🔴【第1話から読む】口を開けば「いいな」「羨ましい」→中学時代からの推し友に感じた“変化”|卑屈すぎる友人がしんどい
不妊やモラハラ気質の夫との関係に悩んでいた望。沙織は望の母に会い、沙織との友情を回復するための術を見出そうと考えていました。
友人の母から話を聞いた
私は、望が発した言葉がどうしても引っかかった。「バカにしないで」「私は私で考えてる」望は私に対して、下に見られているような感覚を抱いてしまったのだろうか。もちろんそんなつもりはなかったけれど、私の態度が友情を壊してしまったのだとしたら、どうにかして友情を取り戻したい。私はそう思っていた。
望の母親は、私たちが中学生のころからずっと駅前のスーパーでパートをしている。たびたび挨拶はしていたけれど、今回ばかりは助けを借りたくて、会いに行くことにした。パートの終わりの時間を聞いて店の前に行くと、あのころと変わらない「おばさん」がいた。
「沙織ちゃん、久しぶりね、どうしたの?」
「おばさん、急にすみません。ちょっと望のことが気になってて…」
スーパー近くのカフェで、私が先日目にした光景や望の言葉について話すと、おばさんはびっくりした様子だった。また、勝さんとの関係を見直すように伝えたら連絡が途絶えてしまったことを伝えると、おばさんは何か思いついたように話し出した。
「もしかしたら、沙織ちゃんにだけは言われたくなかったのかもね」
「私だけには?」
「これは私が悪いんだけどね、望と沙織ちゃんっていつも2人でいたから、いつも望に『沙織ちゃんみたいに上手くやれたらいいのにね』って言っちゃってたのよ。そうしたら、急に怒り出したことがあってね」
「望がですか?」
「そう。『私は私で考えてるのに、そんなこと言うならもう娘と思わなくていい』って言われてね。最近もしばらく帰ってきてないのよ」
心がズキンと痛くなる。母親から他人と比較するようなことを言われ、望は苦しかっただろう。望がそんなに苦しんでいたなんて、私はつゆとも知らなかった。
「私も後悔しているのよ、望の本当の気持ちを、ただ聞いてあげればよかったって」
最後にそう言った望の母に頭を下げて、私はカフェを後にした。
久しぶりの旅行を提案
後日、望にメッセージを送った。
「久しぶり。ねえ、旅行に行かない?リフレッシュに」
独身時代、推しの応援イベントに行く時にはよく旅行をしていた。各都道府県制覇の勢いが止まったのは、私が結婚してからだった。
もちろん、あんなやり取りをした直後だし、断られる不安もあった。でも、望からは「いいよ」と返信が届いた。それがうれしくて、私はすぐに電話をかけた。彼女もまたすぐに取ってくれた。
「旅行なんて久しぶりだね、どこに行くつもり?」
望の声を久しぶりに聞いてちょっと安心した。お互いに、電話で決裂したあの日のことは口にしない。私は行き先について、望にこう返事をした。
「望が決めてよ」
「え?」
「いつも私ばっかり希望をかなえてもらってたからさ、今回は望が行きたい場所がいいよ」
「え、いきなり言われても…どうしようかな」
悩んで無言になる沙織に、私は真意を伝えた。
「私、あんまり望の話を聞いてなかったからさ。望が好きな場所で好きなことしながら、思っていること聞かせてほしいと思って」
望は同じ推しを応援し続け、ライブを楽しみ、共に笑いあった人。望に支えられたことはたくさんあるから、私も望を支えたい。
「うん。考えてみる」
そんな彼女から、旅行プランの連絡メッセージが来たのは、1週間後のこと。行き先は、私たちが初めて一緒に旅行をした温泉地だった―――。
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あとがき:友人の知らない部分を見て…
長年の友人関係であっても、知らないことが多々あると実感した沙織。望の痛みも想像し、何かできないかと考えた彼女は、久しぶりの旅行を提案します。そして旅行の計画を委ねたのです。周りの意見ではなく、自分で考え、選択していくこと。その機会を失っていた望の新たな旅立ちが、次回描かれます。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています。










