子供が癇癪を起こしてしまう…。どうすればいいの?
理由もわからず、子供が泣きわめいて癇癪を起こしたり、叩いたりするなどの行動をすると、どうすれば良いのかわからずに困ってしまいますよね。中でも、発達障がいのある子供は、発達が凸凹で意思表示が苦手なことが多くあります。
発達障がいのある子供は、コミュニケーションがうまくとれないことや、マイペースさが目立つ、生活習慣が身につきにくいなどが共通しています。一方で、発達障がいの子供の多くは視覚的情報を理解することが上手だったり、記憶力がよかったり、興味関心のあることには集中力を発揮したりすることができます。
しかし、どうしても子供のできないことばかりに目を向けてしまいがちになって、身体が大きく成長しても、心や行動に成長を感じられないという方も多いのではないでしょうか。
発達障がいのある子供が癇癪を起こしてしまうのは、思ったことを言葉で伝えられないからです。要求や拒否などの意思表示を、言葉で伝えられるようになる必要があります。
では、どうすれば意思表示ができるようになるのでしょうか。
言葉だけが意思表示の手段ではありません。行動などでも意思表示をすることができます。そう考えると、癇癪を起こすことも意思表示の一つと考えられます。無理に言葉を引き出そうとせずに、まずは意思表示ができることが最初のステップです。
子供が自主的に言葉を使うようになったら、間違った言葉の使い方でも、まずは子供の言葉を受け止めましょう。受け止めてることで、子供が言葉を使うことに対して自信を持てるようになります。受け止めた上で、優しく正しい言葉を伝えましょう。言葉を発して相手に伝わったという経験を、子供の中に蓄積させてあげることが大切です。
言葉のトレーニングではなく、楽しい雰囲気の中で言葉のやりとりをしていくことで、癇癪などの行動での表現が減っていきます。
親子でできる言葉を使った遊びをご紹介!
楽しい雰囲気の中で言葉のやりとりをすることは、一朝一夕でできることではありません。
言葉を使ったり聞いたりすることが苦手な発達障がいのある子供でも、楽しめる言葉を使った遊びをご紹介していきます。お家でゆっくり簡単にできるものや、子供の興味関心に合わせて楽しめるようになっています。
ラップの芯で「もしもし」あそび
大葉リビ
ラップの芯を使うだけで、言葉のやりとりが楽しい雰囲気になり、子供が自主的に言葉を発するようになる遊びです。また、ラップの芯を通すことで話を集中して聞きやすくなります。遊びを通して、話す・聞くの役割分担や言葉を使った意思表示を覚えることができます。
準備するもの
・使い切った食品用ラップフィルムの芯
遊び方
- 子供がラップの芯に興味を示すように、耳元で「ワーワー」「もしも〜し」などラップの芯を通して声かけしてみましょう。
- 子供の耳元で電話のように話をしたり、声を大きくしたり、小さくしたりして話しかけてみましょう。
- 次に、子供の口元にラップの芯を持っていき、子供がラップの芯を通して話をするのを耳にあてて聞きましょう。
- 今度は交代してママが話をして、また交代してを繰り返します。
遊びの中で注意したいこと
子供がラップの芯に興味を示してくれなければ、芯をたたいたり、動物の鳴き声をマネしたりして、子供の興味があるものを試してみましょう。
興味を示して、発声してくれるようになったら、相槌をうったりして答えてあげることが大切です。ちゃんとした言葉を使って会話にすることは難しい場合は、声を発してやりとりすることを目指して、会話の基本姿勢を覚えられるようにサポートしてあげましょう。
ことば集めあそび
大葉リビ
絵と言葉を一致させることで、正しく言葉を覚えることができるようになる遊びです。かるたは、出題者(大人)と回答者(子供)の二人がコミュニケーションを通じて楽しむものなので、自然と言葉のやりとりをする経験にもつながります。
準備するもの
- かるた(身近な題材や子供の興味関心のある題材が「絵」と「ひらがな」で取り上げているもの)
- 画用紙
- マジック
文字カードを用意しましょう
事前に大人が作りましょう。画用紙に、「あ」から「わ」までの44字を書いた文字カードを作ります。カードの大きさは、画用紙の1/4程度を目安にしましょう。
遊び方
- かるたを並べて、「〝あ〟のつくものどれだ?」と、作成した文字カードを見せて探します。最初から50音全部やるのではなく、例えば〝あ〟行だけなどのように、制限をつけておくと探しやすいです。
- 次に「〝い〟のつくものどれだ?」と、順番に手順1を繰り返します。(子供が興味を示さない場合、2〜3枚大人がやるのを見せて終わりにしましょう。片付けなどは子供と一緒に行います。)
- 「これで今日はおしまい」と予告をして終わります。最後に、できた組を確認してから終わりにしましょう。
スリーヒントあてクイズ
大葉リビ
出題者がヒントを出して、子供が答えを出すクイズ形式の遊びです。相手の話を聞くことで、子供が思いついた答えを言葉で表現できるようになります。癇癪を起こす子供は、思いついたものを言葉にすることが苦手なので、遊びを通じて子供が自分の考えや感情を言葉にできるようになると良いですね。
準備するもの
カードを用意しましょう。形・色・大きさ全部が揃ったカードを3パターンずつ計27種類を作りましょう。
形は、◯・△・□以外にも、乗り物や動物、植物や日用品などの絵や写真を、サイズを変えてコピーして台紙に貼り付けたりするのもおすすめです。
遊び方
大人が、形・色・大きさを一つずつ言い、各カードを見せていきます。
例えば、「これから3つのヒントを言います。どんなものか当ててください」と言って、以下のようにヒントを提示していきます。
- 「丸い形です」と、カードを提示します。
- 「赤い色です」と、カードを提示します。
- 「大きいです」と、カードを提示します。
- 「それでは、どうでしょう?」と「◯・赤・大」「△・黄・中」「□・青・小」から子供に選ばせます。
- 正解であれば、「丸い形で、赤い色で、大きいものですね」と、言葉で正解を言います。間違っていれば、「これはどうかな?」と一枚ずつカードを確認して、正解を示しながら伝えていきます。
以上の流れを、繰り返して覚えてきたら、乗り物や動物など、子供が日頃からよく見ているものを形・色・大きさで示していきましょう。
遊びを通じて、言葉のやりとりを覚えていきましょう!
言葉を使った意思表示は、技術が必要です。得意なことや苦手なことに差が生まれやすい発達障がいのある子供にとって、この技術を身につけることは難しいもの。子供が言葉のやりとりを覚えていけば、癇癪などの行動も落ち着いていきます。今回ご紹介した3つの遊びの中から、子供の性格や成長に合わせたものを選んで試してみてくださいね。
『発達障害のある子が楽しめるあんしんあそび』という本では、発達障がいを持つ子供との遊び方についてカテゴリーごとに具体的な遊び方も紹介されているので是非参考にしてみてください。今回ご紹介したもの以外にも、お子さんの好きな遊びもあるかもしれません。
本でご紹介している遊びはほんの一部ですが、子供との遊びが今以上に大人自身を「発達」させられるような機会となれば嬉しいですね。