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主人公・藍子は親友の希に対し、過去の発言も含めて相手を傷つけていることを指摘します。希は藍子の指摘にショックを受けたのか、電話口で大声をあげて叫び始めました。驚いた藍子でしたが、希からの申し出により電話のかけ直しを待つことに。希からはどんな話があるのでしょうか。
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親友との電話越しの喧嘩に疲弊
電話口で大声をあげた希。かけ直すと言われてから20分ほど、祐樹と待機していた。
「藍子は自分なりに頑張って話していたよ」
祐樹は娘を抱っこしながら、穏やかに言った。
「ありがとう…でも、希にちゃんと伝わっているかな」
「伝わっているはず。希さんも葛藤しているんだと思うよ」
祐樹のこの言葉と同時に、着信音が鳴った。
「ずるい」「なんでわたしばっかり」自己中心的な発言を繰り返す親友
「もしもし」
できる限り落ち着いた声を出して応答した。電話の向こうから、希の涙声が聞こえる。
「藍子ばっかり、ずるいのよ」
「え?」
一瞬、希が何を言い出したのかわからなかった。
「藍子なんて、おっちょこちょいで平凡で私がフォローしなければ友達も少なくてさ。それなのに大人になったら良い旦那つかまえて無事に妊娠して出産して、楽しそうに子育てしてさ。それに比べたら私ばっかり嫌な思いしてる。旦那はケチで子どもに興味ないし、流産するし、産んでもワンオペで楽しくない。なんでわたしばっかりなの?ねえ、なんで?」
私はこの希の話を聞いて、不思議と納得した。
希の言動の根底にあったのは、嫉妬心なのだ。自分の不幸な面を嘆くあまり、近い存在である私が幸せになることを許せなくなった。いろいろな黒い感情が、希をここまで歪ませてしまったんだ。気の毒だと思う部分はある。でも、同情はできなかった。私は深呼吸してからこう告げた。
「辛い思いをしたのは、気の毒だと思う。言葉にならないくらい、大変だったと思う。でも、だからと言って、人を傷つけていい理由にはならないよ」
私は、震える声を抑えて、大きく息を吸った。
「私は希からの八つ当たりは受けない。これ以上話すことはないよ。元気でね。さようなら」
希は何か言い返そうとしていたと思う。でも私は、それを聞かずに電話を切った。
LINEブロックで「解放感」
電話を切った直後に、LINEをブロックして、着信も拒否した。何を言っても自己中心的な言い訳をする希には、これが一番強い意思表示になると思った。スマホをテーブルに置くと、どっと全身の力が抜けた。燃え尽きて灰になるような、深い疲労感。でもそれと同時に、重い荷物をようやく下ろせたような、不思議な解放感もあった。このできごとを機に、希との交流はなくなった。
希のその後を知ることになったのはこの数か月後、共通の友人を自宅に招いたときのことだった。
あとがき:疲れる人間関係は断捨離も大切
気持ちを落ち着けて電話をかけ直してきたのかと思いきや、希からでてきたのは嫉妬や逆恨みの気持ちに支配されたような言葉でした。このあとは一切の連絡を絶った藍子。相手への嫉妬心に支配される人との付き合いは、やめておくのが正解かもしれません。
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嫉妬心で相手を攻撃する人との決別を描く作品
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本作では主人公・藍子と高校時代の親友・希の関係性が描かれます。高校時代は同じバレーボール部に所属し、信頼し合える親友として距離を縮めていた2人。しかし、その関係性は結婚・出産とライフステージを進めていくごとに変化していきます。
藍子は大人になっても希と昔のような付き合いができることを望んでいましたが、希は密かに藍子に対し嫉妬心をつのらせていました。藍子の暮らしに対して「自分よりも優れている」と劣等感をいだいた希は、徐々に藍子に対して意地悪な言動をするようになっていきます。
藍子は関係性を続けられるように付き合い方を工夫しますが、最後は決別を選ぶことに。大切な友人の1人を失う結果となった藍子ですが、作品内でさまざまな思いを巡らせた結果、納得して選ぶことができたようです。
藍子と希のストーリーから、大人になってからの人間関係・人付き合いについて改めて考えさせられる作品です。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










