産休の計算方法と期間。先輩ママはいつから取得した?
産前産後休業(産休)は、妊娠している女性労働者であれば取得可能です。これは、正社員だけではなく、パート社員・派遣社員も同様、雇用形態は関係なく取得可能な休業期間です。
産休は、出産予定日を基準として産前6週間(多胎妊娠の場合は産前14週間)の「産前休業」と出産後8週間の「産後休業」を合わせた期間です。産前休業は法律で決まっているものの、本人が希望しない場合には産前休業を請求した場合にのみ取得可能です。
また出産後は8週間の産後休業に入ります。その期間に就業することは、労働基準法(第65条・第66条)により認められていません。例外として、産後6週間経過した後に本人が希望し、かつ医師が就業可能であると認めた場合は就業することができます。
産休の計算方法ですが、カレンダーを見て出産予定日から6週間前、8週間後を確認できればだいたいの期間が分かると思います。しかし詳しく計算したい場合は、下記に貼った厚生労働省の委託先が提供している自動計算システムを利用してみてください。具体的な日付が出てくるでしょう。
先ほども述べましたが、出産前は希望しなければ産前休業を取得しなくても問題ありません。1人で暇だから出産前まで仕事しようか、生まれるまでの時間をのんびり過ごそうか、など人によってそれぞれかと思います。そこで妊活、妊娠、子育て女性のためのアプリ・ママリにいつから産休を取得したか、ママたちの声をピックアップしてみました。
産休+特別休暇などを合わせて長く取得しました
さらに、休職に入ることで失効してしまう有給休暇が20日ほど残っていたこと、それとは別に消化しなくてはならない特別休暇が3日残っていたのでそれも合わせると27週頃から休みに入ることができましたが、仕事が忙しくなってしまい、結局29週から休みに入りました。
その頃がお盆休みだったので、キリ良くお盆休みから休みにしました。
こちらの方は、会社の規定で決められていた産前8週前の産前休業と認められている有給休暇・特別休暇(会社によって取り扱いが異なりますが、有給とは別に必ず取得すべき休暇と位置付けられているもの)を組み合わせて、長く産休を取得したようです。
仕事との兼ね合いを考えながら、会社が決めた盆休も組み合わせて切りよくお休みできたというコメントでした。
予定帝王切開のためギリギリまで働きます
私の場合、予定帝王切開なのでゴールが見えてるから休みを決めやすいっていうのもあるんですが…(中略)
休みが早めから取れるなら取って夫婦の時間とか1人の時間を楽しむのもいいと思いますよ♡
生まれたらそれこそ外食すら行けないし、多少大きくなっても行ける場所も限られますし…
こちらの方は、帝王切開での第2子出産が決まっているようで、切りよく月末まで働くことにしたようですね。出産日がほぼ確定していれば、産休に入る日も決めやすいかもしれませんね。
体調がよく36週から取得しました
2月8日予定日でしたので、12月28日から取得可能でしたが、体調も良く働いてるほうが楽だったので少し遅く1月8日から産休にしました🌼
休みに入ってからも家で退屈だったのでもっと働けば良かったかなぁと思いましたが😂
パート勤務のこちらの方は、体調が良かったということもあり36週から産休を取得したようです。
産前の休業期間は「妊婦側の請求によって」取得できます。「もっと働けば…」と思う方もいるかもしれませんが、出産予定日ギリギリまで働くと仕事にも、母体にもリスクがあるかもしれません。
通勤が気分転換になりました
こちらの方は、産前5週(妊娠35週)まで働いていたようです。通勤時間が長いことは妊婦さんにとって大変かもしれませんが、気分転換になれば、少し産休を遅らせるのもよいかもしれませんね。
- 厚生労働省「あなたも取れる!産休・育休」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/dl/31.pdf,2018年6月12日最終閲覧)
- 電子政府の総合窓口e-gov「労働基準法」(http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=322AC0000000049&openerCode=1#G,2018年6月12日最終閲覧)
産休中の給料と給付金、社会保険料について
産休の期間は、「休職」の扱いとなるため、基本的には無給です。ただし、会社によっては給与が支給されることがあるようです。担当者に確認しておくとよいでしょう。また、産休中は社会保険料が免除されます。
産休中には、加入している健康保険組合から出産手当金と出産育児一時金が支給されますが、対象者が異なり、妊婦と勤務先との雇用関係によって対象が変わります。まずは自分自身がどの立場にいるか確認しましょう。
下記にて詳しく説明します。
出産育児一時金
出産をした際の分娩費の一部に充当できるよう、健康保険組合から1児に付き一律42万円が支給されます。これを「出産育児一時金」といいます。双子以上の多胎妊娠の場合には、42万円×人数分の支給があります。ここでの出産は、妊娠4ヶ月(妊娠85日)以上とされています。
出産育児一時金は、被保険者だけでなく夫の扶養に入っている被扶養者の場合でも「家族出産一時育児金」として支給されます。国保の場合は国民健康保険から同額支給されます。
支給される出産育児一時金は、健保組合から分娩した産院へ支払ってもらえる直接支払制度を利用することが可能です。直接支払制度に関しても、出産育児一時金の手続きと一緒に勤務先の担当者に確認しましょう。ただし、病院によっては対応していないこともあります。事前に確認しておきましょう。
出産手当金
被保険者が産前産後休業を取得し妊娠4ヶ月以上の出産であった場合、無給期間を補うために加入している健康保険組合から支給されるのが出産手当金です。
支給額の計算方法は、産休前の継続した標準報酬月額12ヶ月分の平均から、30日分の平均額を出しその3分の2が支給額となります。ただし、その支給額から社会保険料が控除された上で支給されます。
支給対象となる期間は、出産日42日前と出産日翌日から56日を足した期間です。双子以上の多胎妊娠の場合は、出産日98日前からの計算です。出産予定日が遅れた場合は、遅れた日数分も支給されます。
妊娠をきっかけに退職し、これまで加入していた健保組合を「任意継続」している場合も出産手当金や出産育児一時金の受給対象となります。
産前産後休業保険料免除制度
産休期間中は社会保険料が免除されます。この手続きをすることで、健康保険・厚生年金保険の保険料を、被保険者分と併せて会社あ支払う分も徴収されなくなります。
保険料免除期間中も被保険者資格に変更はありません。また、将来年金額を計算する際は、産休中の免除期間も保険料を納めた期間として扱われます。
- 全国健保協会(船員保険)「出産したとき(出産育児一時金・出産手当金)」(https://www.kyoukaikenpo.or.jp/senpo/g3/cat310/2096-118588,2018年6月12日最終閲覧)
- 協会けんぽ「傷病手当金・出産手当金の計算方法が変わります」(https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/honbu/g3/cat310/280201seidokaisei.pdf,2018年6月12日最終閲覧)
- KDDI健康保険組合「出産育児一時金・家族出産育児一時金」(http://www.kddikenpo.or.jp/tetsuzuki/shussan.html,2018年6月12日最終閲覧)
- ダイセル健康保険組合「出産育児一時金 直接支払制度について」(http://www.kenpo.gr.jp/daicel-kenpo/contents/shikumi/kyufu/shussan_choku.html,2018年6月12日最終閲覧)
- 日本年金機構「産前産後休業保険料免除制度」(http://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo-kankei/menjo/20140327-04.html,2018年6月12日最終閲覧)
産休中に行う育休の手続き
産前産後休業は「労働基準法」で守られた制度ですが、この育休からは「育児介護休業法」という法律で約束された制度を利用することになります。
ただし、この給付金の受給対象者は「被保険者」であることが前提となります。被扶養者また国保に加入している方の場合は、育休を取得することができません。
育児休業給付金
育休を利用することで、「育児休業給付金」を受給することができます。この手続きは、育休取得を請求した本人が会社経由で申し込みます。
育児休業給付金の支給額は、1ヶ月あたり原則として休業開始時賃金日額×支給日数の67%です。また、育児休業の開始から6ヶ月経過後は50%相当額となっています。
育児休業開始後も、本来ならば社会保険料が発生しますが、手続きを行うことで免除を受けることができます。
以下は、提出書類と提出先です。自分で申請する場合は、提出先のホームページで書類をダウンロードすることができます。
- 育児休業等取得者申出書:日本年金機構
- 休業開始時賃金月額証明書:ハローワーク
- 育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書:ハローワーク
ハローワークへ育児休業給付金を請求する際は、勤務先は賃金台帳、出勤簿などの記載内容を証明する書類の他、被保険者の母子健康手帳など育児の事実を確認できる書類の写しを添付する必要があります。早めに準備しましょう。
なお、育児休業保険料免除制度や、育児休業給付金支給申請は育休中にしか申請することができません。産休から育休へ移行する時にスムーズに進められるようにしておくとよいですね。
育児休業に関する給付金は「パパママ育休プラス」を取得した時や、子が2歳の誕生日を迎えるまで産休を延長した時にも適用されます。
- ハローワークインターネットサービス「育児休業給付について」(https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_continue.html,2018年6月12日最終閲覧)
- 日本年金機構「育児休業を取得したときの手続き」(http://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo-kankei/menjo/20140327-06.html,2018年6月12日最終閲覧)
- 日本年金機構「育児休業保険料免除制度」(http://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo-kankei/menjo/20140327-06.html,2018年6月12日最終閲覧)
- 厚生労働省「平成29年10月より育児休業給付金の 支給期間が2歳まで延長されます」(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000169691.pdf,2018年6月12日最終閲覧)
妊娠が分かったら早めに産休・育休の手続きを確認しておきましょう
妊娠が分かったら、産休・育休に入る前に、期間やその間のお金のことについて早めに考えておくことをおすすめします。手続きは複雑ですが、手続き先は日本年金機構かハローワークかとシンプルに考えておくとよいかもしれません。
会社によっては、書類を郵送で送れば手続きをしてくれることもあります。確認しておきましょう。いつ生まれるか分からない産前もなにかとバタつく産後も、夫に協力してもらいながらスムーズに産休・育休を取得できるとよいですね。