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監修:齋木啓子

【医療監修】B型肝炎の予防接種は必要?ワクチン接種の時期や回数、副反応

B型肝炎の予防接種は、以前は任意の予防接種でしたが、2016年10月より定期接種になりました。それまで任意だったワクチンということもあり、B型肝炎の予防接種の必要性について疑問がある方もいるかもしれません。この記事では、B型肝炎ワクチンの必要性と接種時期、また気になる副反応についてご説明します。

PIXTA

B型肝炎とは?

B型肝炎とは、B型肝炎ウイルス(HBV)に感染することにより肝炎を引きおこす病気です。慢性肝炎から肝硬変、さらに肝がんに発展する恐れがあります。

日本肝臓学会によると、B型肝炎ウイルスは、日本で約130~150万人が感染していると推定されており、これはおよそ100人に1人という決して少なくない割合です。

感染は、B型肝炎ウイルスが含まれる血液や体液が体内に入ることでおこるため、輸血によって感染することがあります。しかし、日本で輸血される血液は、HBV検査を通過した血液のため、輸血によって感染するリスクは低いでしょう。

輸血以外の感染経路として、HBVに感染したパートナーと性交渉をすることが挙げられます。自分自身が感染に気付かないまま性交渉することで、感染を拡大してしまう恐れがあります。

一方、子供への感染は、HBVに感染した母親から生まれる際の母子感染が一般的でしたが、対策が進んだことで、最近では生まれたあとに血液や体液が傷などから体内に入ることで感染が起こる事例の報告が増えています。

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B型肝炎ワクチンは必要?

守る PIXTA

日本肝臓学会によると、B型肝炎ワクチンの接種は世界180ヵ国以上で行われており、ワクチンの中でも最も安全なものの一つとされており、乳児期早期に定められた回数の予防接種を受けることで、99%以上の確率でB型肝炎に対する免疫を得ることができます。

国立感染症研究所によると、B型肝炎ウイルスに感染した年齢が低いほどウイルスが体から排除されないため、キャリア(HBVが体内に持続的に感染する状態)になるリスクが高く、1歳未満では90%、1~4歳では25~50%の割合でキャリアに陥ります。

持続感染状態のうち、10~15%が慢性肝疾患(慢性肝炎、肝硬変、肝細胞癌)へ移行するとされており、こうした感染リスクを考慮すると、定期接種はしっかりと受けさせるべきでしょう。

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B型肝炎ワクチンの接種時期や回数

予防接種 赤ちゃん PIXTA

すでに説明した通り、平成28年10月よりB型肝炎ワクチンは定期接種の対象となっています。対象は、平成28年4月1日以降に生まれた0歳児です。

  • 1回目:生後2ヶ月
  • 2回目:生後3ヶ月(1回目から27日以上あける)
  • 3回目:生後7~8ヶ月(1回目から139日以上あける)

上記が標準的な接種スケジュールですが、生後1年までの間は特に予防接種をする機会が多く、混乱してしまう方もいるでしょう。

心配な方は、かかりつけ医に予防接種のスケジュールについて相談してみてくださいね。

ウイルスに感染した妊婦が出産した場合は?

妊婦 相談 PIXTA

B型肝炎ウイルスが体内にある妊婦から生まれる赤ちゃんは、出産時に母体の血液に触れることで母子感染を起こす可能性があるため、生まれてからすぐに予防接種をすることが必要です。

  • 1回目:出生直後(12時間以内が望ましい)
  • 2回目:生後1ヶ月
  • 3回目:生後6ヶ月

上記のスケジュールに沿って予防接種を行い、生後9~12ヶ月を目安にウイルスの感染の有無を調べるための検査が行われます。

B型肝炎にかかっているかどうかは、「B型肝炎母子感染防止事業」に基づき、妊婦健診で検査が行われますので、自分で手続きをするということはありません。

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B型肝炎予防接種による副反応は?

発熱 赤ちゃん PIXTA

厚生労働省によると、B型肝炎ワクチンは世界中で使用されており、安全性の高いワクチンとされています。しかし、B型肝炎ワクチンに限らず、予防接種後には以下のような症状がおこることがあります。

  • 接種箇所が赤くなったり、腫れたり、しこりができたり、痛みを感じたりする
  • 注射したところだけでなく、熱がでたり、刺激に反応しやすくなったりする
  • いつもより機嫌が悪かったり、ぐずったり、眠そうにしたりする
  • 極めてまれに、アナフィラキシー(※1)、急性散在性脳脊髄炎(※2)などの重い病気にかかる

予防接種後は、子供の体調をよく観察し、気になる症状があらわれたらすぐに医師に相談しましょう。

※1…急激なアレルギー反応により、じんましんがでたり呼吸が苦しくなったりすること。
※2…自己免疫(免疫力が強すぎて自分自身の体を攻撃してしまう)という現象で起こる脳や脊髄の病気。発熱、嘔吐(おうと)、意識がはっきりしない、手足が動きにくいなどの症状がみられる。

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予防接種は計画的に受けさせましょう

小児科 相談 PIXTA

B型肝炎ワクチンは、任意接種から定期接種に変わりました。そのため、複数のお子さんがいる方にとっては上の子の時には任意だったのに、なぜ定期接種に切り替わったのか疑問に思う方もいるかもしれません。

ご紹介したように、B型肝炎は低年齢で感染すると、将来肝硬変や肝がんに進展することがある病気です。大切な子供を守るために、しっかりとワクチンの接種をしましょう。

生まれて間もないころは、たくさんの予防接種を受けさせなければならず、スケジュールをどう組んだらよいか迷ってしまうこともあるでしょう。わからないときは一人で悩まず、かかりつけ医で相談したり、スケジュールを管理するアプリなどを利用したりする方法もあるので、ぜひ活用しましょう。

記事の監修

家庭医、在宅医

齋木啓子

2004年島根医科大学卒。独立行政法人国立病院機構姫路医療センターにて初期研修、CFMDにて家庭医療後期研修および在宅フェローシップ、Leadership Training Fellowship-distant(LTF-distant)修了。
12年にふれあいファミリークリニックを開設し、院長として勤務。17年にEU Business SchoolにてMaster of Business Administrationを取得し、LTF-distant運営・指導に当たっている。現在は悠翔会在宅クリニック新橋で院長として勤務。
家庭医療専門医、在宅医療専門医、経営学修士。

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