産休育休を経て復帰するママたち
国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、近年育児休業制度を利用して職場復帰する人が増えてきているようです。
子供の数にもよりますが、第一子出産前後の就業継続者の割合が増えており、出産を機に退職を選択する人が減少しています。
職場復帰する理由は家庭ごとに異なります。しかし共働き世帯が増え、女性の離職を防ぐために産休育休制度や復帰後の時短制度を導入する企業が増えていることから、妊娠出産を経ても職場復帰しようと考えているママが多いことがうかがえます。
- 国立社会保障・人口問題研究所「現代日本の結婚と出産P49~産(第4章子育ての状況)」(http://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou15/NFS15_reportALL.pdf,2017年7月25日最終閲覧)
- 厚生労働省「育休取得、職場復帰の状況」(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000105409.pdf,2017年7月25日最終閲覧)
- 小林製薬「ニュースリリース」(https://www.kobayashi.co.jp/corporate/news/2017/170206_03/index.html,2017年7月25日最終閲覧)
- 労働政策研究・研修機構「調査シリーズNo.145 子どものいる世帯の生活状況および保護者の就業に関する調査2014(第3回子育て世帯全国調査)」(http://www.jil.go.jp/institute/research/2015/145.html,2017年7月28日最終閲覧)
育休明けのママが抱える壁とは
育休明けのママが抱える壁は一つではありません。子供の体調不良や家事育児との両立、また職場環境になじめないなんてことがあるでしょう。復帰して間もないのに心身ともに疲弊してしまう場合も。
共働き世帯が増えてきているとはいえ、小さな子供を持つママが働くことに否定的な意見があるでしょう。会社や家族などの理解と協力が必要なところですが、それを十分に得られないのも事実。
実際に育休を経て職場復帰したママたちが悩む問題を紹介します。
復帰後のママは誰もが経験?子供の体調不良
職場復帰後の子供の体調不良は働くママは誰もが経験したことなのではないでしょうか?
ママが職場復帰したときは、子供も保育所に入園したてです。慣らし保育をするとはいえ、新たな環境に慣れるまでには時間がかかるでしょう。
復帰して間もなく風邪や感染症にかかってしまい、何日もお休みしなければならないということはよくある話です。
家事育児の両立が難しいと感じる「セカンドシフト」
小さな子供の育児をしながら日々家事をこなすことは大変です。しかし育休を終えて仕事に復帰すると、家事育児に仕事にとさらに目まぐるしい日々が待っています。
このように、日中は仕事をして帰宅後は家事育児をするという、あたかも2つのシフトで働いているかのような女性の忙しさを表す「セカンドシフト」という言葉があります。
これはアメリカの社会学者であるホックシールドが1980年代後半に命名した言葉です。当時のアメリカでは、専業主婦から共働きへの移行期で、働く女性が増加した時代。仕事をしながら家事育児を担う女性が多かったといいます。そのことから「セカンドシフト」という言葉が生まれたといわれています。
日本では近年の核家族化や夫の長時間労働などで、共働き世帯が増加しているにも関わらず、ママたちが家事育児にかける負担が減らないのが現実です。
職場で肩身の狭さを感じる
出産前までは、何の問題もなく仕事をしていた職場。しかし、育休明けで職場復帰してみると状況は一変します。
子供の体調不良による欠勤や遅刻早退は仕方ないことですが、それを理由に心無いことをいわれてしまったり、部署異動や仕事量への影響がある場合もあります。
家族のために頑張ろうとしているのに空回り…という経験をしているママもいるのではないでしょうか?復帰早々は子供の体調も安定しないことがよくあるため、仕事の量や役割などに対してはよく上司と話し合う必要がありそうですね。
思いっきり嫌みを言ってくるような人はいませんが、言葉や態度の端々が冷たかったり、何の気なしに「また?」「体調くずすの多いね」「なんか変なもの食べさせたりしてない?」などの言葉に傷ついたり悲しくなったりします。
薬で無理に下げてでも…のくだりの気持ち、とてもとてもよくわかります。
苦しそう、寂しそうな姿を置いていくのも辛いですよね。
仕事をしている以上、子供のことだけを考えることは許されないのはわかりつつも、線引きが難しいこと、たくさんありますよね。。
開き直ったり、強かになったり、我慢したり。。働きながらの育児にはそういうこともやっぱりつきものなんだと思います。なかなかわかってもらえないことの方が多いですし。。
でも、仕事をするメリット(経済面、スキルや社会感覚維持、充実感など)があることも事実ですから、辛い気持ちとも折り合いつけていきながら、頑張るしかないなって思ってます★
はっきりといわれたわけではないけれど、言葉や態度の端々に冷たさを感じたり、嫌味をいわれたりするのは悲しいですよね。
仕事なのだから子供のことだけを考えるわけにはいかないと頭ではわかっていても、子供のことも心配だし、線引きが難しいという意見も。
全てを理解してもらうのは難しいと思いますが、良く知っている職場なのに肩身が狭い思いをしているママはたくさんいるのですね。
- マイナビ「働くママの葛藤! 産休・育休明けで復帰した際の不安を解消する5つのヒント」(https://woman.mynavi.jp/article/140430-55/,2017年7月27日最終閲覧)
- 日本経済新聞「<ワード>セカンド・シフト」(http://www.nikkei.com/article/DGKKZO97208080S6A210C1TY5000/,2017年7月28日最終閲覧)
- キッズライン「3人に1人、育休明けに職場トラブルを経験【復職後トラブルに関する調査】」(https://kidsline.me/magazine/article/89,2017年7月28日最終閲覧)
- 東洋経済新報社「絶不調?「育休明け」ママたちを救え!」(http://toyokeizai.net/articles/-/62851,2017年7月28日最終閲覧)
うまく乗り切る方法とは
育休中、もしくは職場復帰を果たしたママはさまざまな不安を抱えているかもしれません。保育所に通い始めた子供が、入園1週間で早くも発熱したり、風邪を引いてしまったりすることもありますし、仕事と家事育児の両立のバランスが難しく困惑することもあるでしょう。
そのような状況をうまく乗り切る方法はあるのでしょうか?
家族に協力してもらう
共働き世帯が増えている現代、ママが職場復帰するとなったら家事や育児をパパや身内にも協力してもらえるよう事前にお願いしておくとよいかもしれません。
育休中ママが家にいるうちは、ママが家事を担っている家庭が多いかもしれませんが、仕事が始まれば家事育児のすべてをママが担当するのはかなり大変です。
家事分担については話し合いの場を設けてお互いに納得するようにした方がよいでしょう。今まではママに任せていた家事や育児も案外楽しくやってくれるかもしれませんよ。
部署異動や時短勤務ができるか相談してみる
育休を経て職場復帰した場合、会社の規模にかかわらず該当の子供が3歳になるまでは、1日6時間の時短勤務が認められています。
かなり忙しい部署やどうしても残業が発生してしまう部署にいるのであれば、部署異動をお願いしてみるのも一つの手です。
私は逆に、育児短縮は取得しない。でも、夜勤勤務は子供が3歳になってからと考えてる旨を伝え、元いた部署は夜勤勤務があったので、昼勤務のところへの異動へなりました。その代わり、土日のどちらかは出勤してました。
勤め先としては、育児短縮利用者がたくさんいたので、育児短縮取得するよりも、フル勤務で昼勤務の方がいいだろうと考えてくれたようで、異動が可能になりました。かなり、こちらの要望に応えてくれありがたかったです。
まだ先ですが、3人目出産後の復帰も、そのような要望を伝えます。もし、ダメだったら育児短縮利用し部署異動になると思います。
一度相談されてみてはいかがですか。
子育てしながらの夜勤はママにとって心身共につらいですよね。「子供が3歳になるまでは夜勤はしないけれど、その代わり時短勤務はしません」という言葉は、時短勤務者が多い職場では心強いものです。
職場のことを考えて相談をすることで、希望の部署に異動することや時短勤務をすることもできるのでしょう。
雇用形態を変えてみる
就業している会社の規則よりますが、現在正社員や契約社員として働いているママは可能であれば雇用形態の変更を検討してみるのもよいかもしれません。
パートなどの雇用をしている会社であれば、パートタイマーとして継続勤務が可能かどうかを確認してみましょう。
30分遅く出勤し30分早く帰れるのと、休み貰うことも増えるので社員だとそれなりに給料もらってるのに迷惑かけてしまうのが申し訳なくて…
帰ってからはそんなにゆっくり関われないので土日にたっぷり遊んでます。
正社員や契約社員として働いているとそれなりにお給料が入るためうれしいことですが、フルタイム勤務や残業がある場合は家事や育児に影響が出てしまうことがあることも。
また、子供の体調不良などで休みが続くと職場へも気を遣ってしまいますよね。でもママの働き方は一つではありません。正社員や契約社員よりも勤務時間の融通がききやすい、パートやアルバイトとして働くというのも一つの選択肢です。
思い切って転職してみる
今いる会社が激務で時短勤務や異動、雇用形態の変更などを認めてもらえない場合は思い切って転職を考えてみるのもよいかもしれません。
幼い子供を抱えての転職活動は厳しい部分もありますが、ママは仕事だけでなく家事や育児をこなさなくてはなりません。子供のことはもちろんのこと、ママの心身を健康に保つためにも転職を決めた方がよい場合があります。
現在はマザーズハローワークなど子育て中のママのための求人を紹介してくれるところもあるので、転職を考えている人は、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
- 厚生労働省「今後の子育て支援のための施策の基本的方向について」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/angelplan.html,2017年7月25日最終閲覧)
- 厚生労働省「マザーズハローワーク・マザーズコーナー」(http://www.mhlw.go.jp/kyujin/mother.html,2017年7月28日最終閲覧)
- マザーズハローワーク東京「はじめての方へ」(http://tokyo-mother.jsite.mhlw.go.jp/to_beginner.html,2017年7月28日最終閲覧)
復帰してすぐは誰でも不安になるもの。少しずつ慣れていこう
子供が生まれるとまずは育児に没頭する日々が続きます。そして育児に慣れた頃、育休中のママは職場復帰のことが頭をよぎるというママが多いのではないでしょうか。そして子供を接していくうちに、仕事復帰することに抵抗を感じることもあるでしょう。
子供が幼いうちは昼夜問わずの育児になることもあるのに、仕事復帰して大丈夫なのか、自分はしっかり仕事と家事育児の両立をしていけるのだろうか、など不安も大きくなりますよね。
実際に復帰してみたら、今までいた会社なのになぜか職場になじめない、子供は体調不良になりやすいなどさまざまな悩みが出てくるものです。
でも、決して不安になりすぎることはありません。保育所に入園したての子供は繰り返し体調を崩すこともあるでしょうし、育児をしながらの仕事は初めてのこと、今まで知っている職場であっても仕事の勘を取り戻すまでには少し時間がかかることもあると思います。
新たな環境、生活が始まると親子ともにストレスを感じることがあるかもしれませんが、少しずつ慣れていけるとよいですね。