©ママリ
🔴【第1話から読む】郊外ライフの平穏に暗雲…都会からきたママ友のひと言|都会自慢が止まらないママ友
茜は美香の絶え間ないマウント発言にモヤモヤを募らせます。しかし、そんな思いを抱えていたのは自分だけでなく、周囲も同じ気持ちだったと分かり、少しだけ救われるような気がしたのでした。
夏祭りでの衝撃のひと言
そんな中、決定的なできごとが起こったのは、保育園の夏祭りの日でした。園庭には屋台が並び、子どもたちは浴衣や甚平を着て大はしゃぎ。私も子どもたちと一緒にヨーヨー釣りを楽しみ、写真を撮ったりしていました。
そんな和やかな雰囲気の中で、事件は起きました。休憩用のテントで、数人のママ友たちと座っていたときのこと。話題は自然と「将来、子どもにどんな環境を用意してあげたいか」というものになっていきました。
みんなが「のびのび育ってほしい」「学費のために貯金しなきゃ」と口々に語っていると、美香さんが当然のように口を開きました。
美香「やっぱり子どもには都内の一流校に通わせたいのよね。だって将来の人脈が違うもの。郊外に住んでると、どうしても“選択肢が少ない”でしょ?」
誰も直接言い返すことはしなかったけれど、周りのママたちの表情が曇ったのは、誰が見ても明らかでした。私は思わず口を開きかけましたが、うまく言葉が出てきませんでした。ただ心臓がどくどくと速く脈打ち、胸の奥に熱いものが込み上げてくるのを感じていました。
立ち上がる決意
さらに追い打ちをかけるように、美香さんは笑顔で私に向き直ってこう言いました。
美香「茜さんはどうするの?やっぱりこの辺の学校に行かせるの?」
その瞬間、まるで「あなたには都内の学校は無理でしょ」と暗に言われた気がして、全身がかっと熱くなりました。周りのママ友たちも固唾を飲んで私を見守っているようでした。私は深呼吸をして、できるだけ穏やかに答えました。
茜「うちは、子どもたちがのびのび育ってくれることが一番かな。学校の場所よりも、どんな環境で過ごすかが大事だと思うの」
そう返したものの、心の中では怒りが渦巻いていました。これまでは「彼女に悪気はない」と自分に言い聞かせて我慢してきました。けれど、この日ばかりは違いました。彼女の言葉は、私だけでなく、同じように郊外で暮らす他のママ友たちをも傷つけていたからでした。
帰り道、私は子どもたちと手を繋いで歩きながら固く決意していました。―――もう、ただ黙ってやり過ごすのはやめよう。自分だけでなく、周りの人たちのためにも、この状況を変える必要がある。
仕事から帰ってきた夫に、夏祭りで起こったことや、これまでの美香さんの言動の話をすると、彼は真剣な顔で頷きました。
夫「それはひどいな。茜が我慢することない。きちんと伝えるか、みんなで話し合ったほうがいい」
私は夫の言葉に背中を押されました。胸に積もっていたわだかまりが、ようやく決意に変わった瞬間でした。
あとがき:勇気の決意
一見、穏やかな園の夏祭り。けれど、その裏で茜の心は大きく揺れていました。人を傷つけるのは、悪意ある言葉だけではない。無自覚な一言が、誰かの笑顔を曇らせることもある――そんな現実を、改めて感じさせる一話でした。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










