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🔴【第1話から読む】郊外ライフの平穏をくすぐるママ友のひと言
夫と2人の子どもとともに、都内から郊外へ引っ越した茜。子育てに適した環境で充実した生活を送っていました。そんな中、保育園で出会ったママ友の美香は、都内から子どもを通わせているということを知りました。
都内から郊外への引っ越し
私は茜。30代半ばの専業主婦で、5歳の息子と3歳の娘の母です。夫は都内に勤務していて、毎朝6時過ぎに家を出て、帰りは22時を回ることも多いですが、家事や育児にも積極的です。
私の一日は、子どもを保育園に送り出すところから始まります。午前中に洗濯と掃除を済ませて、午後は買い物や夕食の準備をします。気づけば夜になり、あっという間に一日が過ぎていく。そんな日常に特別な華やかさはないけれど、私は満足していました。
戸建ての購入を機に東京から隣の県への引っ越しを決めましたが、都心まで電車で30分ほどとアクセスはとても良いです。
田舎と都会の中間くらいの土地で、夜は虫の声が響き、朝は小鳥のさえずりで目が覚めます。空気がきれいで静かで、子どもたちにとっては理想的な環境だと思い、私はこの町がすぐに気に入りました。
夫の実家も近いので何かと頼れるし、子育て世代が多いのでママ友との交流も自然に生まれます。人付き合いはあまり得意ではないけれど、ここでなら肩肘張らずに暮らしていける、そう思っていました。
保育園で出会った都内に住むママ友
そんな私が娘の保育園で出会ったのが、美香さんでした。年齢は私と同じくらいで、服装や髪型はいつも都会的。ネイルも髪も常にきちんと整えていて、ひと目で「きっとおしゃれな都会の奥さまなんだ」と思わせる雰囲気を漂わせていました。
聞けば都内に自宅があり、わざわざ車で30分以上かけてこの保育園に通わせているのだといいます。一体なぜそこまでしてこの保育園に通わせているのかと理由を尋ねてみると「教育方針が気に入ったから」とのことでした。
最初は「わざわざここまで来るなんて、教育にかなり熱心なんだな」と感心していましたし、子ども同士を遊ばせたりするうちに会話も増えていきました。
初めて話した日は「都内のカフェ情報」を軽やかに語ってくれて、思わず聞き入ってしまったくらいでした。その時はまだ、彼女の話し方を「自慢」ではなく「洗練された生活の一部」と受け止めていました。
けれど、付き合いが深まるにつれて、彼女の“ある癖”に気づくようになりました。それは、ことあるごとに「都内」と「郊外」を比べては、さりげなくこちらを下に置くような発言をすることでした。
例えば、周りのママたちが「この辺りの保育園もけっこう倍率が高いよね」と話していると、美香さんは目を丸くして笑っていました。
美香「え、この辺でも入れないんだ〜?都内だけかと思ってた!」
その場は一瞬しんとなったけれど、美香さんは悪気なく言ったように微笑んでいました。けれどこの時、私の胸の奥に小さな棘のような違和感が残ったのを、今でもはっきりと覚えています。
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あとがき:都会に住むママ友の言葉に感じる棘
最初は憧れにも近い存在だった美香さん。彼女の言葉の小さな違和感は、気づかないうちに形を変えていきます。ママ友との関係って、ほんのひと言で空気が変わるものですよね。茜の中のモヤモヤが、これからの関係を少しずつ変化させていきます。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










