子供の事故予防の取り組み「子どもを事故から守る!プロジェクト」
生まれてすぐは寝ている時間が長い赤ちゃんも、1歳のお誕生日を迎えるころにはずいぶんと成長してきます。体が大きくなるのはもちろんですが、ハイハイやあんよができるようになっていたり、離乳食が始まっていたり。いろいろなことができるようになっていて、本当に0~1歳のころの成長には目を見張るものがありますよね。
子供の成長はうれしいもの。けれどできることが増え行動範囲が広がると、けがをしないか、事故に遭わないかと、ママも目が離せなくなってくるのではないでしょうか。
厚生労働省の資料などでも子供の死因の上位には「不慮の事故」が挙がっています。こういった状況を背景に、消費者庁では子供の事故予防の取り組みを実施。ホームページには「子どもを事故から守る!プロジェクト」ページが設置され、事故の例や事故防止のためのアドバイスなどが掲載されています。
- 消費者庁「子どもを事故から守る!事故防止ハンドブック」(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/child/project_002/pdf/consumer_policy_cms205_191101_01.pdf,2020年3月10日最終閲覧)
0~1歳育児ではこんなことに気をつけて!13の事例とアドバイス
手先が器用になり、立って歩けるようになってくる0~1歳の子供たち。身のまわりのものをあれこれ触ってみたい時期でもあります。いろいろなことに興味を持つのも大事なのですが、親としては危険から遠ざけておきたいところですよね。
ここでは消費者庁のホームページから、0~1歳の育児で気をつけたい13の事例について紹介します。家の内外を問わず、危険は案外身近に潜んでいるもの。思わぬ事故に遭わないためにもぜひ参考にしてください。
1.転落(ソファー、ベッド)
赤ちゃんは成長につれて寝返りもできるようになります。ベビーベッドやソファー、テーブルなどの高い所で赤ちゃんを1人にすると思わぬ瞬間に寝返りをうって転落する危険も。
赤ちゃんが高い所にいるときには特に目を離さないよう気をつけましょう。
2.窒息(ふかふかの寝具)
ふかふかのふとんや枕など、柔らかい寝具に顔が埋もれてしまうことで窒息の事故が起こることも。
赤ちゃんが自分で頭を上げられないような時期には特に注意が必要です。ベッド内にぬいぐるみなどを置くことも避けた方がよいでしょう。
3.誤飲(タバコ)
物がつかめるようになるころから気をつけたいのが誤飲です。手に触れるものを口に持っていくのは、赤ちゃんの本能。
タバコに限らず、口に入りそうな小さいものや口に入れると危険なものは、赤ちゃんの手が届かないところに保管することが必要です。赤ちゃんの目の高さで安全の確認をしてみましょう。
4.やけど(アイロン)
赤ちゃんは何でも触りたがるもの。アイロンをテーブルや机の端など赤ちゃんの目につくところに置くのは危険です。また、本体は離していてもコードが赤ちゃんの手に届くところにあると引っ張ってしまう恐れもあります。
使用中に目を離さないのはもちろん、電源を切った後もしばらくは熱を持ったままなので赤ちゃんが触れないようにしておきましょう。
5.やけど(テーブルクロス)
赤ちゃんが小さいうちは、テーブルクロスは使用しないほうがよいでしょう。テーブルクロスはハイハイの赤ちゃんでも手の届く高さまで下がる場合もあります。
端を引っ張ると、頭の上にお湯やスープなど熱いものがかかってしまう危険があります。食器が落ちてくる危険もあるので今一度見直してみましょう。
6.やけど(台所)
赤ちゃんは日々成長します。昨日まで届かなかったような所にもあっという間に手が届くようになるもの。
食卓やコンロの上に手を伸ばし、鍋やフライパンをひっくり返してしまう恐れもあります。柄のついた調理器具は、取っ手の部分に手が届かないよう、置く向きに気をつけましょう。
7.やけど(ストーブ)
熱源の直接出ているストーブなどに赤ちゃんが触れてしまうと危険です。暖房器具は柵などで囲って赤ちゃんが直接触らないようにしましょう。
また、ストーブの上にやかんなどを置くのもやけどの原因につながります。
8.やけど(ポット)
安全ロックされているポットでも倒れると熱湯が出る可能性が。ロックを忘れてしまう恐れもあります。
また、電気ポットの湯わかし中や炊飯器などから上がる蒸気にも注意が必要です。赤ちゃんがポットなどに近づかないようにしておきましょう。
9.溺水(浴槽)
日本では外国に比べて家の中での水の事故が多く発生しています。子供がおぼれて死亡するという事例もあり、自分で動けるようになってくるよちよち歩きのころから2歳くらいまでは十分な注意が必要です。
風呂場の戸は必ず閉めて鍵をかけるようにしましょう。また、残り湯は置いておかず、すぐに栓を抜いてしまうのがよいでしょう。
10.転落(階段)
ハイハイなど自分で動けるようになってくると、階段などにも注意が必要です。階段からの転落は頭部の打撲や骨折など大きな事故につながることも。
ハイハイできるようになるまでに階段の上下に柵を取りつけ、赤ちゃんが1人で階段に入らないようにしておきましょう。
11.交通事故(自動車)
国土交通省や警察庁などからはチャイルドシートの適正な使用が呼びかけられています。車がぶつかったときの衝撃は大きく、大人がしっかりと抱いているつもりでも、事故の際に赤ちゃんを支えきれるものではありません。
また、チャイルドシートを付けていても間違った使用方法では重大な事故につながる恐れがあります。月齢、年齢に合ったチャイルドシートを正しくしっかりと座席に取り付けることが大事です。
- 国土交通省「チャイルドシートコーナー」(http://www.mlit.go.jp/jidosha/child/,2018年3月11日最終閲覧)
- 警察庁「子供を守るチャイルドシート」(https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/childseat.html,2018年3月11日最終閲覧)
12.切り傷(カミソリ)
赤ちゃんはカミソリやハサミ、包丁などの刃物が危険であることを知りません。少し触れてしまうだけでけがをすることもあります。
赤ちゃんの手の届くところにこれらを放置しておかず、こまめに片づけておくようにしましょう。
13.窒息(ビニール)
小さな子供はビニール袋をおもちゃにして頭からかぶってしまうようなことがありますが、遊びのつもりが鼻や口をふさいで窒息事故につながることも。また、口に入れてしまうことも考えられます。
ビニール袋などはすぐ片づけて赤ちゃんが触ったり遊んだりしないようにしましょう。
- 消費者庁「子どもを事故から守る!プロジェクト ワンポイントアドバイス」(http://www.caa.go.jp/kodomo/onepoint/onepoint_1.php,2018年3月16日最終閲覧)
知ることで事故を防ぎましょう
子供の事故は特別な状況で起きるよりも、普段の生活の中での不注意で起きることが多くあります。今回紹介したように子供は好奇心旺盛で周りのものに興味を持ちますが、何が危険で、何をすれば痛い思いをするのかは知りません。大人にとっては何でもないことが事故につながる原因となりえるのです。
消費者庁では主に0歳~小学校入学前の子供について、思わぬ事故を防ぐための注意点や豆知識を提供するメール配信サービス「子ども安全メールfrom消費者庁」を実施しています。携帯やパソコンからの登録が可能なので、こういったツールも上手に利用したいところ。
ちょっとした気配りで防げる事故も多くあります。情報を集めて知識を増やし、周囲の大人が注意することで子供を危険から守ってあげましょう。