Ⓒママリ
🔴【第1話から読む】「夕飯これだけ?」夫のモラを友人に相談→「もしかして…」分析に動揺する妻|さようなら、モラハラ夫
夫、正人が数日家を空けるようになり、浮気を疑い始めた美穂。ある日、疑わしい証拠を見つけてしまい、ショックを受けます。しかし、このことがきっかけで、美穂は変わり始めるのでした。
数日間夫の不在が続いた
真由美に相談したあと、夫の正人が数日にわたり帰ってこない日が続いた。最初は仕事が忙しいのだと自分に言い聞かせたが、真由美の言葉が、脳裏を離れない。
「ねぇ、正人さん、本当に仕事?」
ある日、数日ぶりに帰宅した正人に、私は意を決して尋ねた。正人は、私の顔を見ようともせず、ソファに深く沈み込む。
「だから、仕事だって言ってるだろ。美穂には関係ない。俺がいない方が家事も育児もスムーズなんじゃないの?」
正人の言葉は、いつも上から目線で、私の努力を嘲笑うかのようだった。私の心臓が、ドクンと嫌な音を立てる。毎日さやかを幼稚園に送り迎えして、パートに行って、帰ってきてご飯作って、洗濯して、掃除して……。正人がいない方がうまく回るなんて、そんなことあるはずないじゃない。
「それとね、今月の生活費が……少し足りないんだけど」
恐る恐る切り出すと、正人は露骨に嫌な顔をした。
「なんだよ、また金?これだから世の主婦は夫をATM扱いしてたちが悪いよな。俺だって好きで金払ってるわけじゃない。節約しろよ」
正人の言葉に、私は何も言い返せなかった。喉の奥に、言葉の塊が詰まっていく。生活費を渋られることが、一番困る。無駄使いなんてしていないけど、さやかも習い事に関心を持ち始めている。そういうところにお金をかけてあげたいのだけど…。
偶然見つけてしまった疑わしい証拠
ある日、洗濯物を畳んでいると、正人のズボンのポケットからレシートが落ちた。動物園の入場チケット。大人2人分。しかも、最近の日付だ。私とさやかは、最近動物園には行っていない。正人が、誰かと動物園に?
その日の夜、正人がお風呂に入っている間に、カバンの中を覗いてみた。罪悪感に苛まれながらも、私の手は勝手に動いていた。すると、女性物のヘアオイルが、ポーチの中から転がり出てきた。甘い香りが、私の鼻腔をくすぐる。それは、私が普段使っているものとは違う香りだった。
「これ……何?」
心臓が、激しく脈打つ。頭の中は、真っ白になった。疑いたくなかった現実が、目の前に突きつけられている。不倫。真由美の言葉が、私の脳裏を駆け巡る。
「美穂、何してるんだ!」
突然、背後から正人の声がして、私はビクッと体を震わせた。正人は、裸のまま、私を睨みつけていた。
「いや、その……。何か落ちてて……」
しどろもどろになりながら、言い訳をする。正人の表情は、怒りで歪んでいた。
「人のものを勝手に見るな! プライバシーを侵害するなよ、 最低だな、お前」
正人の怒鳴り声が、部屋中に響き渡る。さやかは、隣の部屋で寝ている。こんな時間に、起こしてしまったらどうしよう。
「ごめんなさい……」
私は、ただ謝ることしかできなかった。正人は、乱暴にヘアオイルを奪い取ると、カバンの中に押し込んだ。
「二度とこんなことするなよ、気分悪りぃな」
正人の冷たい視線が、私の体を貫く。私は、その場に立ち尽くすしかなかった。
(証拠…もっと証拠を集めたい)
でも、正人はあまり家に帰ってこない。スマホは片時も離さず、パスワードも知らないから中を見ることもできない。それに、シフト制で勤務時間が不規則だから、行動も読めない。探偵を雇うのもお金がかかるし、何より確実な情報がないと無駄になってしまうかもしれない。
友人に言われて気が付いた自分の状況
「どうしたらいいの、真由美……」
私は、翌日、真由美に電話をかけた。涙声で、昨日あった出来事を話した。
「美穂、やっぱりそうだったんだね……。つらかったね」
真由美の声は、私の痛みに寄り添ってくれた。
「どうしたらいいか分からないよ。でも、このままじゃ、私、さやかを守れない……」
「美穂、落ち着いて。まず、生活費を渋るのは経済的DV。これは、不倫していようがいまいが、DVはDVだよ」
真由美は、冷静にそう告げた。
「DV……。私、DVされてるの?」
「そう。だからちゃんとしたところに相談しよう。女性相談センターとか、配偶者暴力相談支援センターとか、知ってる?」
「え? そういうところがあるんだ……」
「そう。市の相談機関だから、予約すれば無料で相談できるし、何度でも行ける。私が行ったところは、隣におもちゃのある部屋があって、保育士さんが子どもと遊んでくれるから、子連れでも行けたよ」
真由美の言葉に、一筋の光が差したような気がした。さやかを預けられるなら、私も落ち着いて話せる。
「美穂、次に正人さんが家に帰ってきたら、財布とか上着のポケット、ゴミ箱とか確認できそう? 私、元夫のときは出てきたレシートの店に行って、誰と来てたか確認しに行ったことあるよ。もちろん必ず証拠が出てくるわけじゃないけど、やれることはやってみよう」
真由美の言葉は、まるで軍師のよう。私の中に、少しずつ、力が湧いてくるのを感じた。
「スマホは開けなくても、寝ている隙に通知がきたら内容が見えるかも。もし開きっぱなしで寝ててくれれば、ビデオで全部収めておくのが一番手っ取り早いんだけどね…」
真由美の具体的なアドバイスに、私の心は少しずつ決意を固めた。このまま、正人に搾取され続けたくない。反撃しなくては。
「ありがとう、真由美。私、頑張る」
私は、真由美の言葉を胸に、静かに頷いた。
🔴【続きを読む】「息を殺してシャッターを切った」夫のスマホに映る、浮気の決定的証拠|さようなら、モラハラ夫
あとがき:夫の疑惑と妻の覚醒
夫・正人の度重なる不在と冷たい言動に不安を募らせる美穂。偶然見つけたレシートやヘアオイルから不倫の疑惑を深めるも、彼の言動はエスカレートし、家計までも圧迫します。
そんな中、幼馴染の真由美からの具体的な助言で、美穂は生活費の渋りが経済的DVに当たることを知り、自らの状況と向き合う決意を固めます。美穂の中で、夫の裏切りが事実となり、闘う決心がつきつつありました。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
イラスト:まい子はん










