🔴【第1話から読む】シングルマザーに告白してきた同僚→丁寧に断ったら【地獄】の展開に|職場にいた逆恨み男の末路
加藤は香苗の未完了の仕事に侮辱的な付箋を貼り、公然と晒し上げる。先輩も噂を信じ始め、孤立した香苗は、証拠集めを決意して…。
悪質な嫌がらせが悪化
「宮田さん、ちょっとこれ見てくれる?」
出勤してすぐ、部署の先輩から、硬い声で呼び止められた。
「…何でしょう?」
指差されたのは、部署全員が見る共有のファイル置き場。そこに置いてある、私の担当書類の一番上に、黄色い付箋が、嫌に目立つように貼られていた。付箋の文字は、加藤さんのものだ。
「僕がていねいに教えてあげたのに、手順が違うみたいですけど?初歩からまた手取り足取り教えないとダメかな?(笑)」
私の未完了の仕事を指摘して、バカにするような内容を書き連ねている。最後の「(笑)」が、加藤さんの悪意を凝縮しているようだった。先輩は、渋い顔をしている。
「宮田さんさ、加藤さんとなんか個人的な関係なの?業務書類でこういうやり取りしちゃう?」
先輩は私と加藤さんのうわさを信じているのだろうか?心臓が握りつぶされるように苦しい。この付箋を見た人の何割が、加藤さんの話を信じてしまっているのか、考えるだけで気が遠くなりそうだ。
彼の報復には屈しない
「もう、無理…」
その日の仕事を、どうやって終わらせたのか覚えていない。ただ、気づけば涙は枯れ、全身が鉛のように重かった。子どもたちにご飯を作ってあげる気力なんて、もちろんない。
深夜、子どもたちが寝静まった後。私は、これまでのことを思い返していた。彼の口頭での噂、威圧的なLINE、公の場での侮辱。これらはすべて、彼の好意を拒否したことへの「報復」だ。
「これ以上言いなりになって、私自身が壊れるわけにはいかない」
私は決意した。まず、スマートフォンに残っている加藤さんからの業務時間外のLINEメッセージ全てを、スクリーンショットに撮って保存した。次に、公衆の面前で貼られた付箋の写しと、日付、内容を詳細にノートに書き留めた。これはすべて、パワハラ・嫌がらせの証拠だ。
私には、この地獄から逃げ出す権利がある。そして、私と子どもたちの生活を脅かした加藤さんを、このまま野放しにしておくわけにはいかない―――。
藁にも縋る思い
翌日、私は役所に向かった。なんとか仕事を辞めて新たな働き先を見つける間、生活していく術はないか探りたかったのだ。
子どもにまつわる手当の窓口に行ってみたが、今もらっている以上の手当をすぐにもらえる方法は見つからなかった。生活保護も、申請に時間がかかるし、今はまだ仕事をしているから対象外だ。
下を向いて、必死で涙を堪えていると、優しい声が聞こえた。
「あなた、大丈夫…?」
振り返ると、そこには職員らしき女性が立っていた。名札には「中村」と書いてある。
「もし何か困っていることがあるなら、話だけでも聞かせて。私は子育て相談の担当者なの。匿名でもいいから、なんでも。ね?」
その優しさに、緊張の糸がぷつりと切れた。私は中村さんに、今ここにいる理由を必死に説明した。すると中村さんは真剣にメモを取りながら、私が今できることについて教えてくれた。この出会いが、私の未来を変えることになる―――。
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あとがき:公然の侮辱と、一筋の希望の光
公の場での付箋による侮辱は、職場でのハラスメントがピークに達した瞬間です。証拠集めを決意した香苗の行動は、逆襲の第一歩でしたが、役所では当初大きな情報を得られず、絶望感を深めます。
打ちひしがれた香苗に、手を差し伸べた職員・中村さんの存在は、物語のターニングポイント。この「偶然の出会い」が、彼女の閉塞した状況を打ち破る「希望の光」となり、物語は新たな展開へと向かいます。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










