🔴【第1話から読む】双子育児に夫への指示!指示待ち夫に近づく妻の限界
「指示待ち」を続ける夫に、ついに感情を爆発させた真央。逃げ場のない育児の重圧から、愛する我が子の手を振り払い、家を飛び出してしまう。母親としての自責の念と、どうしようもない絶望が彼女を支配していく。
「分からない」からやらない夫
「……ねえ、智裕。昼ごはんなんだけど」
昼過ぎ。リビングの空気は重く沈んでいました。 私は、なんとか子どもたちの分だけは「栄養を」と、野菜を刻んでリゾットを作りました。 けれど、寝不足で機嫌の悪い二人は、一口食べては皿をひっくり返し、スプーンを投げ飛ばします。 床に散らばる、私が必死に作った食事。
智裕は、おなかが空いているのでしょう。 チラチラとこちらを見て、私の様子を伺っています。
「いつになったら俺の飯、作ってくれるの?」という無言のプレッシャー。
「自分で作れば?」という言葉が喉まで出かかりましたが、それを言うエネルギーすら惜しい。 以前「自分で作って」と言った時、彼は「やり方わからないから、カップラーメンでいいや」と寂しそうに言い、結局その後片付けをするのは私でした。
教えてくれたら、と何もしない夫
「……ねえ、どうして自分から動いてくれないの?」
私は震える声で聞きました。
「え? 動いてるじゃん。ほら、子どもたちが投げたスプーン拾ったし」
「そうじゃない。全体を見てよ。ご飯がないなら炊く、汚れがあるなら拭く。どうして私が全部指示しなきゃいけないの?」
「だから……やったことないからわかんないんだって。教えてくれればやるって、いつも言ってるじゃん」
教えてくれれば。 その言葉が、今の私には「お前の負担を減らす気はない」と言われているようにしか聞こえませんでした。
1年半。双子が生まれてからずっと、私は一人で二つの命を背負って走ってきました。 智裕は、その後ろを「歩き方教えて」と言いながら、手ぶらでついてきているだけ。
限界を超えた瞬間
「もう……無理」
「え? 真央、何か言った?」
「無理なの!!」
私は叫んでいました。 自分でも驚くほどの大きな声。双子がビクッとして泣き止み、私を見上げます。 その瞳に映る私は、きっと鬼のような形相をしていたでしょう。
私は、命より大切なはずの子どもたちを、今は正視することができませんでした。
「愛情を注がなきゃ」「笑顔でいなきゃ」 そう思えば思うほど、体が鉛のように重くなり、一歩も動けなくなる。 世の中のお母さんたちは、どうして普通に笑っているの? どうして私は、こんなに簡単なこともできないの?
私は上着だけをひったくるように持ち、玄関へ向かいました。
「ちょっと、真央!? どこ行くんだよ!」
智裕の声が響きます。 その時、足元でりくが私のズボンの裾をギュッと掴みました。 「ママ……っ、あーっ!」 不安そうな、必死な顔。
でも、今の私にはその小さな手が、自分を底なし沼へ引きずり込む鎖のように感じてしまったのです。
「離して……!」
私は息子の小さな手を、振り払ってしまいました。 背後で、二人の泣き声が爆発したのを聞きながら、私はドアを蹴り開けるようにして外へ飛び出しました。
あとがき:母性という神話が、牙を剥くとき
最愛の子の手を振り払う。その一瞬の行為に、どれほどの絶望が詰まっているでしょうか。決して子どもが嫌いなわけではない。ただ、「命の責任」を一人で負わされる重みに耐えきれなかっただけなのです。鬼のような形相になってしまった自分に一番傷ついているのは、真央自身。読者の皆様の中にも、ここまでではなくとも「消えてしまいたい」と夜に泣いた経験がある方がいるかもしれません。その痛みから目を背けずに描きました。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










