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母になった今伝えたい。天国の母へ「ごめんね」そして「ありがとう」

出産や育児を経験して、それ以前とそれ以後では180度価値観や考え方が変わったというママもいるのではないでしょうか。自身の母への思いも、その一つかもしれません。私は、20歳になる直前に母を亡くし、母の死後に結婚と出産を経験しました。母になる前に抱いていた母への思いと、母になった今伝えたい天国の母への思い。どのように私の気持ちが変化したのか、そして今母に何を伝えたいのかについて綴っていきます。

PIXTA

出産してから大きく変化した、亡くなった母への気持ち

出産して気付くことや変わること、たくさんありますよね。子育ての大変さ、育児をするママの孤独な気持ち…。自身の中での「母に対する思い」も、その一つかもしれません。

私自身、出産を経験して一人の母となり、母に対する思いに大きな変化がありました。それまでは正直あまり好きではなかった母のことも、自分が母になることで、初めて理解できる気持ちがありました。

今、母が生きていたら、今の私のことをどう思うのだろう。そして、私は、同じ「母」の立場として、母とどう接していたのだろう…。そんな思いを綴ってみました。

後悔から「感謝」へ。出産を経て変わった母への思い

小学生 amana images

私は、普通の家庭とはちょっと違う、いわゆる「過干渉」な母親に育てられ、自分の行動や言動をかなり制限されていました。そのため、生前、母のことがあまり好きではありませんでした。

小学生のころは、帰宅が少しでも遅れると、母が警察に捜索願いを出してしまうため、放課後は自分の気持ちとは裏腹にまっすぐに家に帰る毎日。子供同士のちょっとしたいさかいに母が口を出し、それがきっかけでいじめられたこともありました。

母の希望で小学校から大学までエスカレーター式の女子校に入った私は、環境になじめず、友達もできず、小中高同じメンバーで過ごさなければならない学校で閉塞感を味わっていました。それでも母を困らせたくないという気持ちから「受験したい」と口にしたことはあったものの、行動に移せず…。

生きている心地がしない学生時代を過ごしていました。

20歳直前で経験した母の死

葬式 PIXTA

そんな母は、私が20歳の誕生日を迎える1週間前、病気で亡くなりました。

病気のことは知らされていたものの、母の意思により、余命がわずかであることは直前まで知らされなかった私と妹。母がつらそうなことはなんとなく理解していたものの、そんなに病状が深刻だとは知りませんでした。そのためか、母が亡くなった時は、感謝の気持ちよりも先に後悔の気持ちが後から後からあふれ出てきました。

本当はすごくつらかっただろうに、そんな姿を微塵も見せず気丈にふるまっていた母。そして、それを感じ取ってあげられず、自分の都合を優先したり、うまくいかないことで八つ当たりしたりして、いつも母を困らせていた私。友達との約束を優先して、母の誘いを断った時に母が少し見せた悲しそうな顔。

なんでもっとそばにいてあげられなかったんだろう。なんでもっと楽しませてあげられなかったんだろう。なんでもっと、苦しい気持ちに寄り添って、手伝ってあげられなかったんだろう。親孝行どころか、困らせることしかしてこなかった。

この思いは、母が亡くなってからしばらくしても、ずっと消えず、心の中にしこりとして残り続けていました。

変わる母への思い「ごめんね」から「ありがとう」

ハート PIXTA

母が旅立ったその日、周りにも呆れられるほどに「ごめんね」を言い続けていた私。ちゃんと親孝行できず、親を大切にできなかった自分を常に心のどこかで責めていました。

でも、出産と育児を経験して、気付くことがありました。

妊娠や出産の大変さ、そしてそれ以上に、子供を育てることが大変だということ。そして、それ以上に強く実感したのが、「親の愛は無償で、見返りなんて求めていない」ということです。

親は、基本的に「子供に将来○○をしてほしい」というような見返りは求めず、自分の子供に接しています。私も、娘に望むのは、健康で毎日笑顔でいてくれること。そして幸せでいてくれれば、それだけで良いのです。

だから、今母に会って何かを伝えることができるのならば、親孝行できなかった自分を悔いるより、産んでくれて、育ててくれたことに「ありがとう」を伝えたい。そう思うようになりました。

母になった今伝えたい、天国の母へ綴る思い

手紙 amana images

出産を機に、「ごめんね」から「ありがとう」へと変わった私の母への気持ち。

もし、母が生きていたら、私のことをどう思うのだろう。そして、私は、母にどういう思いを伝えたのだろう。今の自分なりの思いを少し綴ってみました。

お母さんへ

花 PIXTA

開口一番、やっぱり「ごめんね」を言いたくなってしまいます。

一緒に過ごしている間に、親孝行ができなくて、つらい気持ちに寄り添ってあげられなくて、本当にごめんなさい。でも、謝るのはこれでおしまいにします。

母になってみて初めてわかった親の思い

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私は、娘を産んで、初めて、親の子供に対する思いに気付きました。

親は、子供が元気で、そして幸せでいてくれたらそれで良いということ。

今、メディアで「毒親」が話題になっていて、「親の子供に対する過干渉は親のエゴだ」という記事なども見かけるけれど、私のお母さんの場合は少し違ったのではないかと思います。

子供に幸せな人生を送ってほしいと思うからこそ、帰宅時間に厳しくなったり、子供同士のいさかいが気になって口出しをしたりしていたのだと、今では理解できます。

本当は体がつらかった時も、誰にも言わずに、家事をこなしてくれたお母さん。反抗する私に、少し悲しそうな顔をしながらも、自分の気持ちをグッと飲み込んでくれたお母さん。私は、少しでも体調が悪かったら家事をサボるし、娘に嫌なことを言われたら言い返してしまうし、イライラしてしまうことも多く、まだまだ母として、人として、未熟です。

だから、当時のお母さんが、どれほどたくさんのことを我慢して、どれほど家族のために尽くしてくれたのか、今になって、痛いほどによくわかります。本当にありがとう。

「人のために何かをしたい」と思う気持ちを引き継いで

ハート PIXTA

子育てが一段落したと思ったら、おばあちゃんの介護が始まり、自分の時間なんて全然持てなかったよね。

やっと自分の時間が持てるようになってから、教師の資格を取るために大学に行ったり、ボランティア活動に参加したりするようになって、「人のために何かをしたい」とキラキラした目で話してくれた矢先にわかった病気のこと。どれだけ無念だったかと思います。

そして、どこか「自分さえ良ければいい」という思いがあった私にも、出産を境に「人のために何かをしたい」という気持ちが芽生えました。お母さんが持っていた優しい気持ちを引き継いで、家族だけでなく、困っている誰かのために自分の力を使えるようでありたい、私もそういう思いで、日々、家事育児以外にも仕事や他の様々なことに取り組んでいます。

お母さんが私に注いでくれた愛情を、私なりの形で娘や家族、周りの人たちに注いでいくこと。そして、私自身が、与えられた人生を全力で幸せに生きること。それこそが、私に今できる、一番の親孝行なのではないかと思っています。

母となった今、お母さんには、少しの「ごめんね」とたくさんの「ありがとう」を心から伝えたいです。

本当に、ありがとう。

母への「ありがとう」の気持ちを抱きながら

親子 amana images

私と母の関係は、一般の人とは少し違うかもしれません。その関係性に悩み、時にはうまくいかないことを親のせいにしていた私。でも、そんな私にも、母はたくさんの愛情を注いでくれていました。

自分が母になってみて、初めて理解できた母の気持ち。

母にもらった愛情を周りの人たちに注いでいくこと。そして、私自身が幸せであること。この二つが、今の私にできる最大限の親孝行なのではないかと思います。そして、そうすることで、母のマインドや想いは後世に引き継がれていくのだと…。

そのために、私も、もっともっと自分の力をフルに使って、一日一日を精一杯生きていこうと考えています。

母への「ありがとう」の気持ちを常に心の片隅に抱きながら。

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