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🔴【第1話から読む】郊外ライフの平穏に暗雲…都会からきたママ友のひと言|都会自慢が止まらないママ友
楽しいはずの夏祭りで、またしても飛び出した美香の“都会マウント”。これまで飲み込んできた違和感を抱え、茜はついに“行動する覚悟”を固めました。
抱え込んでいた本音
翌週、私はついに行動に出ることにしました。きっかけは園の役員会。数人のママ友と共に、行事の準備をしているとき、美香さんがまた「やっぱり都内の学校に進学させたいわ」と話を振ってきたのです。以前なら笑って流していたかもしれませんが、私は意を決して口を開きました。
茜「美香さん、いつも都内のことを自慢みたいに言うけど……正直、聞いてると少しつらい時があるの」
私の言葉を聞いて、美香さんは目を丸くして驚いた様子でした。
美香「えっ、私そんなつもりじゃ……」
茜「分かってる。悪気がないのは。でも、私だけじゃなくて他の人も同じように感じてると思う」
すると横にいたママ友Aが、勇気を出したように口を添えました。
ママ友A「私も少し気になってたの。比べられてるみたいで、ちょっとしんどい時があるのよ」
ママ友B「うん、郊外に住んでることに誇りを持ってるから、都会と比べられると少し悲しいかな」
次々に声が上がり、美香さんは言葉を失ったように黙り込みました。やがて彼女は小さく肩を落とし、ぎこちなく笑いました。
美香「……ごめんなさい。そんなふうに受け取られてるなんて思わなかったの。ただ、自分の暮らしを話してるだけのつもりで」
茜「うん、分かってる。でも、言葉って受け取る側の気持ちで重さが変わると思うの。だから、少し気をつけてもらえたらうれしいな」
その場はそれで収まりました。けれど、私にとっては大きな一歩でした。胸につかえていたものがすっと下り、ようやく堂々と相手と向き合えた気がしました。
そして和解へ
その後、美香さんの態度は少しずつ変わっていきました。以前のように「都内だから〜」という口癖は減り、代わりに「この辺もいいところよね」と口にするようになりました。ぎこちなさは残るものの、確かに彼女なりに気をつけているのが伝わります。
私はその変化を見て思いました。彼女は根っから嫌な人だったのではない。ただ、自分の暮らしに誇りを持ちすぎて、それを素直に語ることで無自覚に周囲を傷つけていただけなのだ、と。
そして私自身も学びがありました。嫌だと感じたときは、我慢して飲み込むだけでは何も変わらない。勇気を出して伝えることで、相手との関係も、自分の心も、少しずつ変えていけるのだと。
今も美香さんとは保育園で顔を合わせます。以前のようなマウント発言は影を潜め、会話はすっかり穏やかになりました。完全に打ち解けたわけではないけれど、それでも前よりずっと心は軽いです。
この町で、胸を張って子どもたちを育てていける。そう思えるようになったことが、何よりの収穫でした。
あとがき:言葉にすることの大切さ
勇気を出して「つらい」と伝えることは、決して悪いことではありません。言葉にすることで初めて、相手も気づき、関係が変わることもあります。茜のように、我慢ではなく対話を選んだ一歩は、小さくても確かな前進。誰かを責めるのではなく、互いを理解しようとする気持ちが大切なのかもしれませんね。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










