奈良崎初葉(45)に突然かかってきた一本の電話。それは、姉の息子…甥っ子の那月(18)からの着信だった。ふしぎに思いながら電話に出ると、那月は泣きながら「助けて…もう家出したい」と答えた…。
甥っ子から突然のSOS
甥から電話がかかってきた。滅多にないのでふしぎに思いながら電話に出ると、第一声はふるえていた。
私は奈良崎初葉(ならさき ういは)。私には3つ上の姉・久美(くみ)がおり、今回相談して来たのは、その姉の息子である那月(なつき)だ。
彼は高校3年生になり、勉強に部活…進学にと、「いそがしそうにしている」という印象だった。私は結婚をせずに独り身なので、甥っ子は自分の息子のようにかわいかった。
そんな甥から、まさかこんな相談をされるなんて…。
「那月?こんな時間にどうしたの?」
「初さん、急にすみません…」
通話越しの彼の声。第一声は何かにおびえているように、とてもふるえていた。
「何、どうかしたの…?」
「俺もう…ムリで…だれに言ったらいいか、わかんっ、なくて…」
「おちついて?ゆっくりでいいから…」
一体、彼の身に何が起きているのか。この時はおどろきと同時に非常にあせったのを覚えている。
父親が苦手(那月 Side)
俺が父親に一線を引くようになったのは、もうずっとおさないころ。
母に毎日のように罵詈雑言をあびせつづけていたから。
言葉の意味理解はできなかったけど、母が肩をすくめて小さくなりながら涙をながしていた状況を鑑みると、当時もかなりひどいことを言われていたのではないだろうか。
大声でどなっている時の父親の顔は、化け物に思えるくらいにおそろしかったことだけは覚えている。そのころから俺は、父親が苦手…いや、「きらい」だった。
小学生になると、ターゲットは俺にシフトされていった。
テストの点数がわるかったり、門限を5分過ぎてしまったり、夕食に苦手な食材が出た時、ちょっとのこしたりした時には、それをきっかけにどなりちらかされる日々。
「出て行け!」「わからないならもう◯ね!」
などの暴言をはかれることが、日常になっていった。
エスカレートする暴力
中学生の時。それがさらにエスカレートして、とうとう手を出してくるようになった。
もう俺はあきらめていたので、大抵のことはながして、「父親が気がおさまるまで耐える」ということをしていたが、一度、取っ組み合いの大げんかになったことがあった。
その時、俺は自分の部屋でテスト勉強をしていた。すると父親が部屋にいきなり入ってくるや否や、意味の分からないことをどなりながら、俺の胸ぐらをつかんできたのだ。
「お前、金抜いたか!!!」
俺はそのままベッドの方に投げられて、角に腰をぶつけた。
証拠もなく、意味の分からないことを言われた俺は、テスト勉強をじゃまされたイライラも相まって、どなり返した。
そこからはもう取っ組み合いの大げんか。父親には引っ掻きキズが…俺は身体中にアザができてしまった。
🔴【続きを読む】「金を盗んだな!」父の暴言と暴力に耐える日々。真犯人は意外な人物で…
あとがき:甥からのSOS
今回のお話では、甥っ子から「虐待の相談」を受けた初葉と、実際に相談をした那月の両視点から描かれます。
おさないころから虐待をうけていた那月。ようやく相談することができたのは、叔母の初葉でした。これを機に、那月の運命が変わることを切にねがいたいですね…。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










