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主人公の藍子は、相手の幸せな状況に対して水を差したり、相手をサゲたりするような発言を繰り返す希との縁を切りました。絶縁してしばらくたったころ、共通の親友を通して希の近況を知ることに…。
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親友との絶縁後は、穏やかな日常が戻った
季節は夏、徐々に日差しが強くなっていた。私の心は、まるで梅雨明けの空のように、驚くほどすっきりと晴れ渡っていた。希からの連絡に怯えることも、心無い言葉に心をかき乱されることもなくなった日々。それは想像以上に穏やかで、満ち足りた日常だ。娘の小春はすくすくと育ち、日々新しい表情を見せてくれる。
希が言った「ボーっとしてる」「能力が低い」などの言葉は、脳裏から吹き飛んでいった。
「藍子!小春、今パパって言ったよね?」
「え~、そうかな?」
祐樹は想像以上に子煩悩になり、娘にメロメロ。
希との関係に悩んでいた頃よりもずっと、毎日の小さな幸せをかみしめられている。
共通の友人に聞いた、元親友の現状
そんなある日の午後、久しぶりに高校時代の友人・真奈が会いに来てくれた。真奈は当時希とも私とも仲が良く、結婚式にも参列してくれた仲だ。
「わー!藍子の家、すてきなおうちだね」
明るくて友達思いな真奈との時間は楽しい。わが家ではお互いの近況報告や、懐かしい共通の友人の話で盛り上がった。一通り話し終えた後、真奈が少しだけ声のトーンを落とし、言いづらそうに切り出した。
「藍子、最近希には会ってる?」
「え?…ううん、ちょっと色々あって」
「そうだよね…結婚式のスピーチも、ちょっと様子が変だねって周りと話してたんだ」
希の変化に気づいていたという真奈はさらに声を潜めた。
「なんかね、希は出産してから、同世代の子がいる友達に片っ端から連絡してるみたいなの。それで相手の子を悪く言ったり、自分の子の自慢でマウント取ったりしてるみたいで…やられた人は参ってるみたいなんだよね…」
希は私と言い争いになった後の最近も、共通の友人ともめたらしい。真奈いわく、バレー部メンバーの中では要注意人物になっているという。
「藍子は特に希と仲が良かったから、こういう話はしにくくて」
真奈は困った表情を浮かべていた。
高校時代は面倒見がよくて、誰かが凹んでいるときは、進んで声をかけてくれた希。希がこんなことになるなんて、当時は想像すらできなかった。その後、真奈とはまた明るい話題でたくさん笑った。真奈が帰ったあと、私は窓の外を眺めて深く息をついた。
親友との関係を断って良かった
希のことは正直気がかりだけど、距離を置いて正解だったと思う。人の幸せを素直に喜べず、常に誰かと自分を比較して優位に立とうとするような人との付き合いは自分の心を蝕むだけ。希には「こうなってしまった事情」があるのは事実だけれど、周囲から指摘されてもなお、自分を改められないのは彼女自身の問題だと思う。だから、希のことは正直気がかりだけど、距離を置いて正解だったと思う。
今の私には、大切な家族がいる。心穏やかに過ごせる毎日がある。もう、過去の友情に囚われる必要はない。
私は私の道を、しっかりと歩んでいこう。そう、改めて心に誓った。
あとがき:ライフステージごとに無理をしない人間関係を
共通の友人・真奈の話から希の近況を知った藍子。希の状況が気がかりながらも、自身が距離を置いたことは良かったと思えているようです。
かつては親友だった相手といえど、ライフステージが変わるごとに価値観や考え方は変化していきます。場合によっては相手の言動に違和感を覚えたり、傷ついたりすることがあるかもしれません。そんなときは無理に関係性を続けず、ストレスを感じない距離まで離れるのも一つの人間関係のありかたです。お互いに子育てや家事など忙しい中だからこそ、人付き合いの悩みは最小限にしたいものですね。
本作は、ライフステージの変化とともに変わる価値観や人間関係について、深く考えさせられる作品でした。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










