雪国でのママ友会は常に里香の広い自宅が会場。ママ友の静香は理由をつけて断り、もう1人の雅子は恐縮しながらも甘える。自宅での集まりは10回を超え、里香の夫・優一も負担を感じる中、断れない里香の心に冷たい不満が積もり始めて―――。
仲の良いママ友もいて、にぎやかな日々
里香です。30歳の主婦で、夫と4歳の長男あき、1歳の長女さくらの4人家族で暮らしています。私たちは、数年前に建てた一軒家で、賑やかだけどどこか平穏な毎日を送っています。
私は良く言えば控えめ、悪く言えば断れない性格かもしれません。自分から波風を立てるのが苦手で、いつも誰かの意見に合わせがちです。
私には、上の子たちが同い年で仲良くなったママ友が2人います。この2人とのいわゆる「仲良しママ友3人組」が、最近の私の生活の大きなウェイトを占めている人間関係です。
ママ会の企画はママ友、場所はわが家
仲が良いママ友の1人は雅子ちゃん(31歳)。彼女は私とほとんど同じ歳で、いつも明るくてテキパキしています。
彼女の長男はたつや(4歳)。ただ、雅子ちゃん一家はアパート暮らしなので、家に人を呼ぶことはめったにないといいます。 もう1人は静香ちゃん(33歳)。彼女の長女はまな(4歳)、次女はつむぎ(3歳)と、2人の活発な女の子のママです。静香ちゃんは私たちと同じく一軒家ですが、要領が良くて言いわけ上手なところがあり、あまりおうちに招かれたことはありません。
この2人が、いつもイベントを企画してくれる側。「クリスマス会しよう」「忘年会しよう」と声をかけてくれるのはありがたいし、みんなで集まるのは楽しい。
でも、この集まりの場所が、いつもいつも「わが家」になることだけが、最近の私の大きな悩みになっています。私から「うちでやる?」と誘ったことは一度もありません。いつも流れでそうなってしまうのです。
私たちが住む地域は田舎の雪国で、都会のような洒落たキッズスペースのあるご飯屋さんなんて存在しません。冬場の公園なんて、寒すぎて論外。必然的に、誰かの家で遊ぶことになってしまうのです。
ほぼ毎回わが家で遊ぶママ友にモヤモヤ
遊ぶ日が決まると、場所決めの会話が始まります。今回はクリスマス会の日程を調整している時のことでした。
「どこで遊ぶー?」と雅子ちゃんが切り出すと、静香ちゃんがすぐに反応します。
「その日は夫も休みだからうちは無理かも。家でゆっくりしたいみたいで、ごめんね」
静香ちゃんの家は私たちと同じ一軒家なのに、毎回理由をつけて断るのがもう恒例行事みたいになっていました。夜勤明けとか、夫の休みとか、とにかく言いわけをするのが上手いし早い。
次に雅子ちゃんが申し訳なさそうに続けます。
「ごめんね、うちは狭いし下の階の人がうるさいからさ…」
雅子ちゃんは本当に恐縮している風なので、私もつい、「そしたらうちでいいよ!」と引き受けてしまうんです。断れない性格がここでも出てしまいます。
正直、我が家だって土日開催だと夫の優一は休みです。ママ会のために家を留守にする夫にも負担がかかっています。これまで私たちが集まった回数は、ざっと数えても、雅子ちゃん家は1回、静香ちゃん家は2回。そして我が家は……10回を超えています。
この回数の差が、最近の友人たちの態度に如実に表れてきて、私の心の中に、雪のように冷たい不満が積もり始めていることに、まだ誰も気づいていませんでした―――。
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あとがき:断れない優しさが生む、関係性の歪み
里香さんの「断れない優しさ」は、無意識のうちにママ友たちに甘えを許す土壌を作ってしまいました。特に、静香さんの要領の良さと、雅子さんの遠慮の裏にある「甘え」が、里香さんの負担を加速させます。
雪国の環境が場所の選択肢を狭める中、里香さんが夫の優一さんにまで負担をかけていると気づいた瞬間、彼女の心に積もった不満は、もはや見過ごせないレベルに達しているようです。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










