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🔴【第1話から読む】特別な“幼なじみ”、小5息子の人間関係について母が願っていたこと|息子が突然ハブられた話
時はあっという間に過ぎ、遥人は小学校卒業の日を迎えます。紗希は、最後に璃玖と写真くらい…と思っていましたが、それも諦めるしかないと思っていました。遥人・翔・拓海の写真を撮り、帰ろうとしていたその時…。遥人を呼ぶ璃玖の声がしてー?
小学校卒業の日
例の好きな子の噂は、噂のままで終わったそうです。そしてあの6年生が卒業してからも、璃玖君は遥人と距離を置いたままでした。6年生にあがってからも、距離を縮めることなく、遥人達は卒業の日を迎えてしまったのです。
中学受験に受かった璃玖君とは学校が離れました。藤田一家は兄の明くんの両方が・璃玖くんが都心の学校へ通うことになったのを機に、引っ越すことになりました。
卒業式の日。とうとう璃玖君と学校に来るのは最後。母としては、幼なじみ同士一緒に写真を撮りたい気持ちなのですが、別のクラスなので彩さんとも話すタイミングがありません。遥人はあれから翔くんや拓海くんという大切な友達ができたのですが、やはり幼なじみの璃玖くんは特別に感じられていました。
そして最後に、校門の前で写真を撮り終え、そろそろ帰ろうかと話をしていた時ー。
璃玖「遥人!!」
聞き覚えのある声が息子の名前を叫び、辺り一帯に響きました。声のした方へ皆が顔を向けると、そこには、璃玖君が立っていました。綺麗に着こなされていただろうスーツスタイルの服装が、少し乱れています。急いで走って来てくれたのでしょう。久しぶりに遥人の名前を呼んでくれたかな?そんなことはないかもしれないけれど、それくらい、私にはその情景が感慨深いものでした。
遥人「璃玖…」
遥人は動揺して固まったまま、何も言葉を発せずにいました。すると近くにいた友人・翔くんが遥人の肩を揺らして「呼んでるぞ?」と声を掛けてくれました。そして遥人は、意を決したように璃玖くんの方へ走っていったのです。そして後から、彩さんも私のところに走ってきました。
彩「紗希ちゃん!明と璃玖のこと、私全然知らなくてごめんね。最近本人から聞いて、もう何やってんのって、情けなくて」
彩さんは止まらなくなった涙を拭いながら、何度も謝って下さいました。
彩「璃玖にはさっきちょっと言ったけど、明も怒っとくから…!」
私が勝手に言わなかっただけで、知らなかった彩さんが悪いわけではないのに、真剣に遥人の思いに向き合ってくれてうれしく思いました。
遥人と璃玖君が話しに行ってから数分後。2人はどこかスッキリした顔で私達のところに帰って来ました。
遥人「お母さん!写真撮って!」
私の感情はぐちゃぐちゃで整理のつかないままでしたが、遥人があまりにも笑顔で言うのでそんなことはどうでもよくなり、あふれる涙を止めることのできないまま、2人の卒業写真を撮りました。
2人、それぞれの道を
あの数分でどんな話をしたのか、後から遥人に聞きました。まず第一声は、仲間外れにしたみたいになってごめんと謝ってくれたそうです。
そして、例の噂の件は知っていたし悔しかったけど、それが理由ではなかったと。
急に距離を置いてしまった本当の理由は、明君の友達であった6年生の子が、グループの中で悪い方向にリーダー化してしまい「璃玖の好きな子を遥人が取ったから懲らしめる」と言い出したというのです。
それを止めたかったけれど怖くて止められず、遥人にも言えず、一緒に遊ばないことにしたのだそう。
6年生が卒業したあとも、遥人は別の子と遊ぶようになったから声をかけられず、卒業まで距離ができたままになってしまったといいます。
卒業を前にしてどうしても遥人に謝りたくて母親・彩さんに話すとすごく叱られて反省し、もっと早く親に相談していたら良かったと思ったとも話していたそうです。あの時バルコニーから見た雰囲気を察する限り、璃玖くんの言葉に偽りはないように思いました。
今後はそれぞれ、別の学校で別々の道を歩んでいきます。遥人にはもう心強い友達もいます。ですが「ハブられた」という気持ちのままで終わらないでよかったと私は思います。これからの人生の中で、遥人にとっても母親である私にとっても、忘れられない記憶になるようなできごとでした。
🔴【第1話から読む】特別な“幼なじみ”、小5息子の人間関係について母が願っていたこと|息子が突然ハブられた話
あとがき:子供だから許される、なんてことはない。一生消えない記憶になるんです。
仲間外れや子ども同士の喧嘩。幼いうちはよくあることだからとスルーしていませんか?時には、それが埋まらない溝になってしまうことだってあります。「子ども同士の仲間外れなんてよくある」という楽観ではすまなくなることもあるかもしれません。
子どもが人間関係で悩んだ時に頼れる存在は親です。親として、いつでも子どもの悩みに寄り添える準備ができているといいですね。
子どもがすることにはきっと理由があります。子どもの心の中にある行動の理由に目を向けて接することができるといいですね。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










