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「息子にとって、初めての大切なハレの日。だからこそ、きちんとした形で迎えたかったんです」
そう語るのは、都内在住の派遣社員、美咲さん(仮名・30歳)。彼女が経験したのは、長男のお宮参りの日に起こった、信じられないような出来事の連続だった。
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里帰り出産、そして迎えたお宮参りの日
美咲さんは里帰り出産のため、しばらく実家で過ごしていた。慣れない育児に奮闘する日々の中、ようやく迎えた長男のお宮参りの日。夫の拓也さん(仮名・32歳)とは離れて暮らしていたため、当日の段取りは電話やLINEで入念に打ち合わせたと振り返る。
「写真館の予約時間、その後の神社の場所、そして何よりも服装です。『当日はスーツでお願いね。黒か濃紺の、ちゃんとしたやつで』と、何度も念を押しました。両家の両親も集まりますし、息子にとって一生に一度の行事ですから、夫にもきちんとした格好で臨んでほしかったんです」
美咲さんの言葉からは、この日のために細心の注意を払っていた様子がうかがえる。しかし、その思いは、当日あっけなく裏切られることになる。
迎えに来た夫の姿に言葉を失う
お宮参り当日。約束の時間に、拓也さんが美咲さんの実家へ迎えに来た。インターホンが鳴り、玄関のドアを開けた美咲さんは、その場に凍り付いたという。
「言葉が出ませんでした。本当に…。夫が着ていたのは、白いTシャツにカジュアルなジャケットを羽織っただけの姿。もちろん、ネクタイなんてしていません。どう見ても、フォーマルな場にふさわしい服装ではありませんでした」
呆然とする美咲さん。何度も「スーツで」と伝えたはずなのに、なぜこんな格好で来たのか。怒りよりも先に、理解できないという困惑が押し寄せた。
「『なんで…?』という気持ちでいっぱいでした。でも、ここで何か言っても雰囲気が悪くなるだけだと思い、必死で平静を装いました。息子にとって初めての行事ですから、私の感情で台無しにしたくなかったんです」
リビングでは、美咲さんの母親が息子の準備を終えて待っていた。母親も一瞬、拓也さんの服装に驚いた表情を見せたが、すぐに気を取り直し、場を和ませようとしたという。
「母も内心では色々と思うところがあったはずですが、何も言いませんでした。ただ、その沈黙が余計に夫の服装の場違いさを際立たせているように感じました」
写真館での気まずい時間
写真館に到着すると、プロのカメラマンが手際よく撮影の準備を進めていく。華やかな祝い着に身を包んだ長男は、まるで天使のようだ。フォーマルなワンピースを選んだ美咲さん。しかし、その隣に立つ拓也さんの姿は、どう見てもその場から浮いていた。
「カメラマンさんやアシスタントさんも、どこか戸惑っているような、それでいて気を使っているような複雑な視線を感じました。鏡に映る私たち家族三人の姿は、ひどくちぐはぐで…息子の一生の記念になる写真なのに、どうしてこんなことになってしまったんだろうと、悔しくて涙が出そうでした」
それでも、美咲さんは母親だった。「ここで私が不機嫌な顔をしたら、それこそこの子の初めての記念写真が台無しになってしまう」。その一心で、こみ上げる怒りや羞恥心を必死に押し殺し、カメラマンの指示に合わせて笑顔を作った。
撮影が終わり、カメラマンから「お疲れ様でした!素敵な写真がたくさん撮れましたよ」と声をかけられた時、美咲さんは張り詰めていたものが少しだけ緩むのを感じた。少なくとも、写真という形に残るものは、なんとか無事に終えることができたのだ。
「ひとまず、最初の関門である写真撮影は終わりました。正直、心からは笑えませんでしたが、息子の可愛らしい姿はしっかりと写真に残せたはずです。それだけが救いでした」
美咲さんは安堵の息を小さくついたが、それで胸のつかえが全て取れたわけではなかった。むしろ、夫のこの調子を目の当たりにしてしまった今、これから神社で会う義両親のことが、より一層重く心にのしかかってきていた。
この日の波乱は、まだ始まったばかりなのかもしれない――そんな不吉な予感が、どうしても拭えなかった。美咲さんは、腕の中ですやすやと眠る息子の小さな手をそっと握りしめ、どんなことがあってもこの子の笑顔だけは守り抜こうと、静かに心を固めた。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
イラスト:糸野内たおる
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