1. トップ
  2. トレンド・イベント
  3. ブログ・SNS
  4. 元夫の“刺激”か、恋人の“退屈な安心”か。親友の一言で気づいた「本当の気持ち」|シングルマザーの揺らぐ心

元夫の“刺激”か、恋人の“退屈な安心”か。親友の一言で気づいた「本当の気持ち」|シングルマザーの揺らぐ心

元夫の不倫をきっかけに離婚し、5歳の息子を育てるシングルマザー・真由。おだやかで誠実な恋人・直人と出会い、前を向き始めていたはずなのに、父親として変わっていく元夫の姿に心がゆれて…。離婚後の元夫婦の変化について描いた作品、『シングルマザーの揺らぐ心』第4話をごらんください。

Ⓒママリ/画像の生成にAIを活用しています

🔴【第1話から読む】離婚後、父親らしくなった元夫と優しすぎる恋人…2人の男の間で揺れる本音

離婚から2年後に出会った直人は、息子・陽向の存在も、過去の傷も静かに受け止めてくれる誠実な人。おだやかな時間を過ごす一方、真由は、元夫・健吾の陽気さとくらべてしまい、優しさだけでは埋まらない、小さな違和感を抱き始めていた。

まよいを打ち明けた昼下がり

親友  悩み お茶 PIXTA

「で、どうなの? 正直なところ」

向かいに座る美咲が、コーヒーカップを置きながら言った。

平日の昼間。久しぶりに有給を取り、駅前のカフェでランチをしている。陽向は保育園。こんなふうに美咲とゆっくり話すのは、いつぶりだろう。

美咲は学生時代からの親友で、私の結婚も離婚も、全部知っている。探偵事務所に行く前夜、泣きながら電話した相手も彼女だった。

私は、フォークをにぎったまま、少しまよってから口を開く。

「……健吾がさ、ちゃんとお父さんしてるのを見ると、なんか…」

言葉がうまくまとまらない。

「ゆれる?」

図星を突かれて、苦笑する。

「……うん」

旅行のこと。陽向と笑い合う姿。昔みたいに自然に話せる空気。そして、直人とのおだやかな時間の中で感じる、ほんの少しの物足りなさ──全部、彼女に正直に話した。

美咲は、途中で一度もさえぎらなかった。だまって聞いて、最後に小さく息を吐く。

「…健吾さん、変わったよね」

「……うん」

それは、私も認めている。父親としては、本当に誠実になった。約束を守るし、陽向を大切にしている。

「でもさ……」

美咲は、まっすぐ私を見る。

「真由が泣いた夜のこと、忘れてないからね、私」

「父親」と「夫」は別の話

カフェ カップ 女性 PIXTA

「妊娠中に放置されたことも…陽向くんが熱を出してるのに、飲み会行ったことも」

思い出したくない場面が、鮮明によみがえる。

「あの人、明るいけどさ…自分中心なところあったよね?」

(否定できない)

いつも、あいまいな笑いでごまかす。自分が正しいと信じてうたがわない。私の不安を「考えすぎ」で片づける。健吾は、私の悩みに、真剣に向き合ってくれたことがあっただろうか…。

「不倫もそうだけどさ…ああいう人って、根っこは変わらないと思うんだ」

美咲の声は冷静だった。責めるでもなく、感情的でもなく、ただ、事実をならべるように。

「父親としてはいいかもしれない。でも、夫婦として、真由がしあわせになれるかどうかは、別問題じゃない?」

彼女の言葉が、静かに刺さる。私は視線をおとした。

選びたい"未来"

 空  髪 30代 PIXTA

「……でも、たのしかったのも本当なんだよ」

「分かるよ」

美咲はすぐにうなずいた。

「たのしかったから結婚したんでしょ?」

そう、たのしかった。笑い合って、くだらないことで盛り上がって…あの時間は、ウソじゃない。

「直人さんは?」

私は、息を詰まらせた。

「やさしい。誠実だよ。陽向にもちゃんと向き合ってくれる」

コーヒーの水面に小さな波紋が広がっている。そこに映った自分の顔が、どこか暗くらいのをみて、はっきりと気づいた。

「でも……なんか、たまに息苦しい」

美咲は、少し考えるように視線を上げた。

「それってさ…安心してるってことなんじゃないの?」

「え?」

「ドキドキとか、刺激とか、テンポの良さとかってさ…不安定さや緊張とセットなことが多くない?」

思わず顔を上げる。

「健吾さんといた時、たのしかったかもしれないけどさ、同時に不安もあったでしょ?」

たしかに、いつもどこかで気を張っていた。きげんをうかがっていた。飲み会の帰りを待ちながら、胸がざわざわしていた。

「直人さんは?」

美咲が問いかける。直人といる時間を想像する。どなられないし、不安になることもない。急に連絡が取れなくなることもない。

「……落ち着いてる」

「それが“安心”だよ。物足りないって感じるのは、波がないからかもしれない。でも、その波のなさってめちゃくちゃ大事だと思う」

何も言えない。胸の中で、何かがゆっくりほどけていく。

(刺激と安心…私は、どっちを求めているんだろう)

食事をおえ、店を出るころには、不思議と呼吸がかるくなっていた。

駅までの道を歩きながら、空を見上げる。

(何にゆれていたんだろう。健吾の“変化”に期待していた?それとも、過去のたのしかった自分に未練があった?)

答えは、少しずつ見えてきている。家に帰ったら、直人に連絡してみよう。ちゃんと、今の気持ちを話してみよう。そう思えた時、胸の奥のモヤモヤは、ほとんど消えていた。

私はもう一度、自分に問いかける。

(私が選びたい未来は…一緒に生きていきたいのは、どっち?)

その答えは、もう、ほとんど決まっていた。

🔴【続きを読む】「あのころ俺…」台風の夜、元夫からの告白…私が選んだ"未来"とは

【全話読む】
シングルマザーの揺らぐ心

あとがき:くらべてしまう心の正体

あたらしいしあわせを前にしたとき、なぜか過去とくらべてしまう──それは未練というより、「自分にとってのしあわせの形」をたしかめる作業なのかもしれません。

安心できる相手なのに、胸が高ならないことに戸惑う。たのしかった記憶がよみがえり、選ばなかった未来を想像してしまう。

けれど、くらべることで見えてくるものもあります。自分はどんな空気の中で笑っていたいのか。どんな日常なら、肩の力を抜いていられるのか。

まよいは遠回りに見えて、実は「納得できる選択」をするための大切な時間。真由が向き合っているのは、だれかではなく“これからの自分”なのかもしれません。

※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています

🔴【全話読む】シングルマザーの揺らぐ心

🔴【今読まれています】マイホームの真向かいに住むママ友、明るさの影に見え隠れする“違和感”|フレネミーママ友

おすすめ記事

「小説」 についてもっと詳しく知る

本記事は必ずしも各読者の状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて、医師その他の専門家に相談するなどご自身の責任と判断により適切に対応くださいますようお願いいたします。なお、記事内の写真・動画は編集部にて撮影したもの、または掲載許可をいただいたものです。

カテゴリー一覧

ブログ・SNSの人気記事