そもそも産休とは何?
まず、産休とは産前・産後休業の略称で、妊産婦が母体を保護することを目的に、出産前と出産後にとることができる休業のことを指します。
出産前・産後すぐは育児しながらの仕事はとても大変なことなので、一定の期間は休業が必要ですよね。
産休を取ることは労働基準法で定められている制度なので、もし会社の就業規則に産休に関する事項がない場合でも申請・取得する権利があります。
- 厚生労働省「政策について」厚生労働省(http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/23.html)
産休はいつから取得できるの?
産休は具体的にいつからいつまでなら取得可能なのでしょうか?労働基準法で期間が明確に定められているので、参考にしてみてください。
産前休業
出産の前の産休については、労働基準法で「6週間以内に出産する予定のある女性が申請した場合に会社は産休を与えなければならない」という決まりがあります。双子以上の多胎妊娠の場合は14週間前から取得可能です。
この決まりによって、予定日前の6週間は産休を取得することが出来ます。もし、本人が産休を希望しない場合は産休を取得せず就業することも可能です。
産後休業
出産後について労働基準法65条では「8週間は就業させてはいけない」という決まりがあります。ですので、子供を産んだママはどのような場合でも産後すぐに働くことができません。しかし例外的に、産後「6週間」が経過して女性が労働を希望し、加えて医師が問題ないと診断した場合は労働する事が出来る場合もあります。
産後は産前休業と違い、女性が労働を希望しても医師の判断がない限り、会社は就業させてはいけない決まりになっているのです。
産休後は育休も取得可能
産休が終わった後は育休を取ることができます。育休は育児休業という言葉の略で、赤ちゃんが生まれた日から最長で1年6ヶ月間取得できると労働基準法で定められています。
通常は子供が1歳になる誕生日の前日までが原則です。1年6ヶ月の間育休が取得できるのは、入所する保育園が決まっていないなどのケースが対象となります。
産休は誰でも取得できるの?
妊活中や結婚後は、正社員としてではなくパートや契約社員として勤務している女性は多いのではないでしょうか?そんな時、私は産休をとれるのだろうかと思ってしまいますよね。
産休は正社員・契約社員・アルバイトなど、雇用形態に関係なく取得することが出来ます。就業期間中に妊娠した場合は会社に伝えて、産休をとるようにしましょう。
男性でも産休取得できるの?
男性が産むわけではないので、産休は取得できませんが、育休は取得することはできます。育休の制度は女性と同じで子供が生まれた日から、1歳になる前日までなら取得可能です。
男性も女性と同じように育児給付金の支給があります。
- 厚生労働省「政策について」厚生労働省(http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/23.html)
- 厚生労働省・女性労働協会「産前・産後休業を取るときは」 女性にやさしい職場づくりナビ(http://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/ninshin/sanzen_sango.html)
出産手当金(産休手当)ってなに?仕組みは?
産休中に支払われるものを「出産手当金」といい、被保険者のみが給付対象です。詳しく説明していきましょう。
産休手当の対象者は?
産休手当をもらえるのは、会社員のほかに契約社員やパート・アルバイト、派遣社員で健康保険に加入している方であれば対象となります。
ただし、どんなに長時間働いていたとしても、職場で加入しているのが国民健康保険であれば、残念ながら対象者にはなりません。
会社を退職したらもらえない?
退職したら出産手当金をもらえないだろうと思っている方は今一度ご確認ください。
退職日までに継続して1年以上の被保険者期間があり、退職日まで出産手当金の給付を受けている(受ける条件を満たしている)方は出産手当金をもらうことができます。ただし、退職日に出勤してしまっている場合は退職日以降の給付はされないのでご注意ください。
例えば、出産予定日が3月31日なら?
例えば出産予定日が3月31日だった場合、退職日は42日前の2月19日以降で、かつ、2月19日は有給などを取得して出社していなければ産休手当は支給されます。
出産に伴う退職の場合、人によっては出産予定日より2ヶ月前といったタイミングで退職を考える方もいらっしゃるかもしれませんが、そうなってしまうと産休手当金はもらえなくなるので注意してください。
いくらもらえるの?
受け取れる産休手当金の額は、標準報酬日額の2/3相当額が支払われます。
標準報酬日額とは、給付以前の継続した12カ月の標準報酬月額平均÷30で計算します。
継続した12カ月の標準報酬月額がない場合は、別の方法で算出されるので、支払われないということはないので安心してください。
どんな手続きがいるの?
産休手当金を受け取るには、職場の担当部署や健康保険組合、もしくは年金事務所から申請用紙を受け取り提出することになります。
無事に出産した後、医師に必要事項を記入してもらいましょう。提出先は会社などによって違うので、用紙を受け取った際に確認しておくといいでしょう。
- 全国健康保険協会「出産手当金について」全国健康保険協会(https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g6/cat620/r311)
- 全国健康保険協会「出産で会社を休んだとき」全国健康保険協会(https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat315/sb3090/r148)
- 人材派遣健康保険組合「出産で仕事を休んだとき」HAKEN KENPO(http://www.haken-kenpo.com/member/benefit/maternity_a.html)
産休をうまく利用して楽しい妊娠生活を!
出産前や育児をしながら仕事をするのは、実際にやってみるとものすごく大変なことです。時間の制限や不安定な体調と向き合いながらの業務は精神面での苦痛も多いかと思います。
仕事を辞めて妊娠生活を送るか、産休をとって妊娠生活を送るかは迷いどころですよね。子供にとって、家族にとって、何が最善の方法なのかを考えてみましょう。せっかくある制度なので、うまく利用しながら活躍できると良いですね。