問題です。日本ではフルタイムでも男性10に対して女性7という格差があり、男性が『自分は稼いでいるから家事、特に料理への貢献は女性の方が多くて当然』と考えてしまいがちなのです。また、『男は仕事、女は家庭』という意識がまだ根強いことも要因でしょう」と田中先生。

この意識を変えるには、「これは自分の問題だ」と受けとめる少数派が先行して行動を変え、少しずつ広げていくしかない。では具体的に、何から始めたらいいのか。田中先生によると、まずは夫婦の役割を見直すこと、そしてその時、波風が立つのを嫌がらないことが重要だそう。

お互いの意見が食い違った時にも、「諍いが嫌だから」と止めるのではなく、「夫婦の関係をより良いものにする」というゴールを見失わず、ぶつかりあうことが大切なのだ。

「その時、男性は自分の非を認められず、自分はやれる限りやっているなどと現状を正当化してしまう人も多いでしょう。そうではなく、“相手からそう見えているんだ”とまずは真摯に耳を傾けましょう。そのうえで、よくある『家事・育児分担チェック表』みたいなものを一緒にやってみてください。すると女性に偏っている現状が一目瞭然になるはずです」。

そこからもう1回ルール決めを行なうのだが、その内容は個々の家庭の状況に合わせ、男女、収入に関係なく、お互いにフェアだと感じられる分担を考えていくのが大切だそう。

「男性に時間的な余裕があるなら家事をもっと増やしてもいい。難しければパートナーに言われた食材の買いものだけでもいい。みんながこうだからうちもこう、という考えでは、家族でいる意味がありません。うちの家族はこうだ、という独立性を持ちましょう」。

最後に、男性が家事・育児に参加することで、得られるものとは何かを聞いてみた。

「最も大きなメリットは、時間に対する意識の変化です。仕事中心で生きてきた人は、会議が15分延びても気にならないはずです。でも保育園のお迎えが迫っているのに15分延びるなんて非常に迷惑ですよね。そうやって時間の感覚や優先順位が変わる経験が大切なんです」。

会社員になると、「自分は社会を知っている」と勘違いしがちですが、それはあくまでも一部。地域や家庭も社会の一部で、別の時間軸や価値感が存在する。それが分かることは、モノの見方が広がる大きなチャンス。

「そういう視野の広いパパがいる家庭は、結局家族も幸せなのではないでしょうか」

教えてくれた人

田中俊之さん

社会学者。武蔵大学・学習院大学・東京女子大学等非常勤講師、武蔵大学社会学部助教を経て、2017年に大正大学心理社会学部准教授に就任。男性が男性だからこそ抱えてしまう悩みや葛藤を対象とした学問「男性学」の第一人者として、メディア等で広く活躍している。

文:笹間聖子
FQ JAPAN VOL.60(2021年秋号)より転載

記事提供:FQ JAPAN

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