🔴【第1話から読む】「もう少し早く気づいていれば」妊娠をきっかけに【おかしい】元同僚に違和感|自分本位すぎる元同僚
里美は夫・和樹に全てを打ち明け、奈美子さんとの縁を切る決意をする。再度訪れた奈美子さんに対し、里美は強く断るとともに、自身もひとり親家庭で育った過去を告白して…。
友人との関わりが苦痛になる
実家に避難して、私は全てを和樹に打ち明けた。
「もう奈美子さんと関わるの、無理かもしれない。怜人がいるのに、シングルマザーとその子どものお世話なんてできないよ」
夫の和樹は、私の話を黙って聞いていたけれど、話し終わると、きっぱりと言った。
「奈美子さんは里美の優しさに完全に付け込んでいるだけだよ。里美の善意を搾取している。縁を切った方がいいよ」
夫の言葉に、私はようやく踏ん切りがついた。奈美子さんがひとり親という状況を考えてあれこれ助けてきたけれど、もう疲れてしまった。自分の家族、そして何より生後間もない怜人を、理不尽な恐怖から守るのが最優先だ。
図々しい友人にきっぱりと断ることに
「もしまた来たら、今度はきっぱり断る。和樹くんにも、迷惑かけるかもしれないけど…」
「大丈夫。里美が一人で背負うことじゃない。もし何かあったらすぐに連絡して」
翌日、私は和樹と一緒に自宅へ戻った。和樹は出勤したが、もしものことがあればすぐに連絡するようにと言ってくれた。
そして、案の定、奈美子さんはその日の午後にやってきた。今回は健くんは一緒じゃない。きっと本格的に何かを要求するつもりなのだろう。
「里美、お米の件どうだった?少しならご主人に秘密でもバレないんじゃないの?」
私は覚悟を決めて、奈美子さんをソファに座らせた。もうごまかさない。
「奈美子さん。ごめんね。もう、あなたのお願いは聞けない」
私がはっきり断ると、彼女の顔つきが変わる。
「なんで?私はこんなに大変な状況なのにさ、里美は助けないってこと?」
私は静かに、しかし毅然とした声で答えた。
「大変なのはわかるけど、うちだって楽じゃないよ。不妊治療にだってたくさんお金を使ったし、怜人だってこれからお金がかかる。それに、奈美子さん。私は、そこまであなたのお願いを聞く義理もないと思ってる」
奈美子さんは、言葉を失ったように私を見つめている。私が初めて強く、しかも明確に「ノー」と言ったことに、驚きを隠せないようだった。
他力本願すぎた友人
私はさらに続けた。これは、今まで誰にも言わなかった、私自身の過去だ。
「ずっと言わなかったけど、私だってひとり親家庭で育ったんだ。小学校に上がる前に両親は離婚して、ずっと母と2人だった。母はパートを掛け持ちして、本当に大変だったと思う。でも、母は、どんなに苦しくても、誰かの優しさにつけ込んだりしないで努力してたよ」
奈美子さんの顔が真っ青になった。私のバックグラウンドを知らなかったのだろう。
「私はもう、あなたに手を貸すことはできないから」
彼女は最後まで何か言い訳をしようとしていたけれど、私の強い態度と、私自身の過去の告白に気圧されたのか、最後は何も言わずにごすごと帰っていった。
そのまま、奈美子さんからの連絡は途絶えた。後悔はしていない。大変さはよく分かる。だからこそ、最初は助けようとした。だけど、彼女は途中で完全に「助けてもらうこと」を当然とする他力本願になってしまった。
私は、自分の家族、和樹と怜人との暮らしを守るほうが大事だ。 縁を切ることができて、心からホッとしている。これで、やっと私も、怜人との新しい生活に集中できると思う。
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あとがき: 自立と防衛
和樹の「搾取されているだけだ」という言葉は、里美にとって決定的な覚悟を促しました。この対決で里美が奈美子さんに打ち明けた自身の過去は、奈美子さんの「シングルマザーだから優しくしろ」という理不尽な主張に対する、最も強力な反論となりました。
里美の母親は、大変でも他人に頼らず自分の力で生きてきた。その自立の精神こそが、里美が奈美子さんの行動を心から受け入れられなかった理由でしょう。里美は最終的に、友人への同情よりも、自分の家族と心の平穏を守る自己防衛を選び、新しい一歩を踏み出しました。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










