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「夫の服装だけでも頭が痛かったのに、これから義両親に会うのかと思うと、本当に気が重かったです。でも、まさかあんなことになるとは…」
そう語る美咲さん(仮名・30歳)の声は、当時の衝撃を物語るように、わずかに震えていた。長男のお宮参りの日、夫・拓也さん(仮名・32歳)のありえないTシャツにジャケットという服装で写真館での撮影を終えた一行は、次なる目的地である神社へと向かっていた。
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募る不安、そして的中した悪夢
写真館での気まずい時間をなんとか乗り越えたものの、美咲さんの心は晴れないままだった。拓也さんの服装に対する不満はもちろんのこと、これから会う義両親のことが頭から離れなかったのだ。
「あれだけ念を押したのに、夫がこの調子ですから…。正直、義両親がどんな格好で現れるのか、想像もしたくありませんでした。でも、心のどこかで『まさかね、お祝い事だし、常識的な服装で来てくれるはず…』と、わずかな期待も抱いていたんです」
しかし、その淡い期待は、神社に到着した瞬間、無残にも打ち砕かれることになる。
神社の駐車場に車を停め、境内へと向かうと、そこにはすでに義両親と義妹の姿があった。遠目にも、その異様な雰囲気に美咲さんは息をのんだ。
「言葉を失いました。本当に、悪い冗談かと思いました」
美咲さんの目に飛び込んできたのは、お世辞にもお宮参りにふさわしいとは言えない義両親の姿だった。
義父は、何度も着古したであろう薄汚れたパーカーに、色褪せたジーパン。お祝いの場というよりは、近所のコンビニにでも行くようなラフすぎる格好だ。そして義母は、鮮やかな緑色のチェック柄のシャツに、これまた普段着としか思えないパンツスタイル。ハレの日を祝うという意識が全く感じられない、あまりにも場違いな出で立ちだった。
唯一、義妹だけが黒のスーツパンツを履いており、まだしも常識的な範囲内だったのが、不幸中の幸いと言えるかもしれない。
「私の母と顔を見合わせましたが、二人ともあまりのことに声も出ませんでした。ただただ、ドン引きするしかなくて…」
夫の反応、そして義母の衝撃発言
このありえない状況に、美咲さんは拓也さんに助けを求めるように視線を送った。
「夫に小声で『ちょっと、お義父さんたちの服装、あれどういうこと?こういう時はフォーマルな格好が常識だよって言ってなかったの?』と伝えたんです。そうしたら、夫はバツが悪そうに顔をしかめて、不貞腐れたような態度を取るだけで…。本当に情けなくて、涙が出そうになりました」
夫からの援護射撃は一切期待できないと悟った美咲さん。もはや諦めの境地で、義両親に挨拶をする。義両親は特に悪びれる様子もなく、にこやかに孫の顔を覗き込んでいる。その神経が、美咲さんには理解できなかった。
ご祈祷の時間まで、一行は待合室で待つことになった。気まずい空気が流れる中、義母が美咲さんの隣に座り、話しかけてきた。
「当たり障りのない世間話をしていましたが、ずっと心の中はモヤモヤしていました。そんな時です、義母がとんでもないことを言い出したのは」
ニコニコと笑顔を浮かべながら、義母は隣にいた義妹に向かってこう言ったという。
「聡子ちゃん(義妹)も、そろそろどこかで赤ん坊でも拾っといで〜!ハハハ!」
その言葉を聞いた瞬間、美咲さんの頭はカッと血がのぼるのを感じた。
「耳を疑いました。『拾っといで』…? 私が命懸けで産んだ息子を、まるで道端に落ちている物のように言うなんて。しかも、悪意なく、冗談のつもりで笑いながら言っているんです。信じられませんでした」
美咲さんは、怒りと悲しみで言葉を失った。すぐそばには、何も知らない無邪気な息子がいる。その息子に対して、実の祖母がそんな心無い言葉を投げかけるとは。
「私は息子を拾ってきたわけじゃない。十月十日お腹の中で大切に育てて、陣痛の苦しみに耐えて、命懸けで産んだんです。そのことを一番よく知っているはずの身内から、こんな言葉が出てくるなんて…。冗談だとしても、絶対に言ってはいけないことだと思いました」
怒りに震える美咲さんだったが、ここでも声を荒げることはできなかった。息子の初めてのお宮参りを、これ以上台無しにしたくなかったからだ。ただ、固く唇を噛みしめ、怒りを必死に心の奥底に押し殺すしかなかった。
「この時点で、私にとってこのお宮参りは、楽しい思い出どころか、思い出したくもない悪夢のような時間になっていました。」
ご祈祷が終わり、一行は食事会へと向かうことになる。美咲さんの心には、義母への不信感と、やり場のない怒りが渦巻いていた。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
イラスト:糸野内たおる
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