🔴【第1話から読む】「私はモラ夫の所有物じゃない」妻が逃げる決意をした日|夫の出張中にモラ逃げしました
調停の日までに集めた証拠たち
証拠集めを徹底的に行い、私はいよいよ離婚調停を立てました。弁護士さんの助言通り、私は過去の日記、心療内科の診断書、そして直哉の脅迫LINEの履歴を完璧にそろえました。
調停当日、私はカチカチに緊張していましたが、隣には頼もしい弁護士さんが座っています。調停が始まると、直哉は予想通り、高圧的な態度を崩しませんでした。調停員を前にしても、私を一方的に非難します。
「そもそも彼女が勝手に家を出ていったんです。私がどんなに生活費を稼いでも、家事も育児も中途半端で。私の私物を盗んだことも許せない。彼女には猛省してもらわないと困ります」
彼の声を聞くたびに、私の体に染みついた恐怖心がズキズキと疼きます。その場にいる調停員や弁護士の目があるにもかかわらず、直哉の表情は、家で見せる支配的なそれと同じでした。
夫のプライドが潰されるとき
しかし、私の弁護士さんは、動じませんでした。直哉の主張が一通り終わると、弁護士さんは静かに口を開きました。
「直哉さん、おっしゃることは理解できます。しかし、当方には、楓さんが婚姻生活中に受けた精神的苦痛を示す客観的な証拠がそろっています」
弁護士さんは、証拠の束を調停員に提示し始めました。
「まず、こちらが、直哉さんの具体的な暴言を記録した日記です。『豚の餌』『頭が悪い』といった発言の日付、内容、場所が詳細に記載されています。次に、これらが原因で楓さんが不眠症と適応障害と診断された心療内科の診断書。そして、別居後の脅迫的なLINEの履歴。これらは、楓さんを訴訟で脅し、精神的な苦痛を与え続けた動かぬ証拠です」
直哉は、弁護士さんが証拠を提示するたびに、顔から血の気が引いていくのが分かりました。特に、彼が私を脅したLINEのメッセージが、法廷で公に読み上げられた時、彼は言葉を失いました。
「また、別居時の荷物についても、全て楓さん個人の所有物であり、窃盗の事実は一切ありません。直哉さんの主張は不当で、楓さんへの精神的DVの一環ではありませんか?」
直哉はただ青白い顔で、調停員と弁護士さんを見つめているだけ。彼の高圧的な態度は完全に崩壊し、彼の世界が音を立てて崩れるのが分かりました。
ようやく解放された日
結局、調停はこちらの主張が全面的に認められる形で終了しました。慰謝料は、私たちの提示した金額に決まり、直哉は反論する余地さえありません。調停後、弁護士さんは私に力強い言葉をかけてくれました。
「楓さん、よく頑張りましたね。もう彼はあなたを支配できません」
その言葉を聞き、私はようやく心から解放されたのを感じました。直哉は反省が必要な敵役でしたが、法的なしっぺ返しを受け、そのプライドは完全に打ち砕かれました。こうなると憎めないというよりは、ただただ哀れだと感じます。
娘のゆりと2人、新しいアパートに戻った私は、窓から差し込む光を浴びながら、深呼吸をしました。恐怖に怯えることなく、誰にも責められることなく、私は私らしく生きられる。今日から、ようやく、本当の意味での私の新しい生活が始まるのです。
🔴【第1話から読む】「私はモラ夫の所有物じゃない」妻が逃げる決意をした日|夫の出張中にモラ逃げしました
あとがき:プライドの崩壊と本当の自由
モラハラ夫は、自分のプライドと支配欲で生きています。弁護士が直哉の私的な暴言や脅迫LINEを公の場である調停で読み上げ、論理的に支配の構図を崩壊させたことは、直哉にとって最も効果的な「しっぺ返し」でした。
楓が恐怖から解放され、直哉に哀れみさえ感じたのは、もはや彼に支配される心配がなくなったからです。法と証拠という「盾」で守り、「矛」で勝利した楓とゆりちゃんの新しい生活には、穏やかな光が差し込んでいることでしょう。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










