🔴【第1話から読む】ママ友を家に残し「コンビニに行ってくる」→“たった5分”で信頼崩壊へ|ママ友にタンス貯金を盗まれた
牛乳のストック切れのせいで、ママ友のともみさんを残して慌てて家を出た主人公・ゆり。帰宅した瞬間、ともみさんの様子がおかしいことに気づきます。
ともみさんが触っていたものは…
小走りで5分ほど歩いたでしょうか。1つ目の角を曲がろうとしたそのとき、私はポケットに手を入れて、ゾッとしました。なんと財布を忘れたのです。スマホもあろうことか充電切れです。慌てて立ち止まり、家へ引き返すことにしました。
「なんてうっかりしているのかしら」
そう自分に呆れながら、私は再び自宅のドアを開けました。
「ごめん、ともみさん。財布を忘れち…」
言葉が途中で止まりました。
うちのリビングの一角には、生活費や通帳、保険証券などの大切な書類をまとめて入れている、施錠の必要のない小さな木製の棚があります。いつもはリビングの隅にひっそりと佇んでいるその棚の前に、ともみさんが立っていたのです。
私の足音に気づいたともみさんは、ビクッと体を震わせ、驚きに目を見開きました。そして、その大きな瞳と、私の目が合ったのです。一瞬の静寂が、私たちの間に流れました。
「……ゆりちゃん、早かったのね」
ともみさんは、不自然なほど明るい声を出しました。しかし、その声は微かに震えていました。
見間違いだと信じたい、だけど…
そして、私は見逃しませんでした。ともみさんが、何かを素早く、右手のポケットに隠したのを。その手つきは、あまりにも手慣れた、淀みのない動作でした。
私の心臓は、ドクドクと不規則な音を立てていました。頭の中は真っ白で、何も考えられません。私は、とっさに、口から出た言葉をそのまま口にしました。
「あ、ごめんね。あのカフェオレ、よく考えたら、家にあるスキムミルクでも飲めるなと思って…」
それが、私がその場で絞り出せた、精一杯の「言い訳」でした。ともみさんが棚の前で何をしていたのか、何をポケットに隠したのか、その真実を問いただす勇気が、私にはありませんでした。
長年の友情、信頼、そして「まさか」という気持ちが、私の舌を縛り付けていたのです。ともみさんは「よかったわ」と安堵したような表情を見せ、すぐに元のソファに戻りました。
結局、私たちは脱脂粉乳で割ったカフェオレを飲みました。そのカフェオレは、いつものように美味しかったはずなのに、私の口には砂を噛むような味が広がりました。
その間、ともみさんは、先ほどのできごとなどなかったかのように、映画の話や幼稚園での息子の様子などを楽しそうに話していましたが、私は目の前の彼女の言葉に、全く集中できませんでした。
気になって気になって…疑惑は確信へ
ともみさんが帰宅した後、私は茫然自失といった様子で、リビングに1人残されました。夫と息子はまだ帰宅していません。
あのとき、ともみさんが何をしていたのか。ポケットに隠したものは何だったのか。
私の中の理性が、「そんなはずはない」と叫ぶ一方で、胸の奥底で、冷たい確信のようなものが膨らんでいくのを感じていました。
私は、恐る恐る、リビングの隅の木製棚に近づきました。そして、ともみさんが立っていた場所に立ち、中を開けてみました。中には、いくつかのファイルや通帳、そして「今月の生活費」と手書きした小さな白い封筒が入っています。私は、震える指でその封筒を取り出し、中身を確認しました。
…明らかに、中身が減っている。
私は、数日前に、夫がまとめて入れてくれたばかりの生活費の金額を覚えていました。大体の目安として、いつもぴったり5万円入れてもらっていたはずです。
しかし、封筒の中に入っていたのは、4万円でした。―――1万円が、なくなっている。
私はその場で、崩れ落ちそうになりました。頭の中で、2つの光景が、ぐるぐると回ります。牛乳を買いに家を出た私。そして、棚の前に立ち、何かをポケットに隠したともみさんの姿。
その夜眠れなくて、結局深夜になって眠っている夫を起こすことにしました。もう、いてもたってもいられなくなっていたのです―――。
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あとがき:友達なのに…!
もしも自分の身にこんなことが起きたら「まさか友達が!」と思ってしまいますよね。それでもゆりさんが見てしまったのは紛れもない事実。しかし問い詰める勇気はなかった様子。
皆さんなら、こういう時どうしますか?
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










