毎日自問自答した、産休・育休中の保育園登園問題
産休・育休中に保育園に上の子を預けることについては、世間でも議論になっていましたが、筆者の住む地域では、産休・育休中も上の子の登園が認められていました。
待機児童もいたため、仕事を休んでいる状況であれば退園することも考えました。
しかし、1年後には復職の予定があったため、「復職時に同じ保育園に入ることができる保障がない」ことや、「2人とも入園できる保障がない」ことを考え、継続して登園させることに決めました。
里帰りしている間に長男が赤ちゃん返り
下の子は里帰り出産をしたため、しばらくの間長男も保育園をお休みし、実家で一緒に過ごしていました。長男は当時1歳8ヶ月。1歳クラスで保育園に入園し、やっと保育園に慣れてきた夏でした。
いつもの帰省気分で田舎での生活を楽しんでいた長男でしたが、出産のため私が入院すると、慣れない祖父母の家で1人お留守番。パパは仕事を休めなかったため、帰省中は週末だけ会える日々でした。
下の子を連れて退院すると、しばらくしてなんだか様子がおかしい長男。夜泣きも始まり、なんでも「イヤ!」と言い出し…どうやら、赤ちゃん返りをしてしまったようです。
里帰りから帰宅し、保育園に連れて行くも…号泣。
里帰りから帰宅し、保育園に登園させようとしましたが、朝昇降口で大泣きし始め、手の付けられない状況に。まだしゃべり始めたばかりなはずなのに「ママがいい」「かえりたい」と必死に訴える姿に、私まで泣きそうになりました。
しかし、毎日2人の夜泣きに付き合ってきた私も限界。なんとか保育園に通ってほしくて、無理やり先生に引き渡す日々でした。
お迎えに行くと泣きながら抱きついてくる長男。家に帰るとストレスを爆発させているのか、癇癪を起こすことが多く、下の子のお世話どころではない毎日でした。
いつもは温厚で、大騒ぎするような長男ではなかったのに、何かに取りつかれたように怒る姿に「こんなことをしていたら、この子の精神が壊れてしまうのではないか」と不安になっていました。
「まだ1歳だからわからない」は大きな誤解だったと反省
正直、「赤ちゃんとママは家にいるのに僕だけ保育園」という現実は、1歳の息子にはわからないと思っていました。
今まで仕事をしていて預ける時、全く泣くことなく楽しんで登園していたため、普通に預けに行けば大丈夫だろう、泣いても数日間だろうと思っていたのです。
しかし、1歳9ヶ月になった息子は、全てわかっていたのだと気が付きました。
ママが赤ちゃんを産んだこと、僕と赤ちゃんはママを「はんぶんこ」しなくてはいけないこと。そして、ママと赤ちゃんは家に居るのに僕だけが保育園に置いて行かれてしまうこと。
そのことに気が付いた時、私は自分勝手に息子を保育園に追い出そうとしているのではないかと自問自答しました。
「2人育児が大変だから、息子には保育園に行ってほしいと思っていた気持ちは否定できない。それなら退園させて、2人を家で復職まで見るのがベストだろうか。」
「しかし、そうしたとしても、長男が再度登園するときの心の負担が軽減されるとは思えない。逆にお友達や先生の事を忘れてしまい、登園しにくくなる可能性もある…」
「でも、今の息子の思いはどうしたらいいんだろう。」
なかなか結論が出せず、担任の先生に相談をしてみることにしました。
担任の先生に相談し「ゆっくり時間をかけて」対応することに
担任の先生に、長男の心のケアで悩んでいることを伝えると、登園し始めて2週間ほどたったある日、面談を行ってくれました。
登園した後の長男は、なんとか泣き止む時間も増えてきたものの、お昼寝の時間になると「ママがいいよ~」と泣き出すそうです。
甘えたい気持ちが湧き上がってきているんだなと感じ、私まで涙をこらえることができませんでした。
それでも「赤ちゃんの育児と赤ちゃん返りした上の子の育児を、ママが1人でするのは大変。預けてくれれば後はこちらが対応しますから、お母さんは焦らずにゆっくり見守ってください」という先生の言葉に励まされました。
長男の泣きは『抗議』だったんです
先生の言葉では、長男の「保育園拒否」は、入園児の慣らし保育の時の気持ちとは違い「保育園に行かないといけないことは理解しているけれど、納得はできない」という状況なのではないかとのこと。
その言葉に妙に納得しました。長男の毎日の涙と怒りの表情は、まるで抗議をしているようでした。
「どうして僕だけ保育園にいかなきゃいけないの?赤ちゃんとママは家にいるのに」と言う言葉が聞こえてきそうでした。
そんな彼の思いをほどくには、特効薬はありません。保育園での楽しさを少しずつ感じたり、家でママにたくさん甘えていく中で、「自分も愛されている」と満足することが大切なようです。
ついつい「早く今までのように笑顔で通ってほしい」と焦っていた私でしたが、ゆっくりと対応しようと決めました。
時折おやすみしながら、ゆっくり改善していきました
新生児育児をしている間は、あまり外で遊んであげることもできませんでしたが、だんだん下の子も外出できるようになってからは、たまには保育園をお休みさせて、上の子の好きな場所に遊びに行くなど、リフレッシュさせてあげるように心がけました。
「お休みさせてしまったら、余計保育園に行きたくなくなるのでは」と不安になっていたのですが、実際はその逆で、満足のいくおでかけの翌日は、思ったより泣かずに登園したりしてくれたのが印象的でした。
また、少し大きくなってお話を理解できるようになってからは、朝「行かない」と泣き出しても、私も一緒に悲しい顔をするのではなく「保育園は楽しい所だから行こうね」「ママも〇〇くんが保育園に行って楽しんできてくれたら嬉しいな」と話し、ある程度割り切って預けるように心がけました。
結局、泣かずに登園できるようになるまでは3~4ヶ月時間がかかりましたが、その後は安定して保育園に通うことができています。
精神的な問題に苦戦しましたが、保育園を続けられて良かったと思っています
制度上、退園等の制度が無く、保育園に預けられたことは本当にありがたかったです。
我が家の場合はその後の「上の子のメンタルケア」面ですごく苦戦をしたのですが、ゆっくりと時間をかけて心をほどいていくようにした結果、今は保育園を楽しんで通ってくれているので、結果として良かったと感じています。
入園時の慣らし保育も人一倍時間がかかった長男なので、一時退園になってしまったら、その後の入園にも大きな負担がかかったと思います。
慣れたクラス、先生、お友達の元に通い続けることができたことは、彼の環境としても恵まれていたと感じています。
育休中に登園できる場合も、上の子とのふれあいを大切に
育休中に登園を認めている自治体は、通わせているママにとっては嬉しいですね。
しかし、その制度の問題とは別に、子供にとって「育休中の保育園」に複雑な思いがあることは、受け止めてあげなくてはいけないということを学んだ筆者でした。
まだまだ甘えたい上の子の思いを受け止め、しっかりと甘えさせてあげる時間も必要で、決して焦らずに「保育園登園拒否」を乗り越えていくことが大切です。
もしも特に登園を拒否することがない場合でも「毎日保育園がんばってえらいね」「ママはとっても嬉しいよ、ありがとう」と、子供に感謝の気持ちを伝えてあげましょう。
泣かずに登園しないことも、上の子が一生懸命頑張っているということですよね。
保育園に通わせることは、決して「悪いこと」ではありません。お友達と外で元気に遊び、たくさんの事が学べる集団生活は、子供にとって大きなメリットのあることです。
その上で育休中の保育園を「どうするか」ということは、各家庭でしっかり話し合って決定するべきでしょう。