妊婦健診に行かない「未受診妊婦」
未受診妊婦とは、妊娠をしたのに妊婦健診に行かない妊婦のことを指します。医療機関を十分に受診しないまま自宅で出産をしたり、車中で出産になったりするケースも確認されています。
分娩が始まって初めて病院を受診したり、救急車を呼んだりする場合には「飛び込み出産」と呼ばれ、妊娠中の経過がまったくわからぬまま出産をすることになり、妊婦と赤ちゃんにとって危険です。
- 前田産科婦人科医院院長 前田津紀夫「未受診妊婦の実態とその問題点」日本子ども家庭総合研究所(http://admin7.aiiku.or.jp/aiiku/jigyo/contents/kaisetsu/ks0903/ks0903_2.pdf,2017年5月26日最終閲覧)
- 大阪府「未受診や飛び込みによる出産等実態調査 報告書」大阪府(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/3964/00098618/mijyusinchousa2009.pdf,2017年5月26日最終閲覧)
- 葛飾赤十字産院産婦人科 鈴木 俊治「未受診飛び込み分娩を行った 10 代妊婦の背景」日本医科大学(http://www2.nms.ac.jp/jmanms/pdf/011020102.pdf,2017年5月26日最終閲覧)
- 仙台市立病院「当院における飛び込み分娩症例の検討」仙台市立病院(https://hospital.city.sendai.jp/pdf/p015-019 28.pdf,2017年5月26日最終閲覧)
- 井上寿美「飛び込み分娩をめぐる研究の動向と課題」関西福祉大学リポジトリ(https://kusw.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=67&file_id=22&file_no=1,2017年5月26日最終閲覧)
未受診妊婦のリスクは
大阪府は2010年、府内の未受診妊婦の出産に関する実態調査を行いました。その結果、妊婦健診を受けずに飛び込みで出産を行うことの様々なリスクが明らかになりました。
未受診妊婦を受け入れない医療機関は多い
調査によると、大阪府で分娩を取り扱っている160の施設のうち65の施設は、未受診妊婦を受け入れたことがない、あるいは受けないとの回答でした。
2010年、大阪府内の分娩1000件あたりの未受診妊婦発生は2件。約500人に1人の妊婦が未受診という状況でしたが、それでも受け入れをしていない病院は多く存在します。
ハイリスクな分娩ではNICUの設備など高度な医療が必要な場合があり、設備がない病院や、設備があったとしても空きがない病院では分娩を断るケースがあるようです。