妊娠初期の腰痛の原因
妊娠初期は、出産に備えて腰周辺の筋肉や関節、じん帯をゆるめる作用がある黄体ホルモンの分泌が増えるため、腰痛が起こりやすくなります。
ホルモンは骨盤をゆるめるだけでなく、骨盤内に血液をためてしまうため、うっ血による腰の重い感じなども出やすくなります。
また、初期ではまだ子宮はそれほど大きくないため物理的な変化は少ないのですが、妊娠後期に入ると子宮が大きくなり始めて体の重心が前方へ傾くことで腰が反り返るため、背骨と腰骨を支える関節に負荷がかかることも腰痛の原因となります。
体のバランスを取ろうとして、腰や背中の筋肉が緊張状態となってしまうことが痛みにつながります。腰痛は、妊娠初期に限らず中期以降も起こりやすいため、早めの対策が必要です。
- 札幌医科大学のレディースクリニック「産科部門Q&A」(http://web.sapmed.ac.jp/gyn/faq/obstetrics/,2018年11月26日最終閲覧)
- 山王クリニック「妊娠中の気になる症状」(https://sannoh.or.jp/obstetrician/symptom/index.php,2018年11月26日最終閲覧)
- まのレディースクリニック「注意が必要な症状」(http://www.yuhookai.jp/MLC09_QA_2.html,2018年11月26日最終閲覧)
- 荻田和秀(監)「らくらくあんしん妊娠・出産」P93(学研プラス,2017年)
腰痛が出たときの対処方法
- 体を冷やさないようにする
- 姿勢に気をつける
- 腰痛体操をする
- 骨盤ベルトをする
妊娠初期の腰痛は、子宮周辺の筋肉が緊張状態になることで起こるため、体を温めることや正しい姿勢を保つことが大切です。
医師から安静の指示などが出ておらず体調に問題がない場合は、腰を曲げたり伸ばしたりする腰痛体操や、ヨガを行うことも効果的です。
また、腰から骨盤にかけて腹帯や骨盤ベルトを巻き、腰をサポートしてあげると楽になることがあるため試してみるのもよいかもしれません。
ただし、ベルトばかりに頼っていると自分の筋肉が弱くなっていってしまうため、外出時だけベルトを使用するなど、自分の筋肉が衰えてしまわないように工夫が必要です。
腰痛体操を行う場合や骨盤ベルトを着用する際は、医師に必ず方法を確認してから行うようにしましょう。
妊娠初期に腰痛が出てしまった人は多くいるようです。早めの対策で症状が少し改善されることもあるため、まずは温めたり骨盤体操をしてみたり、無理のない範囲で行うとよいでしょう。
夏場は暑くてホッカイロや腹巻きを使うとかえってよくありません。冷房で冷えそうなときに足元を温めるなど、体に負担にならない範囲で冷え対策をすることが大切です。
腹巻きなどが暑く感じてしまう場合は、物理的に温かいものを飲んだり食べたりして体の中から温めるのもよいでしょう。冷たい飲み物が好きな人は、常温や温かい飲み物に変えるだけでも効果があります。
- 山王クリニック「妊娠中の気になる症状」(https://sannoh.or.jp/obstetrician/symptom/index.php,2018年11月26日最終閲覧)
- 佐野産婦人科医院「妊娠中の腰痛、骨盤痛について」(http://www.sanolc.com/blog/2015/03/post-59-430698.html,2018年11月26日最終閲覧)
妊娠初期の腰痛は流産につながる?
妊娠初期に起こる腰痛は、切迫流産の症状の一つとして挙げられますが、腰痛があるからといって必ずしも切迫流産になるということではありません。腰痛の症状だけでは切迫流産につながることはないでしょう。
ただし、腰痛とともに下腹部痛や少量の性器出血の症状が出ている場合は、切迫流産の兆候である可能性もあるため病院を受診するようにしましょう。
- 鈴峰今中医院「よくある質問FAQ」(http://www.kawamura.gr.jp/faq.html,2018年11月26日最終閲覧)
無理のない範囲で腰痛対策を
妊娠初期は体にさまざまな変化が訪れます。腰痛も妊娠初期に起こる症状の一つで、少しずつ子宮が大きくなってくるこの時期から起こりやすくなります。
妊娠後半になると、おなかかが前に出て腰が反り返るような姿勢になってしまうため、腰痛体操や骨盤ベルトなどで腰痛対策をすると腰痛の緩和につながります。体操の仕方やベルトの着用方法は、妊婦健診時に病院で確認してみましょう。
妊娠中期以降になると、さらにおなかが大きくなり腰痛がひどくなってしまうことも。早めの対策で症状の悪化を防ぎましょう。