「森の幼稚園」ってなに?
森の幼稚園は、1950年代中頃にデンマークではじまったと言われています。
その活動はどんどん広がり、今やデンマークでは当たり前の幼児教育に。既にドイツには400以上の森の幼稚園があり、北欧にも広がっているといいます。
一般的な幼稚園と比べ、森の幼稚園には2つの特徴があります。
特徴1:とにかく「自然」の中ですごす
ひとつ目は、とにかく自然の中ですごすということ。
大人が管理している空間ではなく、自然という「なんでもあり」の空間で過ごすことで、雨や雪にも負けないたくましい心と体が育つといわれています。
一年中森の中で過ごすことで、草木や虫、動物とのふれあいを通し、幼児期に特に発達するといわれている「五感」も鍛えられるようです。
特徴2:自主性を尊重した「見守る保育」
もうひとつの特徴は、子供の自主性を尊重した保育を行うことです。
森の幼稚園での大人の役割は、子供の「共感者」として、さまざまな経験していく様子をそっと見守ることだけです。
子供たちは「自分は見守れている」という安心感の中で、「自分の力でできた!」という自信を得たり、友達と助けあうことの必要性を感じ取っていくそうです。
どんな活動をしているの?
例えば日本の「森のようちえん まるたんぼう」という園では、以下のようなスケジュールで1日の活動が行われています。
9:00~9:30 集合→移動(連絡ノート提出、出席シール貼り、健康チェック)
9:30~10:00 おはようの会(森におはようのごあいさつ、歌、手遊びなど)
10:00~12:00 おさんぽ(合間におやつを食べます)
12:00~13:00 お弁当&自由
13:30~14:00 さよならの会(絵本、わらべ歌、森にお別れのあいさつなど)
14:00~14:30 園舎に移動→早帰りの子は帰宅
14:30~17:00 お昼寝、自由遊び、おやつ
17:00 解散 出典: marutanbou.org
雨や雪の日も野外で活動するので、服装は防水&防寒のために長袖長ズボン。さらに長靴や帽子を着用します。
お弁当や飲み物や着替えが入ったリュックを背負って、熊よけのホイッスル(!)を首にかけて出発です。
森の中では、草木を使って遊んだり、自分たちでご飯を炊いたりと、室内ではなかなかできない体験をたっぷり楽しみます。
なぜ今「森の幼稚園」が注目されているの?
この森の幼稚園、「自然体験が減っている現代に、新しい価値観を見いだせる幼児教育」として、最近見直されています。
さらに、近年は農村の人口減が問題になり、地方自治体は都会から子育て世帯を呼びこむことに躍起になっています。
そのため、都会からの移住を増やすため、森の幼稚園に支援を行っている自治体もあります。
実際に鳥取県や長野県では、子供を森の幼稚園へ通わせるために移住してくる家族も少なくありません。
保育の質を保つことが、今後の課題?
現在、日本には150以上の団体がある森の幼稚園。その中には、自主保育もあれはNPOが運営しているものや、既成の幼稚園・保育園が活動の一部として取り入れるケースもあります。
今後はさらに全国に広がっていくことが予想されますが、課題となるのは保育の質の確保。
森の幼稚園に認定制度を設けたり、森の幼稚園の保育士の育成・認定制度など、自治体にはさらなるバックアップが求められそうです。