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母の説得失敗で手詰まり、それでも…3姉妹再結束の瞬間|無心する母

母の車の買い替え費用をめぐる問題は、家族間の距離感や遠慮を浮き彫りにしました。頼みの長女・春香の支援は期待できず、次女・真希が疲弊する中、三女・美和は自分の限界と向き合います。余裕のない家計、母の頑固な価値観、そして姉妹間の温度差が重なり、解決の糸口は見えません。しかし、沈黙の中で届いた春香からの連絡が、閉ざされた心に小さな光を差し込みます。家族の問題を共有する第一歩が、ここから始まります。『無心する母』第4話をごらんください。

Ⓒママリ/画像の生成にAIを使用しています

🔴【第1話から読む】母のお金の無心が止まらない…私が知らなかった長年の依存

長女・春香の支援が得られず、真希が一人で負担を背負う状況に美和も疲弊。母の頑固さと家族間の遠慮が交錯する中、春香からの連絡が、姉妹にとって家族として向き合うための突破口となる。

行き詰まる現実と自らの限界

限界 PIXTA

頼みの長女・春香からの支援を期待できなくなった私は、行き詰まりを感じていました。ふと、姉の言葉を振り返る。

「子育てのお金は“今”必要なの」

冷静に考えて、私から出せるお金もへそくりの30万が限界でした。それ以上は夫との相談次第という、実はカツカツな状況だったのです。真希に必死になって見えていなかった事実を直視し、余計に気が重くなる。母も、真希も助けたい。でも、糸口も手段も見出せない。

堂々巡りで浮かない気分でいたある日の午後、真希から電話がかかってきました。いい報告はないと分かっていながら、気の重いまま電話に出ました。

真希の決意と心の距離

背中 PIXTA

「もしもし、美和。この前は驚かせちゃってごめんね。……お母さん、何か言ってた?」

真希から衝撃のメッセージが送られてきて以降の連絡でした。申し訳なさそうになのか、はたまた今回の件で疲れ切ってしまっているのか、彼女の声は以前にも増して弱々しくなっているように聞こえました。

「……いや。お母さんからは連絡ない。お母さんの説得の前に、春香に協力してもらおうと連絡してみたんだけど、なんか忙しいみたいで……」

春香の件について濁して話すと、力無い声で「そっか」と真希が一言。そして、何かを諦めて吹っ切れたように声のトーンを上げて一言、

「……やっぱり、今回は私が立て替えるよ。春香も美和も、家庭があって大変だよね。色々動いてもらったのにごめんね」

その瞬間、真希との心の距離が静かに離れていくように感じました。私は話を続けようとしましたが、真希は「じゃあ、そういうことで……」と小さく言うと、一方的に通話を切ってしまいました。耳元に残る沈黙は、もはや冷たささえ感じました。

最後の真希の声、無理して明るくした声には諦めが滲んでいました。「このままでは、また一人で背負わせてしまう」━━焦った私はすぐさま母に電話し、説得しようとしました。

「もしもし、お母さん?何度も申し訳ないんだけど、車の買い替え、真希と私で折半にするから、もう少し安いのにして」

これまで母の意向を聞くようにしてきましたが、切羽詰まった状況に、折半を前提に提案をしました。しかし、母の反応はやはり以前と変わりませんでした。

「まだ言ってるの?真希がお金は用意できそうって言ってたから変える気はないわよ」
「あなたも真希がそう言ってるんだから、その言葉に甘えなさい。あなたたちも子どもが大きくなればお金がかかるのよ?」

結局、母は聞く耳を持たず、むしろお金のことについて説教される始末でした。
母は相変わらずで、真希自身も変化に期待する気力を無くしてしまっている状態、さらに春香の支援も期待できない━━。完全に手詰まりな状況を突きつけられ、私も力が抜けてしまいました。
 
真希の相談と告白をきっかけに、なんとか楽にしてあげたい一心で動いてきました。だけど、お金という現実的な問題から一筋縄ではいかず、加えてトラウマに基づいて築かれた母の価値観の頑固さに、何一つ解決に向かわなかった━━。いつの間にか、私も疲弊していました。

春香との再接触と家族の共有

手を繋ぐ PIXTA

諦めと疲弊から、椅子に座ってぼーっとしているとスマホの通知が鳴りました。ロック画面のメッセージ通知には春香の名前が。

「この前の件、冷たかったよね。ごめん」
「ちゃんと話し合いたいから、話せる時、連絡ちょうだい」

その文面に、さっきまで閉ざされているように思えた突破口が開ける予感がしました。脱力し切っていた身体と心に力が戻る感覚を覚えつつ、私はすぐに春香に電話をかけました。

「……もしもし」

「もしもし、美和?……この前はごめん。こっちの家庭のことで頭いっぱいで……」

「ううん。私こそ、強く当たっちゃってごめん。家計のやりくりとか、大変だもんね」
 
「まあね……。ちょっと考え直して、夫とも相談したの。とりあえず、お金は少し出せそう」

「そうだったんだ。ありがとう」

「ううん。でも、それだけじゃきっと解決しないと思うの。だから……3人でちゃんと、お母さんと話し合いたい」

春香の一言に、私の視界が開けました。その瞬間、「母と真希の問題」だったものが初めて、「家族の問題」として共有されたような気がしました。その感覚を具現化するように、私は3姉妹のグループチャットを作成。「母に頼られるだけの関係」から「母と向き合う関係」へ変えるため、長年の空白期間を経て、私たちは改めて手を取り合いました。

🔴【続きを読む】お金は戻ってこなくても…母と姉妹が築く新たな距離感|無心する母

あとがき:家族の問題を共有する第一歩

本エピソードでは、家族間の距離感と個々の限界が、問題解決の難しさを浮き彫りにしました。真希の疲弊、母の頑固さ、春香の家庭事情……それぞれの立場や事情が絡み合う中で、力を出し尽くすことの限界を描きます。しかし、春香の謝罪と協力の意思は、閉ざされた心の扉を開く鍵となり、家族として向き合うための新たな一歩を示します。困難な現実の中でも、共有と対話の重要性を再認識させる回となりました。

※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています

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