🔴【第1話から読む】「助けて…」甥から涙の告発。隠された姉一家の"闇"
初葉は宗吾を説得するべく、佐藤家に向かった。「那月が独立していけるように手助けをする」という、それらしい内容で話をした初葉だが…。
一人ぐらしについて提案
「高校卒業後は一人ぐらしする」という話を、那月から姉の久美に話してもらった。
急に私が話をすると、那月が私に相談した内容がバレて、また危険なことになりそうだったからだ。
その後、先に私と久美とで話し、宗吾さんを説得するために口うらを合わせてほしいことも伝えた。
最初は久美も一人ぐらしには反対していた。息子が家から出て行くことの寂しさもあったのだと思う。「宗吾さんを説得することに恐怖もある」と言っていた。
久美はずっと、その恐怖からうごけないでいたのだろう。何かうごくことで、更に事態が悪化することを避けたかったのかもしれない。
だからこそ、第三者である私が「どうにかしなくてはいけない」と確信が強まった。
宗吾さんがどうしても条件をのめない場合、彼の暴行について「警察」のワードを出すこともできると思っていた。彼もそこまで愚鈍ではないはずだ。その話をすれば、資金も私が出すのだから承諾するだろう。
まずは久美から、宗吾さんに那月の一人ぐらしについて相談し、その会話を録音しておくように伝えた。
案の定、宗吾さんは即座に拒否し、お金の話を持ち出してきた。
久美が「私(初葉)に相談してみる」と言うと、「じゃあ話してみろよ!」とどなっていた。後日、その相談内容について話し合うということで、私は佐藤家を訪れた。
リビングには、私と久美、宗吾さんと那月の4人があつまった。宗吾さんは、今回の件についてどう思っているのかよめない表情をしていた。
「親孝行」を強要?
「今はまだ、一人ぐらしさせる気ないんです」
宗吾さんは、"ことわる方向"で話をしてきた。
「正直言って、生活費を余分にかけることはないと思ってます。家賃だってかかるし、光熱費だって。その分をこちらの生活費と大気の学費ために回せるので。就職後、少しでも実家に生活費を入れるのが親孝行じゃないかってことです」
「親孝行って、親側からやらせることじゃないですよ」
その言葉にカチンときたのか、宗吾さんの声のボリュームが少し上がった。
「あんたにはわが家の家計のことは関係ないです。とりあえず那月は、就職してある程度家に貢献してもらわないと」
「費用は私が出すので、那月は年度末から一人ぐらししましょう」
「俺の話を聞いてますか」
「話してても埒があかないです。那月はあなたから、はなれてくらす必要がありますね」
「はあ?」
宗吾さんの表情は怒りに満ちていたが、私たち3人からの侮蔑とも似た視線を感じると、大きなため息をついて「勝手にしろ!」と言って、部屋を出て行こうとした。
危害を加えるなら…
「宗吾さん!」
宗吾さんは私の強い語気にびっくりしたように、振り返った。
「このことで、那月や大気、久美に何かしたり言ったりしたら、警察に全部言いますから。全部です全部…」
宗吾さんは一瞬、おどろきとあせりを交えた表情をした。
「警察に言われたらマズイ」と感じたのだろう。にがい顔をして私をにらみながら「しませんよ、では話はこれで」と言い、部屋を出ていった。
その後、那月は卒業し、無事に一人暮らしを始めた。社会人は大変そうだが、日々のできごとをこまめに連絡してくれる。
久美と大気にも、その後、特に被害はないようで安心していた。
しかし、どうやら宗吾さん自体が「家に帰っていない」とのこと…。これまでも時々あったそうだが、最近はしょっちゅうだと言うのだ。
(これは…確実に浮気しているな)
暴行だけならず浮気もしているとなれば尚のこと、久美も夫婦として一緒にいる必要はない。
証拠があつまれば「養育費を突きつけて離婚も考える」と久美は言っていた。私もできる限りのことをサポートするつもりだ。
あの時、那月が相談をしてくれなかったら…どうなっていたのか、想像するとこわくて胸がいたくなる。
今回のことがベストな行動かはわからない。だが、那月と大気、それに姉が少しでも安心してしあわせなくらしができる日々を、私はできる限り見守りたいと思っている。
🔴【第1話から読む】「助けて…」甥から涙の告発。隠された姉一家の"闇"
あとがき:安心して暮らせる環境を
「親孝行」というのは、子どもから感謝の意を持って行うことであって、親側から強要するものではありませんよね。今回のお話では、那月が勇気を出して初葉に相談をしたことで、何とか安心できる環境に身をおくことができました。
大人として、こまっている未成年にどう手を差し伸べるか…考えさせられるエピソードでした。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










