🔴【第1話から読む】「私はモラ夫の所有物じゃない」妻が逃げる決意をした日|夫の出張中にモラ逃げしました
帰宅した直哉は逆上し、「窃盗」「不法侵入」で訴えるという脅迫的なLINEを楓に送りつけます。パニックに陥る楓でしたが、沙織の助言で警察に相談することに…。
出張から戻った夫の態度
引っ越しからわずか2日後、その日は突然やってきました。直哉が出張から戻り、私がいないことに気づいた瞬間、恐ろしいほどのメッセージが私のスマホに次々と届き始めたのです。その通知音を聞いただけで、体が震え始めました。
LINEのトーク画面を開くと、そこには直哉の怒り狂った言葉が、文字の羅列となって私を責め立てていました。
「おい、楓。今すぐ電話に出ろ。何のつもりだ」
「勝手に出ていくなんていい度胸だな。俺の私物も持ち出してるだろ?窃盗罪だからな」
さらに、協力者として沙織がいることも知られていました。
「寝室のベビーモニター、電源入りっぱなしだっただろ?お前と友達がばっちり映ってんだよ」
「友達は他人の家に入ってるんだから不法侵入だし、お前は俺のものを盗って窃盗。2人とも捕まるぞ」
「そうしたら、ゆりも俺が連れていくしかねえな」
夫のLINEに激しく動揺
夫からの言葉の数々に、恐怖で息が詰まりました。「窃盗」「不法侵入」「捕まる」という物々しい言葉の数々が、私の頭の中をぐるぐると回り、パニックに陥りました。
直哉はいつも、大袈裟な言葉で私を支配下に置こうとします。しかし、今回は「ベビーカメラの録画映像」という具体的な証拠を突きつけられたことがより恐怖だったのです。カメラは子どもが寝ている間だけつけていたはずなのに、その日は動揺してスイッチを切り忘れていました。
手が震えてスマホを落としそうになった時、私は沙織の顔を思い出しました。すぐに彼女に電話をかけます。
「沙織、直哉からLINEがきて……私も沙織も捕まるかもって言われて…」
私の早口で支離滅裂な話を聞き、沙織は一呼吸置いて、落ち着いた声で返してきました。
「落ち着いて、楓、深呼吸して。私たちは捕まるようなことはしてない」
「でも、ベビーカメラに私たちが荷物を運び出すところが映っていて……」
「心配なら、警察に連絡してみよう。今警察に動かれて困るのは、直哉さんの方だと思うけど」
警察に言われた言葉に安堵
沙織の提案に、私は最後の力を振り絞って、警察の生活安全課(DV相談)に電話をかけました。事情を説明するのは本当に勇気がいりましたが、電話口の女性警察官は、私の言葉を遮ることなく、とてもていねいに聞いてくれました。
「楓さん、まず落ち着いてください。別居されている状況、大変でしたね。まず結論から申し上げます。今回、楓さんがご主人の留守中に、ご自身の私物とお子さんの荷物を持ち帰った行為は、窃盗や不法侵入といった犯罪に問われる可能性はありませんよ」
「えっ……本当に?」
「はい。婚姻関係にあるわけですから、自宅のものを持ち出しただけですよね。それに、このご主人からのメッセージの方が、楓さんやご友人を脅すような内容になっていて、味方によっては恐喝のように思えます」
警察官の言葉で、私の全身から力が抜けました。
「楓さんのお話の内容を聞くと、DVにあたる可能性は十分あると思いますので、このLINEの記録も全て保存しておいてください。これは重要な証拠になりますからね」
私は罪人ではなかった。その事実に、どれだけ救われたか分かりません。この恐怖と闘うための、一筋の光が見えた気がしました。
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あとがき:訴訟の脅しに打ち勝つ真実
モラハラ加害者がよく使う手口が「訴訟で脅す」ことです。これにより、被害者は「自分が犯罪を犯したのではないか」と追い込まれ、支配下に戻ろうとしてしまいます。
直哉の脅迫的なメッセージは、楓の恐怖心を煽りましたが、警察官による「犯罪には当たらない」というプロの言葉が、その呪縛を解きました。この通報は、感情的な恐怖から、冷静に「法」という客観的な力で身を守るという、戦い方への転換点となりました。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










